連載コラム【音楽のある風景】 Vol.125

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2022.09.30 

グリーンレーベル リラクシングのBGMを選曲されている、選曲家の橋本徹さんより、コラム【音楽のある風景】が届きました。




どうぞお楽しみください!


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9月の選曲は、"慈愛と鎮魂の調べ"であり"心の調律師のような音楽"を。
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9月、気候的にもとても心地よく、秋の装いに身を包んで、街に出かけたくなる季節ですね。
ところが僕は、9/6に不意のアクシデントで左足首を骨折してしまい、全治1か月と診断され、ギプスで固定して安静にしながらの、松葉杖生活を余儀なくされてしまいました。
昨日ようやくギプスがとれて、アンクル・バンドを巻いて、左足には重心をかけずに、少しずつ歩き始めたところですが、つらいひと月になってしまいました。
気分もどうしても落ちてしまうので、皆さんも健康にはくれぐれもお気をつけておすごしください。

9月を振り返ると、音楽的には、ファラオ・サンダースの訃報が届いたことも、個人的には大きかったです。
心よりご冥福をお祈りいたします。
ジョン・コルトレーンの志を継いだサックス奏者として名高く、生きる伝説として誉れ高かったジャズ・ジャイアンツのひとりですが、僕にとってはチェット・ベイカーと並んで、心の奥深いところに寄り添ってくれる、思い入れ深く愛してやまないジャズマンでした。

20年ほど前には、ファラオ・サンダースとスピリチュアル・ジャズについて、1万字をこえる長い文章を書いたこともあり、カフェ・アプレミディのスタッフや今は亡きNujabesを始めとする音楽仲間と、来日公演にも足繁く通っていましたが、自分にとって彼の音楽が本当に大切な命綱になったのは、2010年前後のことでした。
僕はその頃、精神的にいわゆる鬱気味の状態にあり、音楽だけを救いとしていたのですが、それこそ毎晩のように聴いていたのが、当時コンパイルした『Chill-Out Mellow Beats ~ Harmonie du soir』というCDに収録させてもらったファラオ・サンダースの「Moon Child」で、その曲を聴くことで何とか心の安寧を保っていました。
それはまさしく、"慈愛と鎮魂の調べ"であり、"心の調律師のような音楽"だったのです。

Nujabesが亡くなった後に編んだコンピ『Brother Where Are You』には、彼が深い敬愛をこめてサンプリングしていたファラオ・サンダースの曲、「Save Our Children」も収録しました(毎年2月に開かれるNujabes追悼イヴェントでは、この曲のリミックス12インチを必ずプレイしています)。

ファラオ・サンダースも名演を残している、やはりNujabesがサンプリングしていたジョン・ヒックスの名曲「After The Morning」に始まる、2008年に作ったコンピレイション『Jazz Supreme ~ Spiritual Waltz-A-Nova』には、ジョン・コルトレーンの名が歌いこまれる彼のカヴァーした「Moments Notice」も入れています。
さらに、コンピCDのサブタイトルにも引用させてもらった『Jazz Supreme ~ Spiritual Love Is Everywhere』では、ファラオ・サンダース不朽の名作「Love Is Everywhere」がオープニングを飾っています。
そう、ファラオ・サンダースという存在が、僕の『Jazz Supreme』コンピ・シリーズの精神的支柱でもあったのです。

もちろん、僕のコンピレイションが入り口でなくても構いません。
今回のコラムを読んで、少しでも彼に興味を抱いた方は、ぜひその音楽にも触れてみてください。
日本では、僕がリイシュー監修を手がけたCDLPも含め、ファラオ・サンダースのほぼすべての作品が、何度かにわたってリリースされていますので。


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ドビュッシーの曲名「夕べのしらべ」(Harmonie du soir)をテーマに人気コンピ・シリーズ『Mellow Beats』のスペシャル・イシューとして登場した、沈む夕陽に美しく風景が染まる奇跡の瞬間のようなドラマティックでロマンティックな心に迫る名曲が連なり、ファラオ・サンダース「Moon Child」も収録された、橋本徹さんが2010年に選曲した珠玉のコンピレイション『Chill-Out Mellow Beats Harmonie du soir

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"亡き友へのレクイエム"をコンセプトに夭逝した偉大な音楽家たちへのトリビュート・セレクションとして登場した、死者の尊厳を悼み忘れかけた面影をよみがえらせ魂を震わせるような胸を打つ名曲が連なる、ファラオ・サンダース「Save Our Children」も収録された、橋本徹さんが2010年に選曲した至高のコンピレイション『Brother Where Are You

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研ぎ澄まされた審美眼で"至上のジャズ"を選び抜いた名コンピ・シリーズの第1弾となった、スピリチュアルなフィーリングとワルツ的なタイム感に着目して、ジョン・コルトレーンの志を継ぐ「至上の愛」に充ちた精神の高揚と意識の解放をもたらす時空をこえる名作をたっぷり揃え、ファラオ・サンダース「Moments Notice」も収録された、橋本徹さんが2008年に選曲した究極のコンピレイション『Jazz Supreme ~ Spiritual Waltz-A-Nova

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研ぎ澄まされた審美眼で"至上のジャズ"を選び抜いた名コンピ・シリーズのハイライトとなった、新旧/ジャンル/国・地域をこえて、ジョン・コルトレーンの意思と魂を受け継いだサウンドとスピリチュアリティーが永遠の輝きを放つ聖なる名作をたっぷり揃え、ファラオ・サンダース「Love Is Everywhere」も収録された、橋本徹さんが2008年に選曲した極上のコンピレイション『Jazz Supreme ~ Spiritual Love Is Everywhere

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2014年にリリースされFree Soul 20周年のクライマックスを飾るにふさわしいファン待望の顔合わせと祝福された、世界的にも今なお人気が広がり続ける日本が生んだ名サウンド・クリエイター、故Nujabesの心を打つ名作の数々が深い愛情と追悼の思いをこめて紡がれた、ファラオ・サンダース「Save Our Children」がサンプリングされた「Blessing It (Remix)」も収録された、橋本徹さん選曲の国宝級コンピレイション『Free Soul Nujabes ~ First Collection

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橋本徹 (SUBURBIA)

編集者/選曲家/DJ/プロデューサー。
サバービア・ファクトリー主宰。
渋谷の「カフェ・アプレミディ」「アプレミディ・セレソン」店主。
『フリー・ソウル』『メロウ・ビーツ』『アプレミディ』『ジャズ・シュプリーム』『音楽のある風景』『Good Mellows』シリーズなど、選曲を手がけたコンピCDは350枚を越える。
USENで音楽放送チャンネル「usen for Cafe Apres-midi」「usen for Free Soul」を監修・制作。
著書に「Suburbia Suite」「公園通りみぎひだり」「公園通りの午後」「公園通りに吹く風は」「公園通りの春夏秋冬」などがある。

http://apres-midi.biz
http://music.usen.com/channel/d03/

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