連載コラム【音楽のある風景】 Vol.89

2019.09.30

グリーンレーベル リラクシング のBGMを選曲されている、
選曲家の橋本徹さんよりコラム【音楽のある風景】が届きました。





どうぞお楽しみください!

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9月の選曲は、DJパーティーの思い出と南への憧れを織りまぜながら。
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短かった夏を名残り惜しむ気持ちと、台風の到来にてんやわんやする気持ちが、めぐりめぐるように過ぎていった9月、皆さんはいかがおすごしだったでしょうか?
僕は今年がFree Soul 25周年ということもあり、相変わらずコンピレイションCDの選曲・制作に励んでおりました。

今回は11/6にリリースされる『Free Soul T.K.』をご紹介しましょう(T.K.といっても小室哲哉さんじゃありませんよ)。
僕らのクラブ・パーティー「Free Soul Underground」で25年前から何度となくDJプレイされてきた名作をたっぷりと含む、マイアミ・サウンドの名門レーベルT.K. Recordsをグルーヴィー&メロウにコンパイルした作品集です。

ジャケットもパーム・トゥリーをあしらったT.K.のレーベル・デザインを意識して、マイアミの夜の風景をモティーフとしていますが、アメリカ東海岸の温暖なリゾート地として名高いこのフロリダ州の主要都市は、1970年代を中心にT.K.とその傘下レーベルを拠点にソウル・ミュージックの一大産地としても知られていました。
地理的にも近いカリビアン〜ラテンなどの要素が溶け込みリズム・ボックスが多用された、T.K.のパーカッシヴでダンサブルなサウンドとキャッチーなソングライティングは、ディスコ・ミュージックの隆盛にも大きく寄与しながら、多くの音楽ファンにマイアミ・ソウルとして愛されてきましたが、『Free Soul T.K.』にはその中でもとびきりのナンバーが2枚組・46曲・160分以上にわたって収録されています(しかも2,300円のスペシャル・プライスということは1曲につき50円というお値打ちコンピ)。

シングル・オンリーのリリースでオリジナル盤の7インチが極めて入手困難だった至宝・秘宝が10曲も収められている(その半分は中古レコード市場で10,000円以上で取り引きされています)ことも特筆すべきトピックですが、その象徴と言えるワイルドフラワーのキュートなガールズ・ソウルから、サーティーンス・フロアによる知る人ぞ知るルーファス&チャカ・カーンのカヴァーへという、ナイス・メロウ・ミディアム・リレーに始まり、リトル・ビーヴァー/ティミー・トーマス/ミルトン&ベティ・ライト/ジョージ&グウェン・マクレーといったレーベルの顔役による傑作群がこれでもかと連なっていきます。
コンピのハイライトは、皆さんご存知メアリー・J. ブライジや小沢健二の引用でお馴染みベティ・ライトの「Clean Up Woman」、ディガブル・プラネッツによるサンプリングでも人気を博したKC&ザ・サンシャイン・バンド「Ain’t Nothin’ Wrong」、絶大な人気を誇ったアル・クーパーの名曲「Jolie」のラティモアによるカヴァー、僕が最も思い入れ深いリード・インクのこみ上げガールズ・ソウル最高峰「What Am I Gonna Do」という、DJパーティーの盛り上がりを再現したような流れ。
やはりマニア垂涎だった7インチ・オンリーの南国系フロア・キラー、ジェリー・ワシントン「Don’t Waste My Time」から、問答無用のビギニング・オブ・ジ・エンド「Funky Nassau」へのつなぎにも血湧き肉躍ります。

サンプル・ソースやカヴァーの宝庫であることや、リズム・ボックスの再評価と共に、T.K.が今また時代の音として注目される一因でもあるAOR〜シティ・ポップ風味のブリージンな心地よさも満喫できて、ドライヴ・ミュージックとしても大推薦。
カリブ〜アイランド・フレイヴァーが気持ちよすぎるルー・カートンの「Island Girl」などは、僕はこの夏もGood Mellowsセットに混ぜてスピンしていました。

そんな様々な理由から、自分でも予想していた以上に胸躍る会心のセレクションとなった『Free Soul T.K.』、リリースに合わせて全曲のひとこと解説が公開され、僕のロング・インタヴューや「Free Soul Underground」の盟友・山下洋(ワック・ワック・リズム・バンド/フリーダム・スイート)との対談も各メディアに掲載されますので、ぜひ読んでみてください。
それでは、CDのマスタリングとライナー/アートワークの入稿を終えたところで、遅めの夏休みをいただき、早すぎた夏の終わりを取り戻すべく、今夜からプーケットに行ってきます。


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9月の選盤





リトル・ビーヴァー/ティミー・トーマス/ミルトン&ベティ・ライト/ジョージ&グウェン・マクレーといったレーベルの代表作から、入手困難だったシングル・オンリーのレア曲も含むFree Soulムーヴメントを象徴するキラー・チューンまで、マイアミ・サウンドの名門T.K. Recordsをスペシャル・プライスで2枚組・46曲・160分以上にわたってグルーヴィー&メロウにコンパイルした、橋本徹さん選曲のコンピレイション『Free Soul T.K.』



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橋本徹 (SUBURBIA)
編集者/選曲家/DJ/プロデューサー。
サバービア・ファクトリー主宰。
渋谷の「カフェ・アプレミディ」「アプレミディ・セレソン」店主。
『フリー・ソウル』『メロウ・ビーツ』『アプレミディ』『ジャズ・シュプリーム』『音楽のある風景』『Good Mellows』シリーズなど、
選曲を手がけたコンピCDは340枚を越える。
USENで音楽放送チャンネル「usen for Cafe Apres-midi」「usen for Free Soul」を監修・制作。
著書に「Suburbia Suite」「公園通りみぎひだり」「公園通りの午後」「公園通りに吹く風は」「公園通りの春夏秋冬」などがある。
http://apres-midi.biz
http://music.usen.com/channel/d03/










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