連載コラム【音楽のある風景】 Vol.22

2014.02.27

グリーンレーベル リラクシング のBGMを選曲されている、
選曲家の橋本徹さんよりコラム【音楽のある風景】が届きました。
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どうぞお楽しみください!

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2月の選曲は、鎮魂の希いと感謝の思いをこめて。
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Nujabesが交通事故で死んで4年の月日が流れた。
2/26は毎年、その年の暮れに“亡き友に捧げるレクイエム”というテーマで作った『Brother Where Are You』を聴く。

今年はそこにもう一枚、新しいコンピが加わった。
『Brother Where Are You』にも、冒頭のスキャットから泣けてしまうような名曲「Ordinary Joe」のライヴ録音を収めている、
テリー・キャリアーのベスト盤『Free Soul. the classic of Terry Callier』だ。

鎮魂の希いと感謝の思いをこめて選んだ、80分38秒におよぶ、心震わせる素晴らしい音楽。
多くの音楽ファンが胸を熱くした、その真摯な歌心。
精神性が歌になる、とはまさにこのことだ。
ヴィブラートのかかった慈愛に満ちた歌声と、狂おしく切なく胸を締めつけるメロディー。
ソウル〜ジャズ〜フォーク〜ブルースが溶け合った人間味あふれるサウンド、
その秘めた熱情は言ってみれば、声によるジョン・コルトレーンだ。

テリー・キャリアーが亡くなってからは、1年と4か月。
このコンピにはもちろん、Nujabesが2005年に彼をゲスト・ヴォーカルに迎えカヴァーした「Ordinary Joe」も収録されている。
涙なしには聴けないベス・オートンとのデュエット「Lean On Me」、
男同士の絆と友情を感じさせるポール・ウェラーとの「Brother To Brother」も。
ウェイン・ショーターの名作をリメイクした「Following Your Footprints」には、
テリー・キャリアーによる“Like a disciple, I follow in your footprints”という歌詞があるが、
その言葉をそのまま彼への敬愛の証として誓いたくなる。

改めてテリー・キャリアーの音楽を聴いていて思ったことがある。
彼にとって永遠の願いは、ここに収めた曲名でもある「No More Blues」という祈り。
それは、アレックス・ノースによる映画音楽曲のカヴァー「Love Theme From Spartacus」に彼がつけた歌詞からも、
誠実に伝わってきて、胸が詰まってしまう。

Can it be? Do you hear?
A new freedom song is ringing
No more dark, no more fear
There’s a new day that it’s bringing

Nujabesもサンプリングしたユセフ・ラティーフによるワルツ・ジャズ・ヴァージョンにも誰もが心酔するこの曲は、
さりげないアコースティック・ギターとタイトなグルーヴが絶品の4ヒーローによるリミックスが施され、
テリー・キャリアー第二章の幕開け、トーキング・ラウドからの復活を祝福するものだった。
もちろん『Free Soul. the classic of Terry Callier』でも、ハイライトのひとつになっている。

昨夜はこのコンピに続いて、Nujabesにジョヴァンカ&ベニー・シングスとの顔合わせで
シャーデーの名曲「Kiss Of Life」をカヴァーしてもらった『メロウ・ビーツ・フレンズ&ラヴァーズ』を聴いた。
僕が2009年の夏にプロデュースした、日本人アーティストによるメロウ・ビーツ名作を集めたコンピレイションだ。
それでも様々な思い出が駆けめぐり、80分間アルバムを通して聴き終えても、眠りは訪れなかった。

続けて、今年の初めに編んだばかりの『Urban-Mellow FM 77.4』をかけてみた。
Nujabesとの共演によるharuka nakamuraの珠玉のような「Lamp」が収められている。
その胸に沁みるMVの映像に思いを馳せていると、
Nujabesの家のテラスから由比ヶ浜に上がる花火を眺めたあの夏の宵がよみがえる。
憶えばNujabesも、テリー・キャリアーも、カーティス・メイフィールドも、
ときどきひどく優しい笑顔、大らかで慈しみにあふれた表情になる瞬間がある。
もう夜明けが近くなった午前4時すぎだっただろうか、haruka nakamuraに続いて今度は、
シンガポール出身のオリヴィアによる素敵な「Kiss Of Life」カヴァーが流れてくるのをベッドの中でぼんやりと確認した頃、
僕はようやく安らかな眠りについた。

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2月の選盤

“Free Soul”20周年記念盤として橋本徹さんにより選曲された、
カーティス・メイフィールドと並び称えられるシカゴ出身の伝説のソウルマン、
テリー・キャリアーの胸を震わせる真摯な歌声に涙すること必至の、
レーベルの枠を越えゲスト・ヴォーカル曲まで網羅された究極のオールタイム・ベスト・セレクション
『Free Soul. the classic of Terry Callier』
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テリー・キャリアー「Ordinary Joe」の感動的なライヴから、J・ディラ追悼曲やアーサー・ラッセル発掘音源まで、
“亡き友へのレクイエム”をコンセプトに綴られた、橋本徹さん選曲による、
Nujabesを始めとする夭逝した偉大な音楽家たちへのトリビュート・セレクション
『Brother Where Are You』
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Nujabes生前最後の作品となったシャーデー「Kiss Of Life」の名カヴァーを始め、
寄せては返す波や沈みゆく夕陽のように甘美な珠玉の名作が連なる、
橋本徹さんが監修プロデュースした人気コンピ・シリーズ“メロウ・ビーツ”のスペシャル・イシュー
『メロウ・ビーツ・フレンズ&ラヴァーズ』
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“アーバン・メロウ”をテーマに、“架空のFM”という設定で、
ジャズ〜ソウル〜ブラジリアン〜AORの至宝が美しくしなやかに紡がれた、
生前のNujabesとの共演によるharuka nakamuraの名曲「Lamp」にも感涙する、
橋本徹さん選曲のコンピレイション
『Urban-Mellow FM 77.4』
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橋本徹 (SUBURBIA)
編集者/選曲家/DJ/プロデューサー。
サバービア・ファクトリー主宰。
渋谷・公園通りの「カフェ・アプレミディ」「アプレミディ・セレソン」店主。
『フリー・ソウル』『メロウ・ビーツ』『アプレミディ』『ジャズ・シュプリーム』『音楽のある風景』シリーズなど、
選曲を手がけたコンピCDは250枚を越える。
USENで音楽放送チャンネル「usen for Cafe Apres-midi」を監修・制作。
著書に「Suburbia Suite」「公園通りみぎひだり」「公園通りの午後」「公園通りに吹く風は」「公園通りの春夏秋冬」などがある。
http://apres-midi.biz
http://music.usen.com/channel/d03/

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