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Takayuki Fujii
Designer
グラミチ

Text & Edit Takumi Sato (kontakt)
Photography Asuka Ito


Published December 17, 2021

Text & Edit Takumi Sato (kontakt)
Photography Asuka Ito

Published December 17, 2021

洋服をひっくり返して裏側を見れば分かる。綿密に計算された形。加飾な要素が存在せず、すべてのデザインが機能性の上に成り立っている。それが故に“気の利いた服”としてたくさんの人を魅了するのが<ノンネイティブ>というブランド。20年続く同ブランドのデザイナーを務めるのが藤井隆行さん。藤井さんが手がけたパンツに足を通し、ポケットに手を入れてみれば分かる。試行錯誤の結果、生み出された理想のデザインに。

Pants, Black, nonnative × GRAMICCI for BEAUTY&YOUTH ¥26,950

1976年生まれの藤井隆行さん。<ノンネイティブ>のデザイナーに就任したのは2001年。

膝下から裾へのテーパード具合は藤井さん曰く“黄金比”から導かれたもの。「ノンネイティブといえばパンツ!」と定評高い同ブランドならではのこだわり。

Pants, Black, nonnative × GRAMICCI for BEAUTY&YOUTH ¥26,950

洋服のデザインは機能性の上に成り立つことを体現する<グラミチ>と<ノンネイティブ>。そこにビューティ&ユースが今回ソロテックス®という軽やかに伸び、そして手触りもコットンライクな繊維で別注した。

「夏ぐらいからはじめたランニング、それに山や海にも頻繁に行くようになってから、洋服に対しての考えが変わった」と話す藤井さん。どこでも着れる、どこでも穿けるアイテムができないか、と模索するようになった。

Pants, Olilve/Beige, nonnative × GRAMICCI for BEAUTY&YOUTH ¥26,950

藤井さんが着用しているブラックのほかに、オリーブとベージュの全3色を展開。

移動中は常にポケットに手を入れていた藤井さん。やや細身の作りでありながら、ポケットのスペースは十分に確保。手を入れても動きやすい“気の効いた”作り。

「服はずっと作り続けていたい。大好きなんでね」と話す藤井さん。

Interview with Takayuki Fujii

Q:<ノンネイティブ>というブランドをスタートし20年以上経ちますが、藤井さんが考えるファッションデザイナーに必要なことってなんだと思いますか?

A:ある意味ファッションデザイナー、特にメンズのファッションデザイナーって誰でもなれる職業だと思っています。実際のところ、僕はパターン引けないですし、デザイン画も上手じゃない。だけども洋服は人一倍好きなんです。僕が思うに、結局は服をどれだけ好きでいられるかに尽きると思います。

Q:好きであり続けることの秘訣はありますか?

A:努力なのかもしれませんね。これは泥くさい意味じゃなく、服を道具として捉えること。何年経っても着れる服とか、飽きがこない服、それに捨てられない服を作るためには、自分で買って試して勉強するしかない。モノを作る人間としては当然責任を持ちたいですからね。そうでもしないと、洋服が嫌いになってしまうかもしれない。

Q:最近ではゆったりしたパンツのシルエットがトレンドになっていますが、毎シーズン<ノンネイティブ>では細身のパンツを多くリリースされている印象があります。藤井さんのこだわりでしょうか?

A:僕の中で“細身”という感覚はないですね。欧米人と比べると日本人って身長も低いですし、脚も長くはない。それにO脚の人が多い。僕もそこまで身長があるわけでもないですし、脚もO脚。でもそんなことを気にすることなく、全体のバランスがよく、かつ膝が曲がる動きやすいパンツであることが僕がデザインするうえの大前提。パンツは穿いた時に脚と服の間がどれだけ空いているかが大事。僕の中で絶対的な数値があるんです、何ミリ単位と。

Q:ご自身が持つその絶対的な数値というものはどのようにして?

A:とにかく色々なブランドやシルエットのパンツを試してみる。なんかひざ下が落ち着かないなと思ったり、ポケットに入れたときの不安感とか、そういう実体験から得られた数値です。ポケットをどの位置でどんな深さでつけようとか、そういうのを常に考えてますね。プロダクトデザイン的な考え方かもしれません。だって穿いた人が気分良くならないと成立しない。見た目だけではなくてね。

Q:藤井さんは決して“見たことのない”ものを作りたいわけではない。そのデザイン哲学は、経験でしか得ることのできない感覚から導かれています。

A:不快感を与える服は嫌なんです。でも難しいことに快適か不快かって買ったときじゃ分からないものです。一回洗ってみて、自分に馴染んでくかどうかなので。メンズのアイテムで年間通して穿ける唯一のアイテムってロングパンツなんですよね。だから僕はパンツがシグネチャーになるようなブランドを作りたいとずっと思っていました。パンツって良かったらずっと穿きますよね?そう思うと、人と一緒なのかもしれない。見た目からまず伺って、それから性格がいいとか、話が合うとか。人の相性とメンズのパンツ選びって似ていますよね。

Q:今回のノンネイティブ×グラミチ フォー ビューティ&ユースの別注パンツについて聞かせてください。8年近く取り組んでいるこのシリーズはファンも多く、「次はどんな素材を使うんですか?」というお問い合わせをいただくこともあるほどの人気商品です。

A:<グラミチ>のクライマーズパンツをベースに生地や色を変えたりしてアップデートをし続けている取り組みになります。生地や色だけでなく、例えばベルトを厚くしてウェビングベルト特有のずれてくる煩わしさを解消したり、ガゼットクロッチと呼ばれる股下のマチをクライミングのアウトドア仕様からシティ仕様にブラッシュアップしたりもしています。そして今回は、化学繊維ならではの嫌な感じがなく、ストレッチ性もあるソロテックス®という生地を使いました。さらにパンツを裏返すと分かるのですが、パンツのポケットを見てみてください。今回の別注パンツのポケットには、小銭が落ちないようにポケット自体に小銭が溜まるようなスペースを作っています。最近は現金を持ち歩かない時代でもあるので、クレジットカードやスマートフォンがすっぽり入るミニポケットもつけています。昔のコインポケットの現代版ですね。このパンツを穿いてから手ぶらで出かける友人も周りにいます。

Q:服が人の生活も変化させているのは面白いですね。

A:でも、この機能性って別にアピールするところじゃなくて当たり前についてくる機能だと思っています。例えば、iPhoneが昔に比べて大きくなっているのであれば、それに合わせて当然ポケットを大きくする。ポケットに入れるものが重くなれば、総じてベルトのテープにも強度のある分厚いテープに……とか。

Q:ケアについてはどうですか? <ノンネイティブ>の服は一部のウールなどの商品を除いて、洗濯できることを前提にデザインされていると。

A:このパンツも当然洗濯可。それに水を通して製品化しているので、家で洗濯したら縮んでしまったということもありません。サンプル段階のテストでも、僕にとって3mm縮むだけでもダメ。自分が穿いて感じた快適さをやはり皆さんにも体感していただきたいので、かなり厳しいテストをしています。

Q:絶対的な数値といった理系的な面を持ちながら、実際に穿いて感覚で決めていくような文系的な面も持っていますよね。藤井さんは理系と文系のどちらだと思いますか?

A:多分理数系の考えかたなんだと思う。1+1=2と進行はするけど、結局3にしようとしてる自分がいます。

Q:1+1を3にするためには、文脈や情緒的な部分の付加価値が必要ということですね。例えばアウトドアウェアメーカーのなかで<パタゴニア>はホッとする感覚があるとします。<ノンネイティブ>というファッションブランドはどんな感覚があると思いますか?

A:旅行にいくときに、持っていく服って絞りますよね。その時に手に取りたくなるようなブランドでいつづけたいです。旅行先では歩き回ることも、ちょっとおしゃれなお店にも入ることもあるでしょうし、急に天候が変わったりすることもあります。そんな時にこれを着ておけばある程度のところまではいけるなっていう心強い服でありたい、安心感というか信頼感でしょうね。

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