8 Hot Topics for Autumn
まだまだ暑いけれどそろそろ気になるのは、秋に着る服のこと。ファッションの最前線で活躍するおしゃれのプロ、スタイリスト&エディター4名が8つのトレンドキーワードをピックアップ。秋のトレンド傾向から気になるカラー、手に入れるべきアイテムまで、新たなシーズンへの期待が高まるトピックをチェックして。
STYLIST
誰からも愛されるリアルなコーディネートに定評のある人気スタイリスト。著書に、『ただ着るだけでおしゃれになる ワンツーコーデ』『大人気スタイリストがすすめる コスパのいい服』などがある。
EDITOR & WRITER
女性ファッション誌を中心にファッションエディターとして活躍。スタイリストからも絶大な信頼を受ける人気エディター。著書に、『ファッションエディター磯部安伽のスマートクローゼット〜ベーシック服で1年を賢く着回す29のメソッド〜』がある。
STYLIST
独特な色使いやバランス感を武器に、男性ファッション誌やカタログをはじめ、テレビやCM、映画などで俳優やタレントのスタイリングを手掛ける。ほぼ毎日かぶっているというキャップがトレードマーク。
EDITOR & WRITER
男性ファッション誌やカタログなどを中心に、フリーランスのファッションエディターとして活躍。ファッションやカルチャーなどの幅広い知識を生かし、メディア制作や企画提案等も行っている。
磯部
まだまだ暑いけど、秋物が気になる時期がやってきましたね。私は、この秋はいつも以上におしゃれを楽しみたい気分です! 麻琴さんはどうですか?
福田
私もそう思います! あとは、オーバーサイズのゆるさのあるトレンドが続いていたから、久しぶりにパンプスを履いたりして、ちょっとキリッとしたいな。
片貝
メンズは引き続きベーシック、トラッドな流れだけど、素材やデザインで今っぽさを感じさせるアイテムが気になりますね。
行方
そうですね。〈Barbour〉とか〈L.L.Bean〉などのトラディショナルなアイテムを“まんま”で着ずに、少しストリート感をプラスしたり、色味で遊んだりとか。
磯部
ウィメンズとメンズのトレンドに共通点があるのかも楽しみですね! よろしくお願いします!
福田
今期よく見かけたのは黒のアイテム。強めの黒っていうより、素材がちょっと透けていたり、艶っぽかったり、“女っぽい”黒。といっても、嫌らしくなくて、“女性が憧れる女”というか…そんなイメージ。
磯部
わかる! 今年の春はなかなか外出できなかったから、女性たちのおしゃれしたい欲がムクムクと湧いているのかも!
福田
そうそう。やっぱりボーイッシュというより、華やかで女っぽかったり、可愛げのある感じが気分なのかな。レースのスカートやボウタイブラウスも、黒だったら大人でも気負わず着られるから、取り入れやすいし。
磯部
あとは、シューズやバッグなどの小物類も、ひとつ投入するだけで着映え感が出るから、ぜひ手に入れたいよね。
行方
やはり今期はウィメンズ同様、圧倒的に黒が目立っていますね。少し前だと何かとネイビーを合わせがちでしたが、最近はそれがガラッと黒一択に変わったような印象です。
片貝
それはありますね。先シーズンは、どのショップもネイビーのコーナーが大部分を占めていたところが、今は黒。僕も断然黒が着たい気分ですね。
行方
アイテムとしては、レザーやスタジャンなどどこか懐かしさのあるものが増えているので、それらをうまくこなす役割をしてくれる黒が欠かせないのではないかと。黒にはモード感やシャープさがあるから、バランスよくまとめてくれるんですよね。
片貝
万能だから、全身黒でももちろんかっこいいし、今期増えてきている色味の強いアイテムとの相性もいい。秋はまず黒、という感じでしょうか。
磯部
色でいうと、黒とともに気になるのが、やさしい色合いの “何色なのかな”っていうような曖昧な色。ピンクベージュや、グレーがかったブルーの色味だったり。
福田
私も色物を着るなら、ブルーグレーみたいなニュアンス系の色。それに、黒のシューズを合わせて引き締めて着たい気分。甘いだけじゃなくて、少しスパイスも加えるのが今っぽいのかも。
磯部
全身淡い色でまとめてしまうとぼやっとした印象になるから、そこに黒を差すことでバランスよく着られるし、おしゃれに見えるよね! 逆に、全身黒の服にくすみパステルの小物を投入するのも可愛いし、やってみたいな。
福田
まさに! その甘さと辛さのバランスが、今の気分。「黒」と「くすみパステル」のふたつが、この秋のトレンドカラーになりそうですね。
片貝
ウィメンズでも挙がっていましたが、メンズもくすんだ色合いのアイテムは多いですね。ベージュも引き続き人気がありますし、くすんだブルーやパープルとか、少し明るめのカラーも増えてきた気がします。
行方
先ほど話が出た黒との相性もいいですし、もしかしたら黒のトレンドの流れでそういったアイテムが増えているのかも知れないですね。
片貝
ネイビーよりも黒の方がより印象を引き締めてくれるので、そういう意味でも、今の気分はネイビーよりも黒ということなのかなと。
行方
“くすみパステル”と“黒”は単体というよりセットで着るような気分かなと。
Pants [SIX CRISP DAYS]
¥13,000 +TAX
Shirt [UNITED ARROWS]
¥29,000 +TAX
Overall [UNITED ARROWS]
¥25,000 +TAX
磯部
黒のトピックの中でも話が出た「艶感」にも通じる話ですが、今季可愛いレザーアイテムが続々登場していて、ぜひ取り入れたいなと思っています。サロペットやシャツも、素材が変わるだけでこんなに大人っぽく着られるんだなと。
福田
大人になってくると、どこかにロックな要素を加えるといい塩梅の着こなしになるように感じていて。中でもフェイクレザーは重くないし、ストレッチが効いていたりして着心地も抜群。リアルレザーに比べたら断然お手入れが簡単だから、扱いやすいのもうれしいですね。
磯部
もう少し寒くなったら、ざっくりニットにレザーパンツの着こなしもしてみたいな。今までだったらデニムパンツを合わせていたけど、今年はレザーで“潔い女らしさ”を意識したい。他にもレザーにシフォンなど、素材感をミックスした着こなしは今年らしいスタイルだと思います。
福田
ここでもやっぱり、ポイントになるのは「女らしさ」ですね。この秋はかっこいい女を気取りましょう。
行方
今季は“ストリート”と“クラシック”のバランスがキーになってくると思います。ネルシャツやスタプレ、ダッフルコートなど、アイテム自体は90年代の時代観を感じるけれど、サイズ感はオーバーサイズなど、今っぽいエッセンスを加えたアイテムが出てきていますね。
片貝
そうですね。クラシックなアイテムを現代版にアップデートしたものをよく見掛けますし。上の写真のような“THE 90’s”な着こなしに、レザーのキャップと〈クラークス〉のモカシンを合わせたスタイルも今見るとすごく新鮮ですよね。
行方
逆に今はその雰囲気が洒落ているというか、よりベーシック、クラシックな流れを汲んでいるような気がしています。
福田
久しぶりに、「私って女だなぁ」って感じるような華やかな色の靴やキラキラした靴を履きたい気分。これまで主流だったマニッシュな装いに、“女靴”を合わせるクールな女性らしさも素敵だなと。
磯部
私も足元にポイントがあるスタイルが気になります。自分が履いていて気分が上がるようなシューズを主役にコーディネートを考えるのも楽しいかも!
福田
それも素敵! やっぱり、シューズの話だけではなくてアイテム全般で、“おしゃれするのって楽しいな”と思えるかどうかがトレンドの軸になっていますね。
行方
今季のトレンドを語る上でセットアップは外せないかなと思いますね。特に最近は、テーラードジャケット+パンツのセットアップだけでなく、コート、シャツ、カバーオールなど、羽織りのバリエーションが広がったのが特徴ではないかと。
片貝
たくさんの中から選べるのは嬉しいですよね。デザインも、スーツ感覚できるようなきれいめなものもあれば、ワークっぽいものもあったりするのも面白いなと思いますね。
行方
それに、秋口にはアウターとして、冬にはコートも羽織れるので、長く活躍してくれるのもいいですよね。
片貝
セットアップは着るだけでサマになるのも◎。合わせるインナーによってガラッと印象が変わりますし、アレンジでいろいろと楽しめるアイテムだと思います。
左から
Coat [THE LOOM]
¥29,000 +TAX
Cut&sewn [UNITED ARROWS]
¥9,000 +TAX
Shirt [AEWEN MATOPH]
¥21,000 +TAX
Sweater [BEAUTY&YOUTH]
¥9,000 +TAX
磯部
ワンピースやシャツの中に、ハイゲージのタートルニットやカットソーを入れる着こなしが気になっています。簡単にできるし、すぐに品のある今っぽいこなれた着こなしに見えるのもすごくいい。
福田
そうそう、抜け感ではなくて、クリーンでミニマムな感じ。オーバーサイズのシャツの中に重ねるだけで、程よいニュアンスが出るのがいいですね。今着たいのって一枚で着てもキマるトップスだから、レイヤードするにしても中に重ねて遊ぶのが◎。
磯部
このレイヤードは、難しいテクニックが必要ないから誰でも挑戦しやすいし、ぜひ取り入れて欲しいです。この秋は、薄手のハイネックかタートルネックのカットソーを一枚は持っておきたいですね。
Sweater [LOEFF]
¥14,000 +TAX
Shirt [H BEAUTY&YOUTH]
¥55,000 +TAX
Jacket [UNITED ARROWS]
¥42,000 +TAX
行方
気分の話でいうと、今年は“新しい生活様式”を目の当たりにして、誰もがなんとなく居心地の悪さを感じている気がするんです。そこでキーワードとして挙がってくるのが、着ていて楽な服。今、ストレスフリーでいられる服を皆が求めていると思うんです。
片貝
サッと羽織るだけでキマる一枚仕立てのジャケットや、シルク、カシミヤなどの肌に触れても心地いい素材のアイテムもいいですよね。まさに“今着たい服”ですね。
行方
今の時期ならではの視点というか。これまでメンズにとっての素材の考え方って機能性重視だったりしましたが、“着ていて楽で心地いい“っていうのもこれからは大切なのかも知れないですね。
Photograph _ Hiroyo Kai(STUH)
Styling _ Makoto Fukuda , Shun Katakai(tsuji management)
Illustration _ Hisayuki Hiranuma