連載コラム【音楽のある風景】 Vol.111

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2021.07.31

グリーンレーベル リラクシング のBGMを選曲されている、
選曲家の橋本徹さんよりコラム【音楽のある風景】が届きました。

どうぞお楽しみください!

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7月の選曲は、困難な状況でもポジティヴな気持ちとエネルギーを感じ合えることに感謝して。
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オリンピックも始まった中、コロナ感染者数が過去最高を連日はるかに更新する厳しい状況で迎えることになった、東京の2021ミッドサマー。

それでも少しでも音楽で心地よく夏を楽しんでいただけたらと、先月のこのコラムでは、"サマー・フィーリング"をテーマにした、UNITED ARROWS green label relaxingと僕のコンピCDのコラボによるプリントTシャツのプロジェクト・イメージを選曲で表現したプレイリストの最新作Vol.3を紹介させていただきましたが、正直な話、緊急事態宣言(時短営業&酒類販売停止)期間の延長〜帰省を含む都道府県間の移動自粛要請〜重症者以外は自宅療養への方針転換と、立て続けにバッド・ニュースが飛びこんでくると、さすがに気が滅入ってしまいますね。

とはいえ気を取り直して前向きに、と今月はちょうど昨日、僕が主宰するアプレミディ・レコーズから、世界初のフィジカル・リリースとして日本盤CD化が実現したばかりの素晴らしい作品を、推薦させていただこうと思います。

それは、2017年の前作『Um Corpo No Mundo』も最高で、アプレミディ・レコーズで日本盤CD化させてもらい、"アフロ・ブラジリアンの宝石""サンパウロの至宝"と絶賛され大好評を博したブラジルの女性シンガー・ソングライター、ルエジ・ルナ(Luedji Luna)の最新アルバム『Bom Mesmo É Estar Debaixo D’Água』です。

これは配信のみのリリースながら、「ミュージック・マガジン」誌の年間ベスト企画/ブラジル音楽部門でも文句なしの2020年ベストワンに選出された、ルーツ回帰とアーバン感覚が両立する今のブラジル・シーンを代表する傑作で、コロナ以降のブラジル音楽を象徴し前進させた一枚として、歴史的にも語り継がれるに違いない名アルバム。

静かな情熱が揺らめく心に響く歌唱と、アフロ・ブラジル〜ソウル〜ジャズから室内楽までが自由な創造性で融合されたアレンジメントにより、ニーナ・シモンのカヴァーも混じえて、しなやかにブラック・ディアスポラ〜黒人女性としての表現を追究した12の物語が綴られていきます。

とりわけ今この時期のリリースということも踏まえ、僕が惹かれ、共感し胸を打たれてしまうのは、彼女が一貫して、困難な状況でも愛し愛されることの大切さを説いていること。

ご存じの通り、現在のブラジルは、政権のマイノリティーへの迫害や人権軽視、失政・汚職による経済の低調と貧富の差のさらなる拡大、リオ五輪後のバブル崩壊にパンデミックも追い打ちをかけて分断は深まるばかりで、アーティストもコンサートやCD制作の機会を失っています。

そんな中で、ルエジ・ルナがその豊かな音楽にこめたメッセージは、ブラジルのみならず、今この時代を生きる僕たちすべてが直面せざるをえない現実に向けられている、と感じずにいられません。

今回はちょっとシリアスな話になってしまいましたが、遠い国の音楽を聴いて、ポジティヴな気持ちとエネルギーを感じ合えることに、深く感謝したいと思います。


"アフロ・ブラジリアンの至宝"と絶賛される、揺らめく炎のような陰影とジャズ〜ソウル〜室内楽も溶けこんだ抑制の美が宿った歌とサウンドに心動かさずにはいられない、ブラジル・バイーア州サルヴァドール生まれで今はサンパウロを拠点とする稀代の女性シンガー・ソングライターの2020年秋に発表された傑作セカンド・アルバムで、橋本徹さんが監修するアプレミディ・レコーズから世界初CD化されたルエジ・ルナの『Bom Mesmo É Estar Debaixo D’Água』



近年注目を集めるアフロ・ブラジレイロMPBの新潮流、知性と野性がしなやかに溶け合い、まろやかで伸びやかな歌声と豊かでこまやかな躍動のアンサンブルに深い叙情性が宿る、"サンパウロの宝石"と讃辞を受ける稀代の女性シンガー・ソングライターの2017年暮れに発表された名作ファースト・アルバムで、橋本徹さんが監修するアプレミディ・レコーズから日本盤CD化されたルエジ・ルナの『Um Corpo No Mundo』

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橋本徹 (SUBURBIA)
編集者/選曲家/DJ/プロデューサー。
サバービア・ファクトリー主宰。
渋谷の「カフェ・アプレミディ」「アプレミディ・セレソン」店主。
『フリー・ソウル』『メロウ・ビーツ』『アプレミディ』『ジャズ・シュプリーム』『音楽のある風景』『Good Mellows』シリーズなど、
選曲を手がけたコンピCDは340枚を越える。
USENで音楽放送チャンネル「usen for Cafe Apres-midi」「usen for Free Soul」を監修・制作。
著書に「Suburbia Suite」「公園通りみぎひだり」「公園通りの午後」「公園通りに吹く風は」「公園通りの春夏秋冬」などがある。
http://apres-midi.biz
http://music.usen.com/channel/d03/

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