連載コラム【音楽のある風景】 Vol.77

2018.09.30

グリーンレーベル リラクシング のBGMを選曲されている、
選曲家の橋本徹さんよりコラム【音楽のある風景】が届きました。



どうぞお楽しみください!

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9月の選曲は、季節の移ろいを感じて愛について思いを馳せたり。
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台風もたびたびやってきて、秋雨の続いた9月、今週末に予定されていた江の島・シーキャンドルサンセットテラスでの「SunsetLounge」も、残念ながら中止になってしまいました。
僕はその素敵なオープンエア・パーティーのオープニング、"yoga under the sky"のバックで、ヨガに合うアンビエント〜チルアウトDJをすることになっていたので、最近はプライヴェイトでもそうした落ちつくタイプの音楽を聴いている時間が多い感じでした。
今まで生活の中心になっていたR246沿いのマンションから、少し路地に入った静かな場所に部屋を借りて、プチ引っ越しした影響もあるのかもしれません。

チルアウト・アンビエントと言えばやはり、絶大な再評価が進んでいるイタリアの生ける伝説ジジ・マシンです。
コンピ『Gigi Masin For Good Mellows』が、モダンな和室に北欧アンティークのソファやキャビネット、JBL-4312のスピーカーなどを合わせたウッディーな空間にも、素晴らしくフィットすることは嬉しい発見でした(音楽と空間それぞれのアーキケクトが似ているのかもしれません)。
そして改めて彼のピアノ・タッチの美しさ、心のひだに染みてくる柔らかなアンビエンスとアトモスフェッリックな音響感覚に感銘を受けています。
まさに"新しい室内楽"、ひたすら美しく透徹でメランコリーも香る旋律と音のレイヤーが儚くも琴線に触れる心象風景、そのリリカルな叙情ゆらめくシネマティックな音像に、ヨーロッパの白人ならではのクールなメロウネスを感じるのは僕だけでしょうか。

『Gigi Masin For Good Mellows』以外にも、引っ越しのためにCDを整理していて発見して、かつて自分が編んだコンピレイションを聴く機会が数多くありました。
中秋の名月を迎える季節、大好きなニール・ヤング「Harvest Moon」のカヴァーを聴きたくなって取り出したのは、『Jet Stream〜Summer Flight』と『Urban-Resort FM 78.4』。
前者には愛してやまないBlue Noteジャズの歌姫カサンドラ・ウィルソンによる絶品スロウ・ヴァージョン(ノラ・ジョーンズが主演した映画『マイ・ブルーベリー・ナイツ』でも流れましたね)、後者には"デイタイム・ディスコ"を標榜するウエスト・コースト・バレアリックの雄プールサイドによるダビー&メロウでダンサブルな好ヴァージョン(ちょうど中秋の名月の秋分の休日に放送された、J-WAVEの30周年記念特番に提供した僕のDJミックスでも選曲しました)を収めているのです。
そして僕は、以前にもこのコラムで書いたような気がしますが、この曲の穏やかに沁みてくる歌詞が人生規模で好きで、理想のラヴ・ソングだと思っているんですね。

そんな感じで愛について思いを馳せたりしながら、夏の名残りと秋の始まりを感じた今月でした。
月旅行に出かける、というのも確かに壮大なロマンを感じさせる趣味だと思いますが、やはり僕は、月は眺めるのが好きなんでしょう。
ときには音楽を聴いたり、お酒をちびちび飲んだりしながら。

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9月の選盤


国内から海外まで大好評を博す"Good Mellows"シリーズの単体アーティスト編として2017年春に編まれ人気を呼んだ、サンプリング・ソースの宝庫としても再評価著しいピアノ・メロウ・チルアウトのカリスマ的なイタリアの名アンビエント・プロデューサー、ジジ・マシンのキャリア集大成となる橋本徹さん選曲のベスト・セレクション『Gigi Masin For Good Mellows』


移りゆく季節を感じながら静寂に寄り添い真夜中のひとときを演出するというテーマで、カサンドラ・ウィルソンによるニール・ヤングの名曲「Harvest Moon」のカヴァーを始め、ジャズ〜クラシック〜ボサノヴァ〜フレンチ〜ソフト・ロックを横断して、優しく洗練された肌触りの至福の名作が集められた、橋本徹さん選曲のコンピレイション『Jet Stream〜Summer Flight』


アーバン・リゾートを彩るFMステイションをテーマに、プールサイドによるニール・ヤングの名曲「Harvest Moon」のカヴァーを始め、アコースティック&グルーヴィーなブルー・アイド・ソウルからメロウ・ブリージンなAOR〜ブラジリアン〜ジャジー&チルアウト・グルーヴまで、爽快感とロマンティシズムあふれる名作が集められた、橋本徹さん選曲のコンピレイション『Urban-Resort FM 78.4』

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橋本徹 (SUBURBIA)
編集者/選曲家/DJ/プロデューサー。
サバービア・ファクトリー主宰。
渋谷の「カフェ・アプレミディ」「アプレミディ・セレソン」店主。
『フリー・ソウル』『メロウ・ビーツ』『アプレミディ』『ジャズ・シュプリーム』『音楽のある風景』『Good Mellows』シリーズなど、
選曲を手がけたコンピCDは340枚を越える。
USENで音楽放送チャンネル「usen for Cafe Apres-midi」「usen for Free Soul」を監修・制作。
著書に「Suburbia Suite」「公園通りみぎひだり」「公園通りの午後」「公園通りに吹く風は」「公園通りの春夏秋冬」などがある。
http://apres-midi.biz
http://music.usen.com/channel/d03/

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