ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること

個性を活かした発信を。SNS運用で見出した接客の極意。

ヒト

2025.06.03

個性を活かした発信を。SNS運用で見出した接客の極意。

ユナイテッドアローズ 名古屋店の吉田あかねさん。Instagramのフォロワーが多い理由には、日々の丁寧なスタイリングと、ファッションへの深い愛情、そして徹底した客観視の姿勢がありました。SNSとリアル店舗をつなぐ新しい接客の形を実践しながら、自分らしい発信を続ける吉田さんに、Instagramを活用した接客の極意や、DXを使いながら店頭の販売にも活かせるコツなどを伺いました。

Photo:Go Tanabe
Text & Edit:Shoko Matsumoto

ファッションに対する理念に共感しユナイテッドアローズへ入社

--これまでの経歴を教えてください。

「2020年に新卒で入社し、今年で6年目になります。最初はユナイテッドアローズ 名古屋店に2年勤務し、その後ビューティー&ユース ユナイテッドアローズ 名古屋駅店へ。さらに2年後、再びユナイテッドアローズ 名古屋店に戻ってきて、今に至ります」

--元々ファッションがお好きだったんですか。

「名古屋学芸大学のファッション造形学科出身で、アートとビジネスの両面からファッションを学びました。元々はモノづくりに関わる仕事に就きたいと思っていましたが、就職活動中に<ユナイテッドアローズ>の『モノづくりの背景を大切にする』という理念に共感し、入社を決めました」

--今は、どういうお仕事を担当されていますか。

「現在はDX(デジタルトランスフォーメーション)担当として、Instagramでの発信やスタイリングの投稿を行いながら、バッグやシューズなど服飾以外の小物系商品の入荷チェックやレイアウトも担当しています。店舗開店前の1時間、スタイリングのための時間をシフトに組んでいただき、その時間に撮影や投稿を行っています」

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個人の挑戦から始まったSNS発信

--SNSを始めたきっかけを教えてください。

「入社して1〜2年目に、店長に“インスタをやってみたい”と伝えて、服専用のアカウントを作ったのが始まりです。まだあまり店頭でのSNS発信をしていないタイミングだったので、店長と相談しながら個人的にスタートしました。投稿は基本的に毎日行っています。一投稿に最大10枚、平均5枚以上の写真を掲載しています。私服の投稿は特に反応が良いので、その際はどういったスタイリングが響いているのか分析もしています。自分の顔が写るのは苦手ですが、反応の良さを考えて、時にはアップの写真も使うようにしています。載せた時にどう見えるかバランスを見るだけの専用アカウントを作っているのですが、投稿前にレイアウトを確認したり、友人に意見をもらったりして、全体のバランスにも気を配っています」

-- Instagramのフォロワーが現在1.7万人を越えています。フォロワーはどのように増やしましたか。

「自分の好きな系統を同じく好きな方がフォローしてくださることが多いので、堅すぎない、プライベート感のある投稿を心がけています。背景が毎回ショップだと単調になってしまう気がするので、撮影場所にも変化をつけるようにしています。個人的には〈adidas〉や〈DAIWA〉などのアウトドアブランドをミックスしたスタイリングが好きなのですが、そうした投稿がフォロワーの方々には反響が高いです。オールインワンを載せたときは、特にフォロワーが一気に増えました」

画像 Instagram アカウント @yoshidakane

--所属されている名古屋店でもSNSを積極的に活用した取り組みをしていますか。

「名古屋店では、名刺に店舗LINEや個人のInstagramアカウントのQRコードを載せたりしています。電話がつながらない時でもLINEなら気軽にお問い合わせができるので、お客様との接点が広がっています。DX担当ではないスタッフも、LINEでのやりとりを活用していて、店舗全体で取り組んでいます」

より伝わる投稿を作るための工夫と努力

--ご自身の他の人にはない強みやこだわりはなんでしょうか。

「スタイリングを撮るときは、全体のバランスや髪型、小物使いにもこだわっています。自分を客観的に見て、スタイルアップする工夫を重ねることで、接客でも“こうすると良く見えますよ”と説得力を持って提案できるようになったと思います。コンプレックスの鼻の低さも、角度を工夫すれば目が大きく見えるなど、自分の見せ方も研究しています。携帯のLive Photos機能をオンにして、シャッターを切った前後を記録してセレクト時間を短縮するなど、細かい工夫も積み重ねています」

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目指すのは画面の向こう側にまで届く接客

--DXを使いながら、店頭の販売に活かすコツなどを教えてください。

「接客時には、お客様の要望に応じて自分のスマホでスタイリングを見せることもあります。実際に試着しなくても、着回しのイメージが伝わるよう、なるべく丁寧な接客を心がけます。InstagramのDMでお問い合わせをいただくこともたくさんあり、SNSは“お店を離れても自分にアクセスできるツール”だと感じます。SNSを通じて県外のお客様が会いに来てくださったりもして、販売の可能性が広がっているなと実感する日々です」

--Instagramのフォロワーが増えたことで、変化した心境などはありますか。

「フォロワーが増えたことによる心境の変化はあまりありません。上には上がたくさんいますから……自分としてはまだまだです。でも、数字が増えると発言に説得力が増すのも事実だと思うんですよね。何か新しいことに挑戦したいときの“選択肢”が増える気がして、それがDXに取り組むモチベーションのひとつになっています」

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--普段の息抜きの仕方や休日の過ごし方など教えてください。

「行ったことのない都道府県へのドライブが好きで、最近は岡山県から香川県を4〜5時間かけて巡りました。また細かい作業が好きで、刺しゅうも長年続けています。これは『進撃の巨人』の好きなキャラクターを、ゆっくり一年かけて刺しゅうしたもの。大学の卒業制作では、岡崎京子さんの漫画をモチーフに刺しゅうした衣装を制作したのですが、今でも無心で針を刺す時間が癒やしになっています」

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--今後のご自身の展望についてお聞かせください。

「引き続きInstagramの投稿を頑張っていきたいですね。それから、社内で見本とまではいかなくとも、同世代や後輩のスタッフに、“あんなふうになりたい”と思ってもらえる存在を目指したいです。そしてブランドや店舗、私自身のファンを増やしていきたい。そのために、苦手なことにも挑戦して、今後はインスタライブにもトライしていく予定です」

PROFILE

吉田あかね

吉田あかね

2020年に新卒入社、ユナイテッドアローズ 名古屋店に2年勤務し、その後ビューティー&ユース ユナイテッドアローズ 名古屋駅店へ。現在は再びユナイテッドアローズ 名古屋店に勤務し、Instagramやスタイリング投稿を積極的に取り組み、店舗のDX担当として活躍中。Instagram:@yoshidakane

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