連載コラム【音楽のある風景】 Vol.65

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2017.09.30


グリーンレーベル リラクシング のBGMを選曲されている、
選曲家の橋本徹さんよりコラム【音楽のある風景】が届きました。

どうぞお楽しみください!
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9月の選曲は、敬愛する音楽家への"思い"と"感謝"をこめて。
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秋になると毎年"思い"が募り、無性に聴きたくなるアーティストがいます。
胸を震わせる慈愛に満ちた歌声と切ないメロディーで、シカゴ出身の偉大なソウルマンとしてカーティス・メイフィールドと並び称される黒人シンガー・ソングライター、テリー・キャリアーです。

10/28で5周忌を迎えることもあり、今年は彼を偲んでカフェ・アプレミディで追悼写真展を開くことになりました。
ヒューマンな暖かみあふれるソウル/ジャズ/フォーク/ブルースが溶け合った彼の心震わせる音楽の中でも、とりわけ人気の高い2曲「Ordinary Joe」と「Look At Me Now」をカップリングした7インチ・シングルも、レコードの日(11/3)にリリースされます。

テリー・キャリアーの「Ordinary Joe」という曲に、1990年代初頭に出会っていなかったら、Free Soulムーヴメントは始まっていなかったかもしれません。
こんないい曲が知られていないなんて、という疑問は、20代半ばの自分をFree Soulに駆りたてるに充分な動機でした。
だからこそ5年前の秋に、彼が亡くなったという悲しい知らせを受けたとき、最初は信じられないという気持ちで言葉が出ませんでしたが、やがて様々な思いやシーンが脳裏を駆けめぐり、大きな哀しみの後に"感謝"という言葉でしか表現しようのない強い気持ちが湧き上がってきました。
残念ながら昨今は、敬愛するミュージシャンの死に直面することは少なくありませんが、あれほど真摯な心持ちに満たされたことはなかったように思います。

そして僕は、テリー・キャリアーから受けとった感動を素直に記録しておきたいと、ささやかな鎮魂の希いをこめて、『Free Soul. the classic of Terry Callier』を制作したのでした。
これを機会に、じんわりと心の柔らかい部分に触れてくる、彼の滋味深い歌に接してくださる方が少しでも増えたら、と心から願います。
コンパイルの過程で、これほど"人生"ということについて考えたことはありませんでした。

僕とFree Soulにとってのアーバン・ブルースと言える「Ordinary Joe」の歌詞を引用して締めくくりましょう。
I’ve seen a sparrow get high
He’s a little bit freer than I
このフレーズを口ずさみながら空を見上げるとき、天国で和やかに微笑むテリー・キャリアーの表情を思い浮かべ、僕は自由について考えます。

追記:
10/28から11/19までカフェ・アプレミディで開催されるテリー・キャリアー写真展では、初日と最終日に彼を愛してやまないDJたちが集う追悼パーティーも企画されていて、僕の信頼する友人でありミュージシャンの山下洋やUyama Hirotoもテリー・キャリアーに捧ぐトリビュート・ライヴを披露してくれる予定なので、とても楽しみです。

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9月の選盤


名プロデューサーのチャールズ・ステップニーと組んだ名門カデットからジャイルス・ピーターソンの尽力で再起を果たしたトーキング・ラウドまで、レーベルの枠をこえてFree Soul 20周年記念盤として橋本徹さんにより選曲された、ポール・ウェラー/ベス・オートン/Nujabesとの共演も含む、テリー・キャリアーの愛と涙の半世紀におよぶ伝説のキャリアを集大成した究極のオールタイム・ベスト・セレクション『Free Soul. the classic of Terry Callier』


テリー・キャリアーの胸を震わせる真摯な歌声に涙すること必至のFree Soulムーヴメントの金字塔的な名作であり、Nujabesも本人を迎えカヴァーした「Ordinary Joe」と、オリジナル・シングルはマニア垂涎の高額レア盤で、ノーザン・ソウル・シーン沸騰のグルーヴィー・チューン「Look At Me Now」を収めた、橋本徹さん監修により正規リイシューされる強力カップリング7インチ


テリー・キャリアー「Ordinary Joe」の感動的なライヴから、J・ディラ追悼曲やアーサー・ラッセル発掘音源まで、"亡き友へのレクイエム"をコンセプトに綴られた、橋本徹さん選曲による、Nujabesを始めとする夭逝した偉大な音楽家たちへのトリビュート・セレクション『Brother Where Are You』

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橋本徹 (SUBURBIA)
編集者/選曲家/DJ/プロデューサー。
サバービア・ファクトリー主宰。
渋谷の「カフェ・アプレミディ」「アプレミディ・セレソン」店主。
『フリー・ソウル』『メロウ・ビーツ』『アプレミディ』『ジャズ・シュプリーム』『音楽のある風景』『Good Mellows』シリーズなど、
選曲を手がけたコンピCDは340枚を越える。
USENで音楽放送チャンネル「usen for Cafe Apres-midi」「usen for Free Soul」を監修・制作。
著書に「Suburbia Suite」「公園通りみぎひだり」「公園通りの午後」「公園通りに吹く風は」「公園通りの春夏秋冬」などがある。
http://apres-midi.biz
http://music.usen.com/channel/d03/

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