連載コラム【音楽のある風景】 Vol.90

2019.10.31

グリーンレーベル リラクシング のBGMを選曲されている、
選曲家の橋本徹さんよりコラム【音楽のある風景】が届きました。



どうぞお楽しみください!

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10月の選曲は、タフで優しくラヴ&ピースに。
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プーケットに旅行に出かけ、美しいカロン・ビーチでのんびり泳ぎ、パラセイリングも満喫して、半端ない陽焼けに苦しみながらもリフレッシュして東京に戻ってきた10月でしたが、DJにコンピCDに空間BGMと選曲の仕事がたまって瞬く間に日常の渦に巻き込まれてしまい、心地よい秋を味わうこともままならないまま、毎日をすごしています。
green label relaxingやEMMEL REFINEのショップ音楽も秋色に衣替えしましたが、楽しんでいただけていますでしょうか?

今月も僕は、Free Soul 25周年企画の一貫としてオファーを受けた、12/4にリリースされるコンピレイション『Free Soul Flying Dutchman』の選曲・制作を手がけていました。
Flying Dutchmanとは、ジョン・コルトレーンらの名盤を名門レーベルImpulse!に残した音楽プロデューサー、ボブ・シールによって1969年に設立されたジャズ系のインディペンデント・レーベルで、今回のコンピはそのベスト・アンソロジーとして、とっておきの名作をグルーヴィー&メロウな感性で2枚組・39曲・160分以上にわたって紡いだ決定版セレクションです。

コンパイルを依頼されたときからオープニング曲に決めていたのは、"黒いボブ・ディラン"とも言われる吟遊詩人ギル・スコット・ヘロンの「I Think I’ll Call It Morning」。
彼の訃報を知ったのは東日本大震災から2か月あまり経った頃でしたが、しばらくは音楽を聴くような気持ちになれなかった僕が、その朝ふと口ずさんだのがこの曲でした。
"陽光の中、鳥の歌を聴き、自由について思う。雨よ、降らないで。今の俺の気持ち"──そんな歌詞にも深く感銘を受けるポジティヴな歌で、ピースフルで柔らかなグルーヴにも救われる思いがしたことを忘れられません。
この曲への僕の思い入れは、マガジンハウス発行の女性誌「& Premium」のウェブサイト連載をまとめた「土曜の朝と日曜の夜の音楽。」という単行本にも著していますので、よかったら読んでみてください。
タフで優しいギル・スコット・ヘロンの音楽(今回のコンピレイションにも7曲をセレクトしています)は、何よりもそのカッコよさに惹かれて大学生のとき好きになりましたが、歳を重ねていつの間にか最も沁みる歌声になっていることに気づいたのが、その瞬間でした。

ギル・スコット・ヘロンの諸作と並んで、僕らのDJパーティー「Free Soul Underground」でヘヴィー・プレイされてきた、レオン・トーマスの逸品「Love Each Other」が2曲目に続きます。
ラヴ&ピースなメッセージを宿した、"Tighten Up"的なグルーヴ感とコード進行にフラワー・ムーヴメントの残り香も感じられる、やはりコンピの象徴と言っていいFree Soulど真ん中のキラー・ナンバーです。
レオン・トーマスはファラオ・サンダースと共作したスピリチュアルな「The Creator Has A Master Plan (Peace)」も、大学生になってジャズを聴くようになった最初の頃から個人的に特別な曲で、Disc-1のラストに彼自身のヴァージョン、Disc-2のトップにルイ・アームストロングによるカヴァーを置いています。

他にも、無敵のジャズ・ファンク・クラシック「Expansions」に代表されるロニー・リストン・スミスを始め、僕にとってクラブ・ミュージック的な感覚に最初に触れた大学生の頃から、中古レコード店に通いつめる中で、DJ〜クラブ的な観点でとても重要なレーベルというFlying Dutchmanのイメージを培ってくれたアーティストたちの傑作がずらり。
フライング・ダッチマン〜トータル・フットボールという連想ゲームから、ヨハン・クライフの勇姿をモティーフにしたジャケットのカッコよさも目に焼きつけて、発売日を楽しみにお待ちいただけたら嬉しいです。


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10月の選盤







ギル・スコット・ヘロン/レオン・トーマス/ロニー・リストン・スミスなどの名盤が吹き込まれたジャズ系インディペンデント・レーベルの名門Flying Dutchmanの全カタログから、グルーヴィー&メロウな珠玉の名作のみを2枚組・39曲・160分以上にわたってスペシャル・プライスで選りすぐった、橋本徹さん選曲のコンピレイション『Free Soul Flying Dutchman』


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橋本徹 (SUBURBIA)
編集者/選曲家/DJ/プロデューサー。
サバービア・ファクトリー主宰。
渋谷の「カフェ・アプレミディ」「アプレミディ・セレソン」店主。
『フリー・ソウル』『メロウ・ビーツ』『アプレミディ』『ジャズ・シュプリーム』『音楽のある風景』『Good Mellows』シリーズなど、
選曲を手がけたコンピCDは340枚を越える。
USENで音楽放送チャンネル「usen for Cafe Apres-midi」「usen for Free Soul」を監修・制作。
著書に「Suburbia Suite」「公園通りみぎひだり」「公園通りの午後」「公園通りに吹く風は」「公園通りの春夏秋冬」などがある。
http://apres-midi.biz
http://music.usen.com/channel/d03/

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