連載コラム【音楽のある風景】 Vol.15

2013.07.25

グリーンレーベル リラクシング のBGMを選曲されている、
選曲家の橋本徹さんよりコラム【音楽のある風景】が届きました。
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どうぞお楽しみください!

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7月の選曲は、ロマンティシズムと爽快感あふれるアーバン・リゾート気分で。
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7月、太陽がくれた季節。
今年は梅雨明けも早く、ロング・ホット・サマーになりそうですね。

昨年夏の『Seaside FM 80.4』、この春の『Twilight FM 79.4』に続き、
架空のFMステイションをコンセプトににしたコンピCDを作りました。
今夏の選曲テーマはアーバン・リゾート、題して『Urban-Resort FM 78.4』です。
サブタイトルは“Feel Like Bayside Love”(一十三十一)ならぬ“Feel Like Mellow Kind Of Love”。
ロバータ・フラックやマリーナ・ショウで知られる「Feel Like Making Love」と
アウディー・キムラの「Mellow Kind Of Love」をかけあわせて惹句としましたが、雰囲気が伝わるでしょうか。

埠頭を渡る風を感じながら、遠い夜景を眺めるようなロマンティシズム(青いとばりに忘れた景色探し)。
プールサイドのバーやホテルのウォーターテラスで、ミントの効いたよく冷えたモヒートを味わうような爽快感。
アコースティック&グルーヴィーなブルー・アイド・ソウルから、
メロウ・ブリージンなAOR~ブラジリアン~ジャジー&チルアウト・グルーヴまで、
甘美な高揚感と爽やかなスウィートネスを宿した素敵な音楽が詰まっています。
海風のように心地よく、夕闇の刹那の光のようにきらめくサウンド。
胸を疼かせるビタースウィートで切ないヴォーカルに、心の鼓動を高めるリズム、
月明かりの夜空に溶けてゆくメロディー……。

オープニングは僕には懐かしいヒット曲、ブロウ・モンキーズ「Digging Your Scene」の素晴らしいセルフ・リメイク。
グルーヴ感抜群に駆け抜けるサマー・キラー・チューン、A・トレイン「Baby Please」から、
西麻布・elevenのクロージング・パーティーでジョー・クラウゼルが繰り返しプレイした、
ピースフルなエレメンツ・オブ・ライフ「Most Beautiful」へ。
そしてベン・ワット「North Marine Drive」とニール・ヤング「Harvest Moon」という、
僕が人生レヴェルで愛する2曲のグッド・カヴァーが続きます。
その名も「Samba From The Sea」という軽快なサウダージ・チューンに続いて、
ブラジルはミナスの女性シンガー、ファビアナ・パッソーニによる
マイケル・ジャクソン「Rock With You」のカヴァーで色香のあるアーバン・ブリーズに吹かれ、
エンディングはオウス&ハンニバル(ロビン・ハンニバルはライとして“FUJI ROCK”で来日中です)による
ビーチ・ボーイズ“Caroline No”の絶品リメイクから、
未CD化/ダウンロード・オンリーのフィリップ・オウス珠玉の名曲“Goodnight”。

この夏はもう一枚、世界初CD化となる大推薦の作品集がリリースされます。
それはデコーダーズの『Lovers & Dub Classics』。
盛り上がりを見せる現在の豊かなLAシーンから生まれた、
最高にスウィートで心地よいラヴァーズ・ロック・スタイルのカヴァー・プロジェクトです。
ライ~クアドロン~ビルド・アン・アーク~プラグ・リサーチ周辺で活躍する
このプロデュース・チームの中心人物イタイ・シャピラが、
これまで配信のみで発表されてきた彼らの音楽をアプレミディ・レコーズでCDに、と持ちかけてくれ実現した、
シングル12曲+ダブ6曲のコンプリート・コレクション。
やはり人気を集めるライのギターとして来日しているイタイ・シャピラとは、
来週カフェ・アプレミディで会おうという話もあって、楽しみにしています。

デコーダーズは楽曲レパートリーも、僕の好きなプロデューサー、チャールズ・ステップニー~リチャード・ルドルフが制作した
ミニー・リパートン/ロータリー・コネクション/アース・ウィンド&ファイアーを中心に、
ディオンヌ・ワーウィック(バート・バカラック作)やチャカ・カーン(ネッド・ドヒニー/AWB)など、人気曲ばかり。
加えてフィーチャリング・ヴォーカリスト/ゲスト・プレイヤーも、レオン・ウェア/ラウル・ミドン/ココ・O(クアドロン)に、
アレックス・アイズレー(アーニー・アイズレーの娘)/スチュアート・ゼンダー(ジャミロクワイのベーシスト)
といった豪華な顔ぶれ。
とはいえ、そんな話題性は横において、ただひたすら小気味よいバック・ビートに身を任せ、
クールでメロウでダビーな快感に浸っていただければと思っています(本当に、とろけますよ!)。

今週は、日曜日にDJとして参加した逗子海岸でのビーチ・パーティーで聴いたライヴが気持ちよかったこともあって、
スティールパンの涼しげな音色にも惹かれ続けています。
ショップBGMの選曲で使ったアンドレ・フアレス「Mascara Negra」、
『Seaside FM 80.4』に入れたアール・ブルックス「La Vie En Rose」
(そう、『Urban-Resort FM 78.4』にもスティールパンが印象的なディラン・モンドグリーンの「It Takes Two」を収録しています)、
何よりもデヴィッド・ラダー&ケン・プロフェッサー・フィルモアによるボブ・マーリー「Turn Your Lights Down Low」
(やはり『Urban-Resort FM 78.4』に収めたボブ・マーリー・カヴァー、ヘイリー・ロレン「Waiting In Vain」もフェイヴァリットですが)。
“灯りを落として、カーテンを開こう/月明かりがもう一度、僕らの人生を照らしてくれるように”と歌いだされる歌詞も好きで、
つい口ずさんでしまいます。

夏の口ずさみソングと言えば、去年もこのコラムで触れた気がしますが、
ジョナサン・リッチマンの「That Summer Feeling」も忘れてはいけません。
僕は最近、この曲の歌詞の和訳を何度か試みているのですが、
ティーンエイジャーの夏を回想するようなあのニュアンスは、なかなかうまく言葉にすることができませんね
(心の印画紙には鮮やかに焼きついている感情なのですが)。
“アイスクリームとろけるような暑い暑い夏に”と繰り返される曽我部恵一「サマー・シンフォニー」も今年はよく口をつきます。
“君もそれを見たかい? 俺とそれを見るかい?”というところが好きで。
懐かしい曲ではオリジナル・ラヴの伸びやかな「サンシャイン ロマンス」もマイ・ブーム(あれからもう20年なんですね)。

そして一昨日の午後、由比ヶ浜の近くを歩いていてふと浮かんだのは、
“想い出の海沿いの道/ひとりきりで歩いてゆく/目を閉じれば聞こえてくる/仲間たちの笑い声が”というフレーズ。
GREAT 3のデビュー曲「Fool & the Gang」ですね(これも懐かしい!)。
夜には鎌倉花火があって、僕は4年前の夏、今は亡きNujabesが建てたスタジオ付きの一軒家で
仲間たちとすごした時間を思いだしていました。
花火の後は、余情あふれる彼の名作「After Hanabi」にちなんで、僕が選曲しました。
サンプルされたダイナ・ワシントン「Willow Weep For Me」(柳よ泣いておくれ)の歌声が胸に沁み、
“そらに いちばん ちかい かなしみ”というSoggy Cheerios「かぜよふけ うみよなけ」の詞が頭をよぎりました。
満月の夜ということもあり、Nujabesを弔う気持ちもこめて作った『Chill-Out Mellow Beats ~ Harmonie du soir』から、
僕にとっての“心の調律師のような音楽”、ファラオ・サンダース「Moon Child」もセレクトしました。
傷ついた魂を安らかに、優しく鎮めてくれる曲で、自分が夏に死んだら、
このコンピレイションを流してほしい、と僕はときどき考えることがあります。

最後は少し神妙な面持ちになってしまいましたが、それでは皆さん、楽しい夏をおすごしください。
彼女が水着にきがえたら、波の数だけ抱きしめて。
はしゃぎすぎてる、夏の子供さ♪


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7月の選盤

アーバン・リゾートを彩るFMステイションをテーマに、アコースティック&グルーヴィーなブルー・アイド・ソウルから
メロウ・ブリージンなAOR~ブラジリアン~ジャジー&チルアウト・グルーヴまで、
爽快感とロマンティシズムあふれる名作が集められた、橋本徹さん選曲のコンピレイション『Urban-Resort FM 78.4』
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新旧の豪華ヴォーカル陣をフィーチャーして、クール&メロウで最高に心地よいラヴァーズ・ロック・スタイルで
ソウル・クラシックスを中心とした人気曲の数々をカヴァーした、
橋本徹さん監修により世界初CD化となるデコーダーズのコンプリート・コレクション『Lovers & Dub Classics』
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ドビュッシー&ボードレール「夕べのしらべ」にインスパイアされ、沈む夕陽に美しく風景が染まる奇跡の瞬間のような、
ドラマティックでロマンティック、メランコリックでスピリチュアルな心に迫る名曲が連なる、
橋本徹さん選曲のコンピレイション『Chill-Out Mellow Beats ~ Harmonie du soir』
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橋本徹 (SUBURBIA)
編集者/選曲家/DJ/プロデューサー。
サバービア・ファクトリー主宰。
渋谷・公園通りの「カフェ・アプレミディ」「アプレミディ・セレソン」店主。
『フリー・ソウル』『メロウ・ビーツ』『アプレミディ』『ジャズ・シュプリーム』『音楽のある風景』シリーズなど、
選曲を手がけたコンピCDは240枚を越える。
USENで音楽放送チャンネル「usen for Cafe Apres-midi」を監修・制作。
著書に「Suburbia Suite」「公園通りみぎひだり」「公園通りの午後」「公園通りに吹く風は」「公園通りの春夏秋冬」などがある。
http://apres-midi.biz
http://music.usen.com/channel/d03/

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