連載コラム【音楽のある風景】 Vol.69

2018.01.31 NEW

グリーンレーベル リラクシング のBGMを選曲されている、
選曲家の橋本徹さんよりコラム【音楽のある風景】が届きました。



どうぞお楽しみください!

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1月の選曲は、地球の裏側の素敵な音楽に思いを馳せて。
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2018年がスタートしました。
今年も皆さんに素敵な音楽をご紹介できたら、と思っていますので、よろしくお願いいたします。

この冬は東京も大雪が降ったりで、とても寒い日が続いていますが、僕は地球の裏側、アフロ・ブラジリアンの素晴らしい音楽に思いを馳せたりして、ささやかながら楽しくすごしています。

きっかけは、昨年暮れに輸入盤がリリースされ、2月にアプレミディ・レコーズから日本盤をお届けできることになって嬉しい、ルエジ・ルナの『Um Corpo No Mundo』という傑作デビュー・アルバム。
しなやかでナチュラルなサウダージ香る歌声に、ニュアンス豊かな洗練されたアレンジメントも最高で、早耳リスナーの間ではすでに話題沸騰、"サンパウロの至宝"という称賛の声と共に大評判になっている女性ヴォーカリストの名盤です。

知性と野性が伸びやかに混じり合い、深い叙情性が生まれる、稀代のブライテスト・ホープにして、まさしくアフロ・ブラジリアン・ビューティー。
豊潤なギターとパーカッションの柔らかでポリリズミックなアンサンブルに、絶妙なフィーリングを加えるジャジーなホーン・セクション、こまやかな陰影に富んだ躍動と輝きあふれるヴォーカルの存在感。
アコースティック・メロウなシンガー・ソングライター好きにもぜひお薦めしたい、まろやかで生き生きとした、心動かされずにはいられない、いま最も素敵な音楽です。
もしYouTubeでタイトル曲「Um Corpo No Mundo」のMVをご覧いただけたら、僕の意見にきっと皆さんもうなずいてくださることでしょう。

彼女のアルバムを聴いていると、プロデューサーが同じセバスティアン・ノティーニということもあり(日本盤発売のライセンスに尽力してくれたのも彼でした)、どうしても思い浮かべずにいられないのが、やはりアプレミディ・レコーズからアルバム2作を発表しているチガナ・サンタナ。
アフロ・ブラジルの聖地バイーア出身の黒人男性シンガー・ソングライターで、ヨーロッパの音楽メディアでも"アフロ・ブラジリアン・ニック・ドレイク"と軒並み絶賛されているアーティストです。
美しく静かな音楽でありながら、知性と野性が同居する、静寂のエレガンス=モノトーンと鮮烈のスピリチュアリティー=豊かな色彩が交錯する音世界。
翳りを帯びた内省的な歌声と、低音弦を強調した独特のチューニングが施された5弦ギターのシャーマニックなオープン・コードの響きに、アフロ・ブラジルを強く感じずにはいられません。

そしてもう一枚、アフロ・ブラジレイロの魅力と言えば記憶に新しい、ブラジリアン・ジャズ新世代ギタリスト、ロウレンソ・ヘベッチス2016年の名作で、昨年サバービア・レコーズからアナログ・リリースできた興奮もまだ覚めやらない『O Corpo De Dentro』も大推薦。
こちらもアフロ・ブラジルの豊穣なグルーヴに、J・ディラ以降のねじれたビート感覚、ラージ・アンサンブルや室内楽ジャズの系譜も息づく、"ギル・エヴァンス×モアシール・サントス"と最大級の讃辞を贈りたい、ジャズとブラジル音楽の邂逅の記念碑です。
アート・リンゼイ・プロデュースの前衛的なセンスも香らせながら、ディアンジェロやケンドリック・ラマーに触発されて生まれたアルバム、というのも僕には完璧。

今回は少しマニアックな紹介文になってしまったかもしれませんが(恐縮です)、何の予備知識もなく接してもらっても素晴らしい作品ばかりですので、インドアですごす時間が増えるこの季節、よかったら聴いてみてください!

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1月の選盤


近年注目を集めるアフロ・ブラジレイロMPBの新潮流、知性と野性がしなやかに溶け合い、まろやかで伸びやかな歌声と豊かでこまやかな躍動のアンサンブルに深い叙情性が宿る、"サンパウロの宝石"と讃辞を受ける女性シンガー・ソングライターの2017年暮れに発表されたファースト・アルバムで、橋本徹さんが監修するアプレミディ・レコーズから日本盤リリースされるルエジ・ルナの『Um Corpo No Mundo』


聴けば聴くほどに胸に沁みる歌とギター、シンプルなパーカッションに弦楽四重奏やピアノ、コラの幽玄な響き、"アフロ・ブラジリアン・ニック・ドレイク"とも称賛されるバイーア出身の黒人シンガー・ソングライターによるセカンド・アルバムで、2013年に橋本徹さんが監修するアプレミディ・レコーズから日本盤リリースされたチガナ・サンタナの『The Invention Of Colour』


セネガルでのアフリカ人ミュージシャンとの共演を中心にした、記憶の古層を刺激するような叙情性と物語性をたたえたスピリチュアルな歌の数々、心安らぐ"人類のための子守歌"とも絶賛されるアフロ・ブラジルの聖地に生まれた男性シンガー・ソングライターによる2枚組サード・アルバムで、2015年に橋本徹さんが監修するアプレミディ・レコーズから日本盤リリースされたチガナ・サンタナの『Tempo & Magma』


ギル・エヴァンス〜マリア・シュナイダーを思わせるラージ・アンサンブルにアフロ・ブラジリアン・パーカッション、ロバート・グラスパー以降のジャズ・ミュージシャンによるポスト・ヒップホップ的なビート感覚が融合した2016年のブラジル・ジャズ名作で、2017年に橋本徹さんが監修するサバービア・レコーズからアナログ・リリースされたロウレンソ・ヘベッチスの『O Corpo De Dentro』

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橋本徹 (SUBURBIA)
編集者/選曲家/DJ/プロデューサー。
サバービア・ファクトリー主宰。
渋谷の「カフェ・アプレミディ」「アプレミディ・セレソン」店主。
『フリー・ソウル』『メロウ・ビーツ』『アプレミディ』『ジャズ・シュプリーム』『音楽のある風景』『Good Mellows』シリーズなど、
選曲を手がけたコンピCDは340枚を越える。
USENで音楽放送チャンネル「usen for Cafe Apres-midi」「usen for Free Soul」を監修・制作。
著書に「Suburbia Suite」「公園通りみぎひだり」「公園通りの午後」「公園通りに吹く風は」「公園通りの春夏秋冬」などがある。
http://apres-midi.biz
http://music.usen.com/channel/d03/

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