連載コラム【音楽のある風景】 Vol.128

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2022.12.31 

グリーンレーベル リラクシングのBGMを選曲されている、選曲家の橋本徹さんより、コラム【音楽のある風景】が届きました。




どうぞお楽しみください!


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12月の選曲は音色とビートのロマンティストに身を委ね、希望の光を胸に抱いて。
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世界中が経験したことのなかった苦難・困難に見舞われて3年、今年も何とか年の瀬を迎えることができました。
甘美に華やいだかつての風景は望むべくもありませんが、12月の街並み、その装いや表情を少しでもささやかな幸せで彩ることができたらという思いで、僕は日々の選曲に励んでいました。
そう、今は一年で最も心暖まりたくなる季節、皆さんはどんな師走をおすごしでしたか?

今月のこのコラムでは、先日NHKEテレ「星野源のおんがくこうろん」でも特集されたので、再び注目度が高まっている、レイ・ハラカミの音楽を紹介したいと思います。
叙情的でメロディアスなエレクトロニカを奏でるアーティストとして人気を集めたレイ・ハラカミは、自身名義の作品はもちろん、日本科学未来館プラネタリウムの音楽やCM音楽、映画『天然コケッコー』のサントラや、UA〜くるり〜GREAT3などのプロデュースやリミックス、矢野顕子とのユニットyanokamiでも活躍していましたが、2011年夏、40歳の若さで脳出血のため亡くなってしまいました。

僕は彼が亡くなる2年前の夏、日本人アーティストのフェイヴァリット作を集めたコンピ『Mellow Beats, Friends & Lovers』に、大好きな「lust」を収録させてもらったのですが、その曲をタイトルに冠した2005年にCDリリースされた名盤が、このたび1228日に2枚組のレコードとして再発されたのもナイス・タイミングですね。
今回リイシューされた2枚組LPには、僕が敬愛するビルド・アン・アークのカルロス・ニーニョが、新たにライナーノーツを寄稿しているのも嬉しいですが、オリジナルCDが発売された前々日、2005523日に、僕はその印象を単行本『公園通りみぎひだり』に綴っていますので、ここに引用させていただきましょう。

大愛聴盤だった『red curb』以来4年ぶりに、待ちに待ったレイ・ハラカミのニュー・アルバム『lust』が到着。今回もあまりに素晴らしい、メランコリック・エレクトロニカの最高峰なんてお決まりのフレーズでは片付けられない、間違いなく今年上半期のNo.1候補。淡く滲んでいく水彩画のタッチのように柔らかな電子音とビートで描き出される心地よすぎる音像は、矢野顕子さんいわく、「世界遺産に決定」だそうです。その矢野さんも歌っていた、細野晴臣の名作『HOSONO HOUSE』収録のあの名曲をカヴァーした「owari no kisetsu」は、なんと自身の仮歌入り。昨日は一晩中、このアルバムをリピートしながら本を読んでいました。

この『lust』からは、タイトル曲はもちろん、「joy」や「come here go there」も、green label relaxingのショップBGMにセレクトしていますので、ぜひ聴いてみてください。
久しぶりに聴いても、インストゥルメンタルでも""が滲みでてくるように音のレイヤーが広がる、揺らぐ音色と揺らめくビートに、僕は相変わらずとても惹かれてしまいました。

光の反射や屈折、さざ波のきらめき、オシロスコープの波動のようでもあり、心地よくも胸に沁みてくる、瞑想的でありながら躍動感のあるエレクトロニック・ミュージック。
懐かしい未来、あるいは未来のノスタルジーのような音像に身を委ねていると、そこには茶目っ気とユーモア、オーガニックなフィーリングや、ある種のロマンティシズムも感じられて、レイ・ハラカミは音色とビートのロマンティストだったんだな、と改めて思ったりもしました。

それでは皆さん、本当に先の見えない時代、厳しい世の中が続いていますが、素敵な音楽との心躍る出会いを楽しみに、希望の光を胸に抱いて、新しい年を迎えましょう。


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叙情的でメロディアスなエレクトロニック・ミュージックで人気を呼んだ故レイ・ハラカミさんが2005年にCDリリースし、矢野顕子さんも「世界遺産に決定」と絶賛した名盤で、このたび2枚組LPとして復刻されたばかりの『lust

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レイ・ハラカミさんの名曲「lust」も収録され、人気シリーズ"Mellow Beats"のスピンオフ企画として2009年にCDリリースされ大好評を博した、橋本徹さんが選りすぐりの日本人アーティストのフェイヴァリット作を集めた珠玉のコンピレイション『Mellow Beats, Friends & Lovers


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橋本徹 (SUBURBIA)

編集者/選曲家/DJ/プロデューサー。
サバービア・ファクトリー主宰。
渋谷の「カフェ・アプレミディ」「アプレミディ・セレソン」店主。
『フリー・ソウル』『メロウ・ビーツ』『アプレミディ』『ジャズ・シュプリーム』『音楽のある風景』『Good Mellows』シリーズなど、選曲を手がけたコンピCDは350枚を越える。
USENで音楽放送チャンネル「usen for Cafe Apres-midi」「usen for Free Soul」を監修・制作。
著書に「Suburbia Suite」「公園通りみぎひだり」「公園通りの午後」「公園通りに吹く風は」「公園通りの春夏秋冬」などがある。

http://apres-midi.biz
http://music.usen.com/channel/d03/

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