
ヒト
2019.07.11 THU.
韓国から日本へ。異国の地で働く外国人スタッフが語る、ユナイテッドアローズで働くということ。
「ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店」に勤務する趙 珉垂(ジョ ミンス)さんは、2018年に新卒社員として入社して2年目の外国人スタッフ。お客さんとして訪れた新宿店で受けた接客がきっかけでユナイテッドアローズに就職しようと決意したそう。異国の地で働くということは決して簡単なことではないなか、趙さんの接客に対する熱い想い、アクティブなライフスタイル、そしてユナイテッドアローズの社風についてなど、さまざまなお話を伺いました。
photo_Shinji Serizawa
text_Kozue Takenaka
ユナイテッドアローズで受けた、忘れられない接客。
―まず、趙さんが日本に来ることになった経緯を教えてください。
趙:日本に興味を持ったのはわたしが高校3年生のときです。受験勉強に追われていた最中、たまたまテレビを見ていたら尾崎 豊さんのライブが流れ、それを観てなぜだか涙が流れたんです。それから尾崎 豊さんにはまって、日本に興味が湧き、当時通っていた大学の交換留学制度を受け、日本の大学に通うことになりました。
―なぜ、大学を卒業しても日本に住み続けようと思ったのでしょうか?
趙:日本の大学に通いはじめ、一人暮らしをしたときは日本語もわからず、片言しか話せなかったのが、友達ができて遊んでいたらいつの間にか喋れるようになり、日本での生活に慣れていきました。そして、就職活動時期になり、韓国に帰るか迷ったとき、もう少し日本にいたいなという気持ちになり、日本で就職しようと心に決めました。
―趙さんがユナイテッドアローズに入社したいと思ったきっかけは?
趙:昔からファッションが好きで、アパレル系の会社に就職したいと思っていました。日本で就職をしようと決めてから、いろいろなアパレル会社の情報を調べました。そんなとき、日本に来たばかりの頃、新宿のユナイテッドアローズに買い物に行き、気持ちのいい接客を受けたことを思い出したんです。当時、わたしはユナイテッドアローズという会社自体も知りませんでしたし、接客をしてくださったスタッフの方のお名前もわかりませんでしたが、接客だけは記憶に残っていました。そして、企業情報などを調べて新卒採用試験を受け、入社することになりました。
―素敵な出会いですね! どんな接客を受けたのですか?
趙:今まで買い物していたお店の接客だと“これいいですよ、お似合いになりますよ、流行っていますよ”という、誰にでも通用するような言葉を言われるだけでした。だけど、そのとき新宿店で接客してくれたスタッフさんは、わたしを見て、「お客様は肩幅が狭めだからこれが似合うと思う」「背が高いからこちらの商品のほうがいいですよ」など、わたし自身をきちんと見て似合いそうな服をおすすめしてくれました。
―実際にユナイテッドアローズで働いてみてどうですか?
趙:まだ六本木ヒルズ店でしか働いていないのですが、韓国のアパレルショップとはまた違う商品展開やVMDがとても興味深くおもしろいです。そして、ひとつのルールに縛られることなく、個性を大切にしてくれる社風に、韓国人であるわたしはとても嬉しく、いい会社に就職できてよかったと心から思います。
お客様には“素直”な接客をすることがポリシー。
―いま、六本木ヒルズ店ではどのような業務を担当していますか?
趙:今はメンズフロアでコスメ部門のVMDや販売を担当しています。昔からコスメに興味があったので、知識を生かせる場でもあり、新しいことを学べるのでとてもやりがいを感じています。
―韓国は美容大国ですもんね。趙さんが美容に関して気をつけていることはありますか?
日焼け止めを欠かさず塗ることですかね。近所のコンビニに行くときでも塗りますよ。一緒に働いているスタッフには「女性より美意識が高いね」とよく言われます(笑)。
―六本木というエリアは日本人だけでなく、海外のお客様も多いと思いますが、趙さんがお客様とのコミュニケーションで大事にしていることはなんですか?
趙:1番大事にしていることは、素直であること。購入していただけることが1番嬉しいけれど、そのために無理をしてお客様を持ち上げることは自分の信念を曲げている気がします。なので、六本木ヒルズ店に求めているものがなければ、別の店舗を紹介することもあります。そして、自分がされて心地よかった接客はもちろん生かし、良くなかった接客は絶対に自分もしないことです。
―接客に対する想いの強さを感じます。では、一緒に働くスタッフとのコミュニケーションはうまくとれていますか?
趙:語学力でいうと、今でも表現したい言葉が浮かばないことはありますが、接客中だとまわりにいるスタッフがカバーしてくれますし、営業時間外のスタッフとの時間も逆に気を遣って接してくれて、みなさんの優しさを感じています。そのおかげでいい意味で気を遣わず、自分らしさを表現でき、一緒に働く仲間としての意識も高まっています。




プライベートも、日々の仕事に生かされていると実感。
―どのような休日を過ごしていますか?
趙:休日に必ずすることは、ジムに行って体を鍛えることです。体を動かすことが大好きなんです。
―なにかスポーツをやっていたんですか?
趙:韓国に住んでいたとき、小学校1年生から高校3年生までテコンドーをやっていました。高校3年生のときに4段の試験に受かって師範の資格をもらい、選手として辞めたあとは師範として後輩に教えていたんです。あとは、大学時代から仲良しの友だちと会って遊んでいます。
―友だちと会うといい息抜きになりますよね。
趙:そうですね、今仲良くしている友だちに出会わなければ今の自分がいなかったのではと思うくらい大事な存在です。いま千葉の松戸市に住んでいるのですが、友達がみんな住んでいるからなんです。六本木まで通勤距離がある分、仕事とプライベートの切り替えができて自分的にはベストな環境です。
―そういったプライベートを含め、日々の生活で接客に生かされていることはありますか?
趙:ジムに行って体を鍛えることで、自分に自信をもてますし、洋服が似合う体型をキープするためにジムに行く。そうすることでお客様へ商品をおすすめするときに説得力もあると思います。販売員であるからには見た目も重要ですからね。あとは、自分が大切にしている友だちに接するときの感覚を忘れず、お客様とのコミュニケーションを取ることで、距離を縮められるようにもなりました。
―では、最後に趙さんの将来の目標、夢を教えてください。
趙:自分が知っている限りだと、ユナイテッドアローズにはメンズの韓国ブランドの取り扱いがまだありません。韓国にいるときもファッションが好きでいろいろなお店に行っていましたが、最近は昔と違って韓国のファッション事情も変わり、世界に通用するいいブランド、いい服が増えたと思います。なのでそんな韓国ブランドの服を展開するような橋渡し役にもなりたいですし、ユナイテッドアローズのような素敵なセレクトショップを韓国にも広げていきたいなと思っています。
いつも身につけているクロムハーツのリング。初任給で購入した思い入れの品で、買ったときの気持ちや初心を忘れないよう、毎日必ずつけているそう。
PROFILE

趙 珉垂(ジョ ミンス)
2018年入社。ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店に勤務。 現在は、3階メンズフロアのコスメエリアでVMDや販売を担当する。