ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること

ヒト

2018.06.27 WED.

夫婦のコミュニケーションとチームワークで仕事と育児を両立。

ともにユナイテッドアローズ社で働く、佐藤健一さんと和泉啓子さんご夫妻。和泉さんは2015年に出産し、育児休暇を経て、現在2歳の娘さんを育てながらバイヤーとして活躍中。年に5〜6回、約一週間の海外出張をこなせるのは、夫の協力があってこそだと語ります。いったいどのようなチームプレーで仕事と育児を両立させているのでしょうか。おふたりにお話を伺いました。

Photo : Kousuke Matsuki
Text : Kana Yokota

−まずは現在のおふたりの仕事内容をお聞かせいただけますか?

佐藤:僕は2004年に学生アルバイトとして原宿のメンズ館で働いたのがスタートなのですが、その後社員となり、丸の内店、横浜店、渋谷シンクス店での店舗勤務を経て、現在本部オフィスでディストリビューター(以下DB)として働いています。DBはバイヤーやMDが発注した商品を店舗特性、売上状況から、投入や在庫調整を効果的に行うことが仕事です。ある一日の流れは朝9時半に出社して、売上やメール確認をし、店舗の状況を把握した上で在庫の店間移動業務を主にしています。各部署とのミーティングもありますが、基本的にデスクワークです。

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和泉:私は2007年に入社し、丸の内店と横浜店で販売を経験した後、2013年にアシスタントバイヤーとして本部オフィス勤務になりました。今は雑貨バイヤーとして国内外の展示会をめぐり、買い付け業務を行っています。海外出張時以外の一日のタイムスケジュールは、朝8時半に娘を保育園に送りに行き、9時半に出社。展示会回りを数カ所こなした後、オーダーなどのデスクワーク。4時半までの時短勤務なので、その後保育園にお迎えに行きます。海外出張は1、3、6、9、12月にあり、ミラノ、フィレンツェ、パリなど主にヨーロッパを担当しています。約一週間家を空けることになるので、その際の家事と育児は夫に任せています。

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—年に5〜6回の海外出張時は佐藤さんが保育園の送り迎えをされているのですね。

佐藤:そうです。16時半に早退させていただき、保育園に迎えに行っています。

和泉:実は出張じゃないときも木金の送り担当は夫だったんです。でも娘のイヤイヤ期が一歳半ごろから始まって、私以外受け付けなくなってしまったんです。だから自我が芽生え、言葉を話はじめたときは大変だったみたいで…。

佐藤:「ちちイヤ!」とはっきり言われましたからね。寝言でも言われるほど(笑)。保育園が駅と反対方向にあるので、大泣きしている娘を抱えながら通勤する人の波を逆走して…。とはいえ最近は出張で母親がいないという状態になると彼女も諦めモードに入ったのか、「この人しかいないならしょうがないか」みたいになってきました。

和泉:私は出産後半年で復職したので、娘は生後6ヶ月で保育園に入ったんです。0歳児はまだ悲しいという感情もないですし、母親の不在もわかっていなかったと思うんですけど、一歳半くらいから急に自我が芽生えてきて大変でした。夫は娘に優しいので、私だと怒られるけれどお父さんにはわがままになっているみたいですし、出張中は本当に大変な思いをさせていると思います。

佐藤:朝は大変ですけどね。でも妻のいない土日なんかは友人の子どもを交えて遊んだり、姉の娘と遊ばせたり、最近は楽しく過ごしていますよ。ご飯はちょっと手が回らず外食が多くなってしまいがちですが…。

和泉:シングルファザーかなって思われてるよね、きっと(笑)。でも基本的には料理もできる人なので助かります。


チームの支えがあってこそ成り立っています。

—和泉さんが復職されるときに出張時にはどうするかなど、夫婦間で話し合われたのですか?

和泉:もともと販売からバイヤー職になるときも不安しかなかったんですけど、「頑張ってみれば!」と後押ししてくれたのも夫なんです。育休明けも引き続きバイヤーとして復帰させてもらえることになって、いざ出張に行くぞってなったときに「そうなんだ、行ってらっしゃ〜い」くらいで。子育てにも前向きな夫で、娘が生まれた頃から私抜きで出かけることも平気な人だったので、シリアスに話し合うという感じではなかったですね。

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佐藤:実際は想像よりも大変だったんですけどね(笑)。でもバイヤーって誰でもできる仕事じゃないし、セレクトショップで働いている人の多くはバイヤーになりたいと思う憧れのポジションだと思うんです。そんなポジションに配属されて、認められて、復帰後も続けさせてもらえるという状況の中で、彼女の不安は大きかったと思うんです。時短勤務になるし、周りの人に迷惑をかけるんじゃないかと。自分が協力することで少しでもその不安が取り除けるなら、そこはなんでも協力したいなと思っていました。もちろん上司をはじめ、チームみなさんの支えがあってこそ成り立つことなので本当に感謝しています。

和泉:そうですね、職場のみなさんには感謝しかないです。夫の上司が私の元上司だったり、私の母が他界している事情をわかってくれている方もいたり、私が海外出張に行くことになったときにも、こちらがお願いする前に「じゃあ佐藤は一週間早退だね」って雰囲気にしてくださったんです。チームの同僚とはプライベートで遊ぶくらい仲が良いので、みんなが協力体制でいてくれるのはありがたいです。

佐藤:ふたりとも勤続年数が長いですし、職場のみなさんとの雰囲気もなんとなくファミリー感がありますね。共働きで子育て中の先輩方もいらっしゃいますし、甘えてしまっている部分も多くありますが、大変なときはサポートし合うチーム体制ができていることは、良い環境だなと思います。

和泉:夫婦共働きの方はみんなそうかもしれないですが、「3人でチームだからね!」って娘にも言い聞かせて、チームワークで乗り切っている感じですね。会社が同じなので、歓送迎会や忘年会などはどちらかが参加するなど話し合って調整しています。

—それぞれの仕事のやりがいや魅力を教えていただけますか?

佐藤:DBはオフィスの商品部にいながら、一番店舗に近いところにいるポジションです。店舗の「今」を一番知らないといけないため、全体動向や店舗スタッフとのコミュニケーションから、どうやったら効果的にお客様満足につなげられるか汲み取らなければいけない難しいポジションだと思いますが、売上達成が一番のやりがいです。まだDBをはじめて3年ですが、今経験していることは、すべて未来への糧になると思っているので、広い視野を持ってこれからも取り組んで行きたいと思っています。

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和泉:学生時代から憧れていた職業をさせていただいているので、仕事は楽しくて仕方ないですね。復帰後初めての海外出張時のエピソードなのですが、すごく気に入って買い付けたジャンヴィトロッシのパンプスがあったんです。海外での靴のバイイングはそのときがはじめてでしたし、イタリアの大きなメゾンブランドのショールームでの買い付けもドキドキでした。商品が店頭に並んでから私も購入したのですが、ディレクターや上司、ショップスタッフも履いてくれていたんです。身近な方が気に入ってくれると一層うれしい気持ちになるんです。「ああ、この靴を選んで良かったな」と、やりがいを改めて感じた瞬間でした。仕事をしながらの子育ては大変ですが、朝保育園で娘を引き渡したらスイッチオン。そこからお迎えまでの時間は仕事に没頭しています。

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たわいもないコミュニケーションがチームプレーの秘訣。

—仕事と家庭を両立する上で、おふたりが大切にしていることはありますか?

佐藤:家族の会話、ですかね。朝のちょっとした合間や土日に3人で過ごすときなど、たわいもない時間だとは思うんですけど、できるだけコミュニケーションを取るようにしています。

和泉:夫が帰ってくる時間にはもう娘は寝ているので、どんな風に一日を過ごしていたかは保育園の日記レベルでしかわからないんです。朝ごはんを食べながら「昨日はこうだったよ〜」という話をしたり、仕事の話をしたり。もともと夫とはなんでも話す友達のような関係なので、朝のバタバタの中でも結構会話をしているほうだと思います。それがいいチームプレーの秘訣かもしれません。

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—土日は3人で過ごすことが多いのですか?

和泉:そうですね。娘が早起きなので、だいたい午前中から外出しています。上野動物園がすぐ近くにあるので動物園にはよく行きますし、夫と共通の友人が社内に多いので同僚やそのファミリーともよく遊びます。あと、夫の父母も埼玉に住んでいて、家が近いので会いに行きますね。

—お互いの息抜きの時間は?

佐藤:たまに学生時代の友人との会合には参加させてもらっていますね。

和泉:定期的にあるので、それは行ってもらっています。逆に私が美容院に行きたいときは娘を見てもらっていますし、お互い時間が欲しいときは遠慮なくお願いしあって息抜きしています。夫が子ども好きなので、育児がストレスになっていないことも大きいかもしれない。趣味が「子ども」みたいな(笑)。

佐藤:僕、無趣味なんですよ(笑)。上司にも趣味がないことがばれていますので、よくいじられています(笑).。唯一サッカー観戦が好きなくらいで、昔から姪っ子とよく遊んでいましたし、子どもと一緒にいるのが楽しいんです。

和泉:なんかめちゃくちゃいい夫っぽいよね(笑)。

佐藤:いや、でも本当に周りにご理解いただけて、支えられていることが一番ありがたいんです。家の近所におじいちゃんやおばあちゃんがたくさん住んでいるのですが、彼女が出張に行っている間はみんなが心配して様子を見に来てくれるんですよ。娘が泣いていたら二階の窓から「どうした〜?」って声をかけてくれたり、あやしてくれたり。温かい環境なんです。

—疲れが溜まることはないんですか?

和泉:それが元気なんですよ(笑)。展示会シーズンが始まると一日2万歩は必ず歩いていますし。元気じゃないとやれない仕事ですよね。性格も楽観的なので、寝たら嫌なことも全部忘れます。

佐藤:僕もそんな性格なので、喧嘩もほとんどないです。お互い寝たら忘れるよね。

—仕事のこと、家庭のこと。今後の目標があれば教えてください。

和泉:仕事の目標は、お客様にもスタッフにも喜んでいただける商品をより多く届けたいです。社内での役割が代わったとしても。時短勤務で働いている先輩ママがたくさんいるんですけど、子育てしながら活躍している姿がカッコよくて。彼女たちの後に続けたらいいなと思っています。

佐藤:これから家族が増えることもあるだろうし、部署異動になる可能性もあると思います。お互いの状況が変化していく中でも、その都度話し合いながら夫婦で協力し合えたらいいですね。

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PROFILE

佐藤健一

2004年から学生アルバイトとして「ユナイテッドアローズ 原宿店」で勤務。2007 年に社員となり、丸の内店、横浜店、渋谷シンクス店を経て、オフィスへ異動。ユナイテッドアローズ メンズのディストリビューションを担当。

和泉啓子

2007年入社。「ユナイテッドアローズ 丸の内店」を経て、横浜店へ異動。2013年よりアシスタントバイヤーとしてオフィスに勤務。2015年に出産し、その後復帰。現在はユナイテッドアローズ ウィメンズの雑貨バイヤーとして活躍。

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