連載コラム【音楽のある風景】 Vol.83

2019.03.31

グリーンレーベル リラクシング のBGMを選曲されている、
選曲家の橋本徹さんよりコラム【音楽のある風景】が届きました。


どうぞお楽しみください!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
3月の選曲は、"声とギター"の芳しいアロマと豊かなロマンティシズムを感じて。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

桜の季節到来、ファッション好きの皆さんは、新しいスプリングコートを羽織って、春の装いを楽しまれている頃合いでしょうか。
僕は相変わらず音楽三昧の日々で、先日Suburbia Recordsから一枚のアナログ・レコードをリリースしました。
4月に控える歌姫モニカ・サウマーゾとの待望の初来日公演も楽しみでならない、ブラジルが誇る至宝ギンガ(Guinga)による、2014年に録音された"声とギター"の不朽の大名盤『Roendopinho』です。

これはもちろん世界初のヴァイナル化で、1950年生まれながら歯科医として生計を立てCDの時代(1991年)になってデビューしたリヴィング・レジェンド(生ける伝説)、ギンガ自身にとっても初めてのレコード盤。
ブラジル的ロマンティシズムを凝縮したような珠玉の名曲群と緻密なギター・ワーク、上品で凛々しく、倍音豊かな音色が織りなす至上の音世界は、高貴な叙情に満ちた、まさしく一生ものです。

ブラジリアン・ギター・インストゥルメンタルの最高峰と言われる「Cheio de Dedos」始め、彼の輝かしいキャリアから選び抜かれたベスト・レパートリーと言っていい自作曲がガット・ギターで弾き語られ、その深煎りのコーヒーのように豊潤な演奏には芳しいアロマが香り、詩的な美しさと気高く官能的な恍惚が宿っています。
浮遊感のあるメロディーとハーモニーに摩訶不思議なコード・プログレッション、味わい深いスキャットや口笛は、"ギンガ流サウドシズモの結晶"で、ギターを抱えたジャケットも素晴らしく、僕は愛してやまないカエターノ・ヴェローゾが1986年にノンサッチに吹き込んだアコースティックな名作『Caetano Veloso』を連想せずにいられません。
そう、これは本当に、ジョアン・ジルベルト〜ジルベルト・ジル〜ジャヴァン〜セルソ・フォンセカらのアルバム名"声とギター"の系譜を継ぐ、こまやかな色彩と陰影に富んだ香り高い名品なのです。

ブラジルという枠をこえて、エスペランサ・スポルティング始め現代ジャズの精鋭たちへの影響力も絶大なギンガですが、最近は特にブラジルから届く新譜で彼の作品が取り上げられることが増えていて、作曲家としての評価も著しく高まるばかり。

ブラジリアンAORの人気者ジャヴァンは、彼を「ヴィラ=ロボス、ピシンギーニャ、アントニオ・カルロス・ジョビンと並ぶブラジルの偉大な音楽家」と讃えています(個人的にはジョビンとギンガの間にエグベルト・ジスモンチの名前を加えてもいいですね)。
日本を代表する名ギタリスト、伊藤ゴロー氏も「クラシカルで絵画的。コード・ダイアグラムでの情報整理は無意味、ピアノではその魅力の半分も得られぬギターのための音楽」と賛辞を寄せていますので、僕にとってはまさに夢がかなったと言える来日公演にも、ぜひ足を運んでみてください。

──────────────────────────

3月の選盤



ブラジルの至宝と讃えられるギンガによる2014年録音のガット・ギター弾き語り自作名曲集で、豊かなロマンティシズムと芳しいアロマ香る"声とギター"の不朽の大名盤、橋本徹さんが「美味いコーヒーを飲みたくなる音楽」と絶賛して監修するSuburbia Recordsから世界初アナログ・レコード化されたばかりの『Roendopinho』



ギンガ『Roendopinho』から口笛も印象的なデューク・エリントンへのオマージュ「Ellingtoniana」も収録された、15周年を迎えたカフェ・アプレミディのアニヴァーサリー・コンピとして「美しい音楽の花を束ねるように。音の温もりに記憶の温もりを重ねるように。思い出の花束を贈るように」というコンセプトで、橋本徹さんが2014年に選曲した『Haven’t We Met?〜Music From Memory』

──────────────────────────

橋本徹 (SUBURBIA)
編集者/選曲家/DJ/プロデューサー。
サバービア・ファクトリー主宰。
渋谷の「カフェ・アプレミディ」「アプレミディ・セレソン」店主。
『フリー・ソウル』『メロウ・ビーツ』『アプレミディ』『ジャズ・シュプリーム』『音楽のある風景』『Good Mellows』シリーズなど、
選曲を手がけたコンピCDは340枚を越える。
USENで音楽放送チャンネル「usen for Cafe Apres-midi」「usen for Free Soul」を監修・制作。
著書に「Suburbia Suite」「公園通りみぎひだり」「公園通りの午後」「公園通りに吹く風は」「公園通りの春夏秋冬」などがある。
http://apres-midi.biz
http://music.usen.com/channel/d03/

  • facebook
  • twitter
  • line
  • pinterest
  • google
green label relaxing
Twitter
Facebook
YouTube
Sumally
Instagram