連載コラム【音楽のある風景】 Vol.59

2017.03.31

グリーンレーベル リラクシング のBGMを選曲されている、
選曲家の橋本徹さんよりコラム【音楽のある風景】が届きました。



どうぞお楽しみください!

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3月の選曲は夢幻の美しさでメランコリックに、春を待ち望みながら。
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桜の季節がやってきました。
とはいえ、今年はまだ肌寒く、満開というわけではありませんが。
音楽ライフという面でも、僕はこの春を待ち望んでいました。
そう、あのジジ・マシンがヴェネチアからやってくるのです。

そんな長らく待ち焦がれていた名アンビエント・プロデューサー、ジジ・マシン初の来日公演を祝福するタイミングで、僕の最新コンピ、その名も『Gigi Masin For Good Mellows』も完成しました。イタリアの生ける伝説であり、絶大な再評価が進んでいるジジ・マシンは、チルアウト・メロウ・ピアノ・アンビエントの最高峰。彼のキャリアの集大成ベスト盤に相応しく、人気の高い代表的な名曲群はもちろん、Gaussian Curveを始めとするポスト・ニューエイジ〜バレアリック・チルアウトの精粋を担う関連プロジェクト、珠玉のような知られざる入手困難作、そして秘宝と言うべき未発表音源もフィーチャーして、敬愛の念をこめ82分19秒にわたって甘美な至宝を紡ぎました。収録を希望した楽曲のライセンスはすべてかなえられ、曲順もひと筆描きのように決まりました。

思えば僕とジジ・マシンの出会いは、2000年代が始まったばかりの頃。1999年にリリースされとても惹かれていたトゥ・ロココ・ロットの「Die Dinge Des Lebens」でサンプル・ループされていたのが、彼の世紀の名曲「Clouds」でした。やはりその曲が大好きだった友人でもあるNujabesが、ファイヴ・ディーズ「Latitude」のリミックス12インチのために、その印象的なフレーズのピッチを早めて引用したのが2002年。同じ頃ビョークの「It’s In Our Hands」にもサンプリングされたこともあり、「Clouds」はやがて知る人ぞ知る存在になっていきました。

そして時は流れ2010年代半ば、「Clouds」とジジ・マシン/ヤング・マルコ/ジョニー・ナッシュのユニットGaussian Curveによる「Impossible Island」は、マイ・コンピ『Good Mellows For Sunset Feeling』に収められ、昨年には限定250枚リリースだった48ページにおよぶアートブック(詩集&写真集)付きのスペシャルCD『Plays Hazkara』から、その中の白眉「My Red Rose」が『Good Mellows For Stardust Memory』にエントリーされました。

今回の盛り上がりの気運に僕は、『美しき音楽のある風景〜素晴らしきメランコリーのアルゼンチン』というコンピレイションを編み、愛してやまないアルゼンチン音楽の偉人カルロス・アギーレの初来日が実現した、2010年のことを思いださずにいられません。振り返ってみれば、あそこから何かが始まって、2010年代の素晴らしい音楽体験が次々と重なり、広がっていったのでした。夢よ再び、ジジ・マシンをめぐっても、ここから素敵なことがいろいろ起こり、心通う音楽好き同士のつながりと共感・共鳴が生まれていくと信じています。

幻想的でメランコリックな音のレイヤーが儚くも琴線に触れる心象風景、柔らかな詩情と優美なメロディーが夢幻の桃源郷へと誘う『Gigi Masin For Good Mellows』。その世界観が過不足のない美しさで描かれたジャケットを眺めながら、僕はさっそくこのCDを、何となくぼんやりと物思いにふける時間に重宝していますが、きっと読書のBGMや静かな瞑想のひとときにも最適だと思います。そして何よりも、これは眠りに落ちていく、まさにその瞬間に流れていてほしい音楽。それは夢の入り口。もちろん穏やかなめざめのグラデイションにも、この上なく心地よく響いてくれますが。

『Good Mellows For Sunset Feeling』における「Clouds」の世界初CD化から2年、コレクター垂涎だったジジ・マシン幻のレア名盤ファースト『Wind』のSuburbia Recordsによるボーナス・トラック&ボーナス・ディスク付きの世界初CD化から1年、まさしく感無量とはこのことです。この感激とときめきを胸に、僕は4月を迎えます(来日公演にはDJとして参加します)。クラブ〜チルアウト・ミュージックやブライアン・イーノに代表されるアンビエント・ミュージックの愛好家は言うまでもありませんが、ECMレーベルなどのジャズ・ファン、坂本龍一/中島ノブユキ/ゴンザレス『Solo Piano』やメランコリック・エレクトロニカを愛するクワイエット・リスナーといった、少しでも多くの音楽ファンに、ジジ・マシンが聴かれてほしいと心から願ってやみません。大推薦です!

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3月の選盤

国内から海外まで大好評を博す"Good Mellows"シリーズ第8弾にしてアーティスト編としてはカントマ(Cantoma)以来の2作目となる、ピアノ・メロウ・チルアウトのカリスマ的なイタリアの名アンビエント・プロデューサー、ジジ・マシンのキャリア集大成となる橋本徹さん選曲のベスト・コンピレイション『Gigi Masin For Good Mellows』


"Good Mellows, Good Fellows"を合言葉に、夕暮れどき特有のメロウな気分と心地よい叙情を美しいマジック・アワーの光景のようにシネマティックな音像に託して橋本徹さんが選曲した、ジジ・マシンの名曲「Clouds」が世界初CD化された絶品のコンピレイション『Good Mellows For Sunset Feeling』


"心の調律師のような音楽"をテーマに、風と水と光を感じさせる穏やかで繊細に揺らぐアルゼンチン音楽の知られざる名作に光を当て、リリカルで美しい切なくも優しい心象風景を描き、その後のクワイエット・ミュージックや中南米音楽の隆盛のきっかけになった、橋本徹さんが選曲した珠玉のコンピレイション『美しき音楽のある風景〜素晴らしきメランコリーのアルゼンチン』

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橋本徹 (SUBURBIA)
編集者/選曲家/DJ/プロデューサー。
サバービア・ファクトリー主宰。
渋谷の「カフェ・アプレミディ」「アプレミディ・セレソン」店主。
『フリー・ソウル』『メロウ・ビーツ』『アプレミディ』『ジャズ・シュプリーム』『音楽のある風景』『Good Mellows』シリーズなど、
選曲を手がけたコンピCDは330枚を越える。
USENで音楽放送チャンネル「usen for Cafe Apres-midi」「usen for Free Soul」を監修・制作。
著書に「Suburbia Suite」「公園通りみぎひだり」「公園通りの午後」「公園通りに吹く風は」「公園通りの春夏秋冬」などがある。
http://apres-midi.biz
http://music.usen.com/channel/d03/

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