ベーシックで最高の服を……。そんなコンセプトを掲げてスタートしたのが2024年春夏シーズン。

もともと自分たちのものづくりには自信がありましたし、ベーシックな服を作り続けているが故に「こんな生地を使いたい、こんな縫製を施したい」という欲も年々増してきました。ビジネスである以上プライスの上限を設定せざるを得ないのが常ですが、「大人のコミュニケーションツールとして最適なものを作ろう」と謳っている身として、それを理由に妥協するのも違うのではないかと。

それらの想いが結び付いて、〈ハイライン〉として形になりました。シャツにニットにパンツ。まずはメンズのカジュアルスタイルに欠かせない、かつ〈ビューティー&ユース〉の顔ともいえるアイテムから。

冒頭で“ベーシック”という言い方をしていますが、芯にあるのはトラッドです。ぼくたちユナイテッドアローズ社のDNAであると同時に、トラディショナルな服にしかない時代を越える力と美しさは〈ハイライン〉のコンセプトにぴったり。そして、細かなこだわりがクオリティーの差として如実に現れる服でもある。

今回のコレクションで例を挙げるならば、極端に長い裾リブと折り返してダブルになった袖口、肩裏に入る切り替えが特徴のクルーネックニット。あとは、海外のハイブランドも使っている尾州産ウーステッド生地で仕立てたスラックス。

普段なら採用できないディテール、使えない生地で、どれもこれみよがしなデザインにつながっているわけでは決してないけれど、既存の〈ビューティー&ユース〉の服とは明らかに異なるエレガンスを纏っている。一度袖を通せば“なにか違う”という特別感を味わってもらえるはずです。

正直、セレクトショップのオリジナルアイテムとしては値段が張るかもしれません。でも高いものには高いなりの理由、モノとしての価値があるということを、この〈ハイライン〉を通して伝えられたらうれしいですね。