ひとりを起点に、新しいファッションを作る。

041 with UNITED ARROWS LTD.

後ろが外せる2wayコート

¥24,200(税込)

STORY

開発の起点になった上原大祐さん(左)

車いすを利用される方は雨の日の外の移動の時、一般的なレインコートを着用すると、コートが車輪に引っかかったり、背中がゴワゴワしたり、なかなか使い勝手の良いものがないのが現状です。

開発の起点になった上原大祐さんは、生まれつき二分脊椎で30年以上車いすで生活をされています。パラアイスホッケー選手として、平昌パラリンピックにも出場された方でもあります。そんな上原さんもずっとレインコートには悩まされてきたと言います。「ちょうどいいレインコートがないんですよ。傘は傘で、片手がふさがってしまうので車いすがこげなくなってしまうため使えない。だから雨の日には、駆け抜けるしかなかったんですよね(笑)。当然濡れるし、風邪をひくこともあるし、そうすると雨の日が憂鬱なんですよね」。

そこで開発したのが「後ろが外せる2wayコート」。車いすのユーザーが快適に着用できる晴雨兼用のコートでありながら、すべての人がミリタリーコートとしてもオシャレに着られる一着です。ポイントは、背中のヨーク部分がボタン留めになっていて、背中の下半分を取り外すことができること。車いすに座った際に背中がごわつかず、コートが車輪に巻き込まれる心配もありません。しかも、取り外した生地でひざ下を覆い両サイドのファスナーを閉じれば、フットカバーとしても使えます。

「サイズ調整できるアジャスターもあちこちについているので、例えば脇腹がタイヤに擦れないように絞ってフィットできるのが凄く良いです。ダボダボしないのでストレスがないですね。擦れると泥だらけになって見た目も非常に悪いので」「アジャストできることで、スリムなフォルムになるのもとっても良いです。ダボっとしたレインコートだと、われわれ車いすユーザーって『てるてる坊主感』が出ちゃうんですよ(笑)。これだとスリムでおしゃれな色合いで、すごく良い」。自らアジャスターを触りながら、笑顔を浮かべる上原さん。

車いすの背もたれが雨に濡れないように、背中のヨークの丈の長さを確保。着脱のボタンはスナップボタンを採用しています。

ファッション性の高さと、ストレスなく車いすをこげる機能性の両面を大切に開発した

「生まれてこのかた『雨問題』を抱えていたんですけど、これがあると気分がだいぶ違いますね。今日も雨が降っているので、このまま着て帰りたいくらいです(笑)。車いすのレインコート事情は長年改善されていなかったんですけど、こうやってオシャレにレインコートを楽しめるのは画期的ですね。完璧です」。誰もが雨の日でも不快にならずに外に出かけることができるように。そんな気持ちを込めて作った、背中が取り外せる新しい2way仕様のコートです。

PATTERN MAKER VOICE

「上原様は、アクティブに活動される方でスポーツ選手ということもあり筋肉があるため、いろいろな動きや体を使って日常生活をこなせる印象でした。しかし、当初提案したデザインでは、車いすとの相性のボリューム感や仕様などさまざまな部分で相違があり、現実的に長めのコート開発自体が可能なのか?と疑問に思うほどでした」(企画担当者)。

 

「健常者と障害のある方が両方着用でき、かっこよく、かつ機能を満たすためのデザインとパターンにこだわった部分が一番苦労しましたが、後ろの取り外しできるデザイン仕様や、外した後の機能性、アジャスターなど、随所にアイデアを散りばめました。上原さんにも『完璧』とおっしゃっていただけました」(企画担当者)。