連載コラム【音楽のある風景】 Vol.76

2018.08.31

グリーンレーベル リラクシング のBGMを選曲されている、
選曲家の橋本徹さんよりコラム【音楽のある風景】が届きました。



どうぞお楽しみください!

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8月の選曲は、至上のマジック・アワーに至福のエンドレス・サマー気分で。
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厳しい残暑が続いていますが、皆さんいかがおすごしですか?
僕は先月のこのコラムでも書いたように、週末は相変わらずエンドレス・サマー気分で湘南の海辺でのんびりしたりしています(もう神奈川県民になった方がいいのではと思ってしまうほどで、明日も横浜のThe RIGOLETTO ocean clubという素敵なイタリアン・レストランの9周年を祝うアニヴァーサリーDJに出かけます)。

8/11に江の島・シーキャンドルサンセットテラスで開かれた、バレアリック・チルアウトの生ける伝説ホセ・パディーヤと共演した「夕陽と海の音楽会」も、素晴らしい音楽と美しい夕陽に恵まれ、本当に至福の時間となりました。
翌週には新潟・関屋浜に遠征して、初めて日本海に暮れゆく夕陽を眺めながらのシーサイド・パーティーでサンセットDJをすることもできて、平成最後の夏、個人的には満点をつけてもいいくらい楽しませてもらっている感じです。

その新潟では、音楽的にもミラクルが起きました。
果てしない海の向こう、遠く水平線ぎりぎりに今にも沈みゆこうとする西陽から、オレンジ色の美しい光が浜辺のテラスの長い影を伴って会場のビーチ・ハウスに射し込む至上のひととき、僕が1995年に編んだラヴァーズ・ロック&ダブのコンピレイション『Be Sweet ~ Fresh Cover Of Ariwa』から、"一生もの"と言えるくらい大好きなマッド・プロフェッサーの「Sweet Cherry」をかけていると、次のライヴの用意をしていた「夕陽と海の音楽会」主宰者でもあるshiba@FreedomSunsetが即興で、トランペットで加わってくれたのです。
甘美な哀切をたたえた揺らめく音像に儚げな彩りを添えるトランペットの音色、それはまさしく、筆舌に尽くしがたいというクリシェで表現するしかないような、奇跡的な瞬間でした。
続いてやはり大好きな曲、タジ・マハールの「Baby, You’re My Destiny」をかけると、彼とのセッションはさらに濃密なものとなり、僕は気づけばDJブースでその場に漂う心地よく甘い憂愁に酔いしれ、夕陽と音楽が奏でるかけがえのないサウダージとメロウネスに、ただただ陶然としていました。
DJを終え陽も暮れて絶妙な色合いになった海と空を眺め、マジック・アワーとはまさにこんな時間を言うんだな、と風に吹かれながら実感した幸せな夕べでした。

前回紹介した、ホセ・パディーヤによるバート・バカラック作の名曲「Close To You」の絶品カヴァー(もちろん「夕陽と海の音楽会」でもクライマックスでかけ、オーディエンスの方々も感極まるという感じの完璧な夕陽とのマッチングでした)を収めたコンピ『音楽のある風景〜夏から秋へ』も引き続き聴いています。
やはり大推薦した、ローファイ・メロウでとろけるような極上のベッドルーム・ソウル〜チルアウト・AOR、マイケル・セイヤーの『Bad Bonez』も。

よく口ずさんでいたのは、毎年のことですが、ジョナサン・リッチマンの「That Summer Feeling」とか。
僕はティーンエイジャーの頃の夏の思い出を回想する歌が好きなのです。
そろそろ「夏服を着た女たち」や「夏の終りのハーモニー」も歌いたくなる季節のはずですが、昨夜ふと浮かんだメロディーも、9月が目前に近づくと思いだすR.E.M.「Nightswimming」の一節でした。
僕は村上春樹が手がけた翻訳小説のような歌詞も好きなんですね。
今はシュガー・ベイブの歌に倣うなら"めくるめくような、ひと夏の終わり"、次回は"つるべ落としの、秋の始まり"にお会いしましょう。

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8月の選盤


マッド・プロフェッサー率いるイギリスの名門ラヴァーズ・ロック〜ダブ・レーベル、アリワに吹き込まれたソウル・ミュージックの極上カヴァー群から、クール&メロウかつビタースウィートで心地よい珠玉の名作が大集結した、橋本徹さんが1995年に選曲した至福のコンピレイション『Be Sweet ~ Fresh Cover Of Ariwa』


ホセ・パディーヤによるバート・バカラック作の名曲「Close To You」のスパニッシュ・ギターが印象的な絶品カヴァーをクライマックスに、心地よくグルーヴィー、切なくもメロウな名作群が、移りゆく季節を美しく演出する、橋本徹さんセレクトによる絶品のコンピレイション『音楽のある風景〜夏から秋へ』


揺らぐエレピのメロウネス、白日夢のように溶けだすスウィート・サイケデリア、カリフォルニアを拠点とする若き男性シンガー・ソングライター/トラック・メイカー/マルチ・プレイヤーによるとろけるようなローファイ・ベッドルーム・ソウル〜チルアウト・AORの新名盤、橋本徹さん監修のアプレミディ・レコーズから日本盤CD化されたマイケル・セイヤーの2018年作『Bad Bonez』

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橋本徹 (SUBURBIA)
編集者/選曲家/DJ/プロデューサー。
サバービア・ファクトリー主宰。
渋谷の「カフェ・アプレミディ」「アプレミディ・セレソン」店主。
『フリー・ソウル』『メロウ・ビーツ』『アプレミディ』『ジャズ・シュプリーム』『音楽のある風景』『Good Mellows』シリーズなど、
選曲を手がけたコンピCDは340枚を越える。
USENで音楽放送チャンネル「usen for Cafe Apres-midi」「usen for Free Soul」を監修・制作。
著書に「Suburbia Suite」「公園通りみぎひだり」「公園通りの午後」「公園通りに吹く風は」「公園通りの春夏秋冬」などがある。
http://apres-midi.biz
http://music.usen.com/channel/d03/



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