連載コラム【音楽のある風景】 Vol.92

2019.12.31

グリーンレーベル リラクシング のBGMを選曲されている、
選曲家の橋本徹さんよりコラム【音楽のある風景】が届きました。






どうぞお楽しみください!


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
12月の選曲は、霊妙で瞑想的な安らぎと静寂の美しさに心打たれて。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


2010年代最後のクリスマス・シーズン、皆さんはラヴ&ピースにすごすことができましたか?
僕は選曲仕事がしめきりラッシュで(green label relaxingやEMMEL REFINEのショップBGMも冬仕様に衣替えしました)、慌ただしい毎日をすごした12月でしたが、年の瀬もせまってアプレミディ・レコーズの単体アーティスト新作もリリースされました。
翳りを帯びた胸に沁みる内省的な歌声から"アフロ・ブラジリアンのニック・ドレイク"と異名をとるバイーア生まれの黒人シンガー・ソングライター、チガナ・サンタナの4年ぶり4作目となるフル・アルバム『Vida-Codigo』です。

この日本盤CDが世界最初のフィジカル・リリースとなる、自身のルーツであるアフリカとブラジルの音楽、そのスピリチュアリティーの探究と長く深い思索を経てたどりついた彼の最新作は、これまでで最も安らぎと静寂を感じさせてくれる穏やかな大名作で、淡々と刻まれるリズムやゆったりと奏でられるギターのアルペジオ、心地よく揺らぐエレクトリック・ピアノなどのシンプルでミニマルなアレンジの中心にあるのは、霊妙で瞑想的なアフロ・ブラジル性をたたえた、しっとりとインティメイトで滋味深いヴォーカル。
その叙情に満ちたメロディーに宿る静謐な美しさに心打たれる、正真正銘の大推薦盤です。

CDブックレットに寄せられた渡辺亨氏によるライナーノーツの最後には、こう記されています。
「チガナ・サンタナの沈潜した音世界に浸る。そうすれば、彼の歌声は、雨水が乾いた大地に吸収されるように心によりいっそう深く染み込み、記憶の古層を刺激してくれる。そのとき、はるかに過ぎ去った時間や遠く離れた場所、そこで出会った人への秘めたる想いが湧き立つ。チガナ・サンタナが喚起する哀感は、こうした意味での"サウダーヂ"に他ならない」
僕はこの文章に、言葉を失うような静かな感動に包まれた2015年の来日ライヴを思いだしてしまいました。

暦を見るとゆっくりすごせそうな今年の冬休みは、僕はこのアルバムをじっくり聴きながら、心を落ちつかせて瞑想にふけるのもいいかな、と思っています。
これからの人生に大切な「心の調律師のような音楽」に、またひとつ出会えたことを嬉しく思います。

それでは皆さん、音楽的には恵まれていたと思う2010年代に感謝と別れを告げて、よい年を迎えましょう。
2020年も素晴らしい音楽との素敵な出会いがありますように。


──────────────────────────


12月の選盤




霊妙で瞑想的な胸に沁みるギターの弾き語りを中心とした音楽性で、多くの海外メディアでも"アフロ・ブラジルのニック・ドレイク"などと絶賛の声がやまないバイーア生まれの黒人男性シンガー・ソングライター、チガナ・サンタナのこれまでで最も安らぎと静寂を感じさせる穏やかな最新作で、橋本徹さんが主宰するアプレミディ・レコーズから世界初CDがリリースされた『Vida-Codigo』


──────────────────────────

橋本徹 (SUBURBIA)
編集者/選曲家/DJ/プロデューサー。
サバービア・ファクトリー主宰。
渋谷の「カフェ・アプレミディ」「アプレミディ・セレソン」店主。
『フリー・ソウル』『メロウ・ビーツ』『アプレミディ』『ジャズ・シュプリーム』『音楽のある風景』『Good Mellows』シリーズなど、
選曲を手がけたコンピCDは340枚を越える。
USENで音楽放送チャンネル「usen for Cafe Apres-midi」「usen for Free Soul」を監修・制作。
著書に「Suburbia Suite」「公園通りみぎひだり」「公園通りの午後」「公園通りに吹く風は」「公園通りの春夏秋冬」などがある。
http://apres-midi.biz
http://music.usen.com/channel/d03/

  • facebook
  • twitter
  • line
  • pinterest
  • google
green label relaxing
Twitter
Facebook
YouTube
Sumally
Instagram