INVERTEREコート

高貴なるダッフルコート

ダッフルコートと聞いて、どんなイメージを思い浮かべるでしょうか。猟師の防寒着やミリタリーに由来する骨太さ、トラッドのアイコンゆえの品行方正さ、あるいはスクールウェアからくる懐旧の念にかられる方も多いかもしれません。しかしインバーティアのダッフルは、こういった定型的イメージとは少々違う趣を宿しています。ありていに言えば大人の品格、さらに言えば“高貴さ”を感じさせる佇まいこそ、インバーティアならではの魅力といえるでしょう。
静かに醸し出される高貴さ、その源はもちろん、すみずみまで行き渡った上質さにあります。なかでも特筆すべきは、ジョシュア エリス社が手がけた特別なヘリンボーン生地。かつて世界最高峰のクオリティと称されながら、時代の波に抗えず姿を消してしまった幻の素材を、当時と同じヴィンテージ織機を用いて再現したものです。柔らかいふくらみ感と美しい綾目。これが、なんともノーブルな佇まいを演出してくれるのです。ちなみにユナイテッドアローズの別注品では、そんな魅力を引き立てるため10㎝ほど着丈を長くしてクラシックに仕上げています。
冷たく澄み渡った冬の日、シンプルなニットの上から無造作に羽織り、首元にはカシミアのマフラーを巻いて出かける。インバーティアのダッフルを見ると、そんな余裕に満ちたライフスタイルが目に浮かんできます。

（TEXT＝小曽根 広光）