連載コラム【音楽のある風景】 Vol.79

2018.11.30

グリーンレーベル リラクシング のBGMを選曲されている、
選曲家の橋本徹さんよりコラム【音楽のある風景】が届きました。

どうぞお楽しみください!

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11月の選曲は、"心のやらかい場所"に青春の光と影を描いて。
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11月、いつもなら本格的な冬の気配を感じるはずの今日この頃ですが、東京は木枯らしも吹かず、暖かい陽気が続いていますね。
僕はそんな中でも例年通り、ウィンター&クリスマス選曲に励んでいましたが、新しいコンピレイションCDも1タイトル、今週リリースされたばかりです(それに伴って来週以降、FM番組にもいくつか続けて出演します)。
そう、遂に『フリー・ソウル・スガ シカオ』が発売されたのです。

これは2014年(Free Soul 20周年)のNujabes〜オリジナル・ラヴ〜origami PRODUCTIONS〜クレイジーケンバンド〜キリンジ以来となる、僕が選曲・監修を手がけた日本人アーティストの作品集で、1997年のメジャー・デビュー以来数々のヒットを飛ばしてきたスガ シカオの、ソウル〜ファンクの影響色濃いグルーヴィー&メロウで胸に沁みる名曲群を、全キャリアを通してレーベルをこえ選りすぐった2枚組35曲におよぶ大充実のオールタイム・ベスト盤です。
「黄金の月」「愛について」「Progress」「夜空ノムコウ」といった広く知られる人気曲ももちろん収録されていて、「Progress」の歌詞に倣うなら、まさに"世界中にあふれているため息と 君とぼくの甘酸っぱい挫折に捧ぐ"コンピレイション。
本当に、このフレーズに僕がセレクションにこめた思いも集約されているかなと感じたので、帯裏のキャッチコピーにも引用させてもらいました。

と同時に僕は、「夜空ノムコウ」の"夜空のむこうには もう明日が待っている"という一節も思い浮かべずにはいられません。
SMAPが歌う「夜空ノムコウ」が発表されたとき、20世紀が終わっていくような心象に包まれた街や時代の空気感と、あの曲のメロウネスが、スガ シカオによる歌詞通り"ぼくの心のやらかい場所"にフィットしたのをとてもよく憶えているからです。
そんな"わびさび感"や"青春の光と影"を表現できたらと思いながら、選曲は流れよく、ひと筆描きのように組むことができました。
ときには20年という時の流れを感じて、ふと"あれからぼくたちは何かを信じてこれたかな"とくちずさみ、ちょっと涙目になってしまうこともありましたが。

彼に連載コラムをお願いしていたタワーレコードのフリーマガジン「bounce」の編集長をやっていた頃から、同世代としてファン歴も20年以上ですが、ふたりとも愛してやまないスライ&ザ・ファミリー・ストーンを始めビル・ウィザース〜カーティス・メイフィールド〜マーヴィン・ゲイらへの憧憬を共有しながら、僕なりにFree Soulのパースペクティヴを通してスガ シカオ固有の文体、その皮層感覚や言語感覚を浮き彫りにできたと思います。
選曲の過程で彼らソウル〜ファンクの偉人たちの音楽的なイディオム、そこへのスガ シカオなりの愛情表現を端々に感じることができたのも、シンパシーを抱かずにいられない瞬間でした。

思えば、僕が彼を好きになるきっかけになった「黄金の月」は、スライ&ザ・ファミリー・ストーンへの憧憬と愛情が血肉化した日本語のポップスとして衝撃を受けたのでした。
他にも好きな曲を挙げればきりがありませんが、最近は情景が浮かぶメロウ・グルーヴの名作「夕立ち」を繰り返しリピートしたり、サウダージ・メロウな感傷に誘われる「アーケード」に強く惹かれたりしています。
そしてエンディング、再び登場する「愛について」「黄金の月」は、いちソウルマンとしての等身大のスガ シカオの魅力に胸を打たれる素晴らしいライヴ・ヴァージョンで、心の中にさざ波が広がっていくような余情・余韻を残して、コンピレイションは幕を閉じます。

追記:
僕とスガ シカオが愛してやまないソウル〜ファンクの偉大なアーティスト、スライ&ザ・ファミリー・ストーン/ビル・ウィザース/カーティス・メイフィールド/マーヴィン・ゲイなどは、それぞれFree Soulシリーズでベスト・コンピレイションが編まれていますので、ぜひ聴いてみてください!

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11月の選盤

ソウル/ファンクをベースに洋楽のエッセンスを日本ならではのポップスに昇華したスガ シカオのヒット曲・人気曲そして隠れた名曲を、デビューから現在にいたる全キャリアからレーベルをこえグルーヴィー&メロウな視点で選りすぐった、橋本徹さんセレクトの2枚組35曲におよぶオールタイム・ベスト盤『フリー・ソウル・スガ シカオ』

音楽史上に輝くソウル〜ファンク・ミュージックの偉大なるアーティスト、スライ&ザ・ファミリー・ストーンの珠玉の名作群から、グルーヴィー&メロウなとっておきのエヴァーグリーンをぎっしり詰め込んだ、橋本徹さん選曲によるベスト・コンピレイション『Free Soul. the classic of Sly & The Family Stone』

音楽史上に輝くソウル〜ファンク・ミュージックの偉大なるアーティスト、ビル・ウィザースの珠玉の名作群から、グルーヴィー&メロウなとっておきのエヴァーグリーンをぎっしり詰め込んだ、橋本徹さん選曲によるベスト・コンピレイション『Free Soul. the classic of Bill Withers』

音楽史上に輝くソウル〜ファンク・ミュージックの偉大なるアーティスト、カーティス・メイフィールドの珠玉の名作群から、グルーヴィー&メロウなとっておきのエヴァーグリーンをぎっしり詰め込んだ、橋本徹さん選曲によるベスト・コンピレイション『Free Soul. the classic of Curtis Mayfield』

音楽史上に輝くソウル〜ファンク・ミュージックの偉大なるアーティスト、マーヴィン・ゲイの珠玉の名作群から、グルーヴィー&メロウなとっておきのエヴァーグリーンをぎっしり詰め込んだ、橋本徹さん選曲によるベスト・コンピレイション『Free Soul. the classic of Marvin Gaye』

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橋本徹 (SUBURBIA)
編集者/選曲家/DJ/プロデューサー。
サバービア・ファクトリー主宰。
渋谷の「カフェ・アプレミディ」「アプレミディ・セレソン」店主。
『フリー・ソウル』『メロウ・ビーツ』『アプレミディ』『ジャズ・シュプリーム』『音楽のある風景』『Good Mellows』シリーズなど、
選曲を手がけたコンピCDは340枚を越える。
USENで音楽放送チャンネル「usen for Cafe Apres-midi」「usen for Free Soul」を監修・制作。
著書に「Suburbia Suite」「公園通りみぎひだり」「公園通りの午後」「公園通りに吹く風は」「公園通りの春夏秋冬」などがある。
http://apres-midi.biz
http://music.usen.com/channel/d03/



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