01

Earth Color

秋冬らしい素材感とナチュラルな色に着目したい今季。都会の喧騒から離れるような、心落ち着く温もりを纏いたい。そんな気分にフィットするジャケットが揃います。リラックス感のあるスタイリングでお楽しみください。

スーツ生地としても知られるソラーロを、超ハイゲージニットで実現した<カネマサ>。UA別注のこのジャケットは絶妙なバランスでサイジングにゆとりを持たせています。

ナチュラルな肩のラインやパッチポケット仕様でカジュアルなスタイルに合わせやすい2Bジャケット。ウールカルゼ生地を使用しており、やわらかく品のよい光沢があります。

上質な生地を使用した〈タリアトーレ〉の4Bジャケット。ソフトな触り心地でとにかく着ていて気持ちがいい。ナチュラルなオフホワイトの色目は今シーズンのおすすめカラー。

<カモシタ>のコーデュロイジャケット。好みのサイジングで着て頂けるように企画した新モデルです。大きめに着ても様になるよう、デザインや仕立てにこだわりました。

02

Blazer

普遍的で色褪せることのないブレザー。カジュアルからドレスアップまでをフォローするワードローブに欠かしたくないアイテムのひとつ。
いつの時代も変わらない魅力を“今年らしく”楽しむための3型。

  • ©︎ Permanent Style

  • ©︎ Permanent Style

ウィンザー公やセルジュ・ゲンスブール、アンディ・ウォーホルに扮したデヴィッド・ボウイに、ライターで俳優のアンドレ・ラルニョ。
過去から現在まで、参考にしたいブレザーの着こなしのムード。

定番で品揃えしている4Bダブルのブレザー。シングルよりも崩しやすく、6Bダブルよりも軽快。リラックス感のあるムードで着こなすことができます。ノータイで着るなら、カーディガンを羽織るようにフロントを開けて着るのがおすすめです。

段返りの3Bブレザー。胸パッチポケットに、腰はパッチ&フラップでアメリカンなデザインを踏襲した一着。英国ウィリアム・ハルステッドのサージ生地を使用しており、上質で滑らかな肌触り。もっともスタンダードな一着です。

今シーズン、新たにラインナップに加えたトロピカルウールの6B ダブル。リラックスした仕立てが主流のなか、構築的なフォルムが新鮮に感じられます。ラペルも広めで着丈もやや長めの設定。縦のラインを強調してエレガントに着こなしたい。

03

Double Breasted

近年、カジュアル化のムードの中で主流なのがダブルのジャケット。特に無地は、着崩すという点においてはシングルよりもこなしやすくスタイリングの幅も広い。だからどんなスタイル、気分にもフィットしてくれます。

<カルーゾ>の「バタフライ」モデルは、アンコン仕様でとにかく肩肘張らずに羽織れるジャケット。4B主流の今、リラックスなムードのまま楽しめるたっぷりとした6B。

柔らかくボリュームのあるウールを用いた<カモシタ>のジャケット。やや広めに設定した肩、ノッチドラペル、ボックスシルエットで、程よくリラックスしたムードがでます。

楽さを求めるならこのジャケットがおすすめです。ウールとアクリル素材のニット地で、まるでカーディガンのような着心地とダブルならではのボリューム感を兼ね備えています。

アンコン仕立てで軽く羽織れるジャケットながら、英国のメーカー、フォックス・ブラザーズの上質なフランネルを使用。ラフだけどいい素材。大人ならではの贅沢な一着。

04

Texture

秋冬になると天然素材ならではの起毛感が恋しくなる。昨今のミニマルなムードからの反動かもしれません。機能服は生活に欠かせないものになったけれど、ナチュラルな生地感には着込むほど愛着が湧く良さがあります。

ざらっとした質感と素朴な雰囲気が特徴の、ホームスパンを使用したオリジナルのジャケット。品の良さは保ちながらも、自由な合わせで着ることを前提としたモデルで、胸ポケットも省いています。クラシックな雰囲気を軽い着心地で楽しむのも今季らしい。

タイドアップからリラックスまで、幅広いスタイルに合わせるならこんなジャケットはいかがでしょうか。ウール、コットン、カシミヤ素材でふくらみがあり、とても柔らかな手触り。ブラウン系の細やかなチェック柄がシックで味のある雰囲気を醸します。

ブークレ生地を使用した独特な表情を持ったチェックジャケット。モノトーンの柄の中にさりげなく茶系のペーンを配色しており、深みのある表情が特徴です。こちらも先ほどのジャケット同様にタイドアップからリラックスまで様々なスタイルに対応します。

この<ラルディーニ>のジャケットは、なんと言っても毛足のカールしたナッピングウールが特徴的。グレーベースにベージュのウィンドーペーンが、とてもやさしく上品な色合わせです。天然素材らしい素朴なカントリー感はスタイリングに安心感をもたらします。

05

Uniform

いつもジャケットを着ている。制服のように徹底的に。ウェルドレッサー。スタイリッシュ。そういう意味においては、ジャケットは彼らの日常着以上のたとえばユニフォームだったかもしれないが、どちらかというと生き方の問題なのかも。

Photo via : @s.tudiovisit

©︎ Gianluca Tamorri for Apollo Magazine

  • Photo via : @s.tudiovisit

  • ©︎ Gianluca Tamorri for Apollo Magazine

彼らはまるでそれがユニフォームであるかのように、ジャケットあるいはスーツを着た。制服のように一貫したルールがあるように見えたし、かくあるべしという規範への厳格さすら漂い、ぴったりと彼らのスタイルにフィットしていた。ようするに、すごぉーく似合っていて、ジャケットはいかに着るべきかを我がものとしている。
例えばミヒャエル・ボレマンス。ベルギーのゲントにアトリエを構える画家で、ダークスーツを着て創作に勤しむ姿が知られている。理由は明らかだった。かつてお気に入りのスーツを着た日に、いい絵が描けたことがあったから。以来、アトリエでの彼のユニフォームになったそうだ(ドリス ヴァン ノッテンやヴェロニク・ブランキーノなどベルギー出身のデザイナーが手掛けたものが多いらしい)。
流儀というよりもどこか験担ぎのような逸話だが、着ることや服への一貫した視座をもつアーティストでもある。「わたしの創作にとって服はとても大切なものです」とある対談で彼は話している。「以前は絵のモデルのための服をわたしがデザインしていたほどにね。最近は『自分を守ってくれる服を』というテーマで、モデル自身に服を持ってきてもらうことも試しています。色、ファブリック、機能のようなものは指定しますが、時にはとてもぎこちない格好で現れることもある。それがとても興味深いのです。いずれにしてもわたしの絵画にとって、服は文脈や背景を与えるものなのです」(Fries.com)。
スーツを着て服を着た人をずっと描いてきた。キャンバスに浮かび上がるシワすら美しく描けたとき、きっと彼はよく馴染んだシワひとつないアントワープ生まれのジャケットをまとっている。

NY。ジャケットとデニムパンツ、ダブルカフスのシャツにラウンドトゥのカウボーイブーツ。そして辛辣かつユーモアのある言葉遣い。つまり、ライターのフラン・レボウィッツ。もとよりNYでは知られた存在だったが、昨年Netflixで公開されたドキュメンタリーシリーズで世界が知ることになった。
その鋭い筆致と同様に、彼女の好みは一貫して徹底的だ。例えばお金について。「この時代にこんなことを言うのはおかしいと思うけど、お金に関することは、お金そのものも含めて、すべて嫌いです。大嫌いなんです」けれど、と彼女は言う。「お金は嫌いだけど、モノは好き、この組み合わせは最悪ですね。モノが好き、服が好き、家具が好き、こういうのすべて好きなんです。お金も嫌いでモノも嫌いなら、仏教のお坊さんでいいじゃないですか。お金が好きで、モノが好きなら、お金を稼げばいい。けれどわたしの場合は、この中間、ネバーネバーランドにいる」(AnOther Magazine)。
ネバーネバーランド。おとぎ話の国、または決してありえない場所。というわけで、彼女はいつもユニフォームのようにロンドンで誂えたジャケットを着て、手入れの行き届いた古いブーツを履いている。そのスタイルはもしかしたら、彼女がサバイブするための鎧のようなものなのかもしれない。ペンと言葉で闘う人にとって、どうやらジャケットほどふさわしい服はない。

©︎ pleasekillme.com

  • ©︎ pleasekillme.com

そして、チャーリー・ワッツ。かつて彼は自身をこう称した。「ザ・ローリング・ストーンズという世界一のバンドにいるジャズドラマー」。そしてこうも。「ザ・ローリング・ストーンズであることには、いつも違和感を感じていました。人間としてではなく、ただ、わたしの見た目がそうだったということなのだけど。バンドの写真を見ていると、わたしは革靴を履いているのに、ほかはみなスニーカーを履いている。たとえファッショナブルだとしても、嫌いなんです」(GQ)。
1950年代のジャズマンをティーンの頃から愛していた。サウンドやドラミングはもちろん、そのクールなジャケットやシャツやスーツの着方まで徹底的に(ただしライブ中はほとんどTシャツにトラウザースだった)。やがてロンドンの行きつけの仕立て屋(2つあったらしい)でビスポークのスーツをオーダーし、シューズはジョージ・クレバリーで同様に。ロウ・キーな性格ゆえ、服装の趣味をひけらかすようなこともなく、なるべく「ストーンズらしい格好」を模索したりもしたらしいが、しかしどうしたってウェルドレッサーぶりは滲み出るのだった。

ゲントの画家、NYのライター、いまは亡きロンドンのジャズドラマー。彼らはまるでユニフォームのようにジャケットを好んで着た。しかしどうやらまったくもってユニフォーム的ではなかった。本来的に、制服が何かの集団に属することを示すための衣服であるとするならば、彼らはまったく逆だ。何にも属さず、彼らが彼ら自身でいるために。あるいはよい絵を描き、おとぎの国でサバイブし、愛する音楽を体現するために、ジャケットやスーツを着る。教訓があるとするなら、たぶんこういうことだ。何かに属するためにジャケットを着るべきではなく、自由になるために着るべきだ。うまくいけば、つまり心から素敵だと思えるジャケットを見つけ、それをまるでユニフォームのように着ることができたなら。あなたはそれまで以上に自由にあなたでいられるかもしれない。
Text Sho Seta

07

Shirts

程よく力の抜けたスタイルをつくってくれるバンドカラーや、色気やアクセントをもたらしてくれるプリントシャツ。いずれも軽快さを与えてくれるのが共通点。スタイルサンプルとともに今季のラインナップを。

08

Tied Up

スーツでもジャケットでも、せっかくタイドアップをするならとびきりおしゃれを楽しもう。TPOに合わせた装いはもちろん、アクセサリーとして装飾的に楽しむことでネクタイが非日常的な高揚感を与えてくれる。

ネイビーブレザーにデニムを合わせた定番のスタイルをベースに、クレリックシャツと装飾的な柄のネクタイを合わせることで、華やかなで色気のある印象に。

ジャケットの柄に使われているブラウンを全体のトーンに落とし込んだコーディネート。シャツやパンツも真っ白ではなく、オフホワイトにすることで温かみのあるスタイルに。

ジャケットをネイビーではなく、ブラックにすることでトラッドからモダンな印象に。定番の色使いに少しアレンジを加えてずらすのもジャケットスタイルの楽しみ方のひとつ。

10

Detail

小物使いで気をつけるとしたら品を損なわないこと。それさえ気にすれば、ボーダーソックスやウエスタンベルトも心地よく馴染んでくれる。細かいところにこだわるからこそ、そのスタイルに滲む自分らしさ。

そのジャケットスタイルがカジュアルなほど、チーフやスカーフをアクセントにするのもおすすめ。装いに少しエレガントさがプラスされて、ちょうどよいバランスになります。

ベルトやシューズは、スタイルにおいて自分のテイストを決定付けてくれるアイテム。たとえば写真のようなウエスタン調のアイテムなら、色っぽさを助長してくれます。

マルチカラーのボーダーソックスはジャケットスタイルや革靴との相性がいい。ワンポイントのはずしは、装いのキャラクターを立たせて華やかさをもたらしてくれる。

ラペルはジャケットの顔とも呼べるディテール。ピークドラペルが多いダブルブレストですが、最近はノッチドラペルのものも登場。ジャケット選びの際は気にしたいポイント。

デニムシャツをインナーに合わせるのは、ジャケットスタイルの幅の広さを象徴する。同じテーラードでもスーツではなかなか出来ない合わせが楽しめるのもジャケットの魅力。