
ウツワ
2023.08.08
「LOG」と「koti BEAUTY&YOUTH」が提案する、“世界をととのえる”これからのアウトドアライフのスタンダード。
2023年7月15日(土)、富士五湖のひとつである山中湖の湖畔に位置する老舗キャンプ場「the 508(旧:撫岳荘キャンプ場)」に、〈koti BEAUTY&YOUTH〉(以下、koti)のPOP UP STOREがオープンしました。日常の延長線上にアウトドアを落とし込む、ボーダレスなライフスタイルを提唱する〈LOG〉との共同プロジェクト。
ショップと言えば人口が多い街中に展開するのが一般的ですが、あえて自然に近いフィールドにショップをオープンすることにいったいどんな意義があるのか、プロジェクトのキーマンである〈LOG〉の須山 友之さんと〈koti〉ディレクターの中島 小太郎さんにお話を聞いてみました。
Photo:Shuhei Kojima
Text:Akihito Suzuki
キャンプを楽しむ人たちが繋がる場所を作りたかった。
須山:2015年ごろにキャンプをはじめて以来、趣味としてのキャンプを楽しみながらインスタグラムを通じて同じような感性を持つキャンパーさんとの繋がりを深め、交流を楽しんできました。自然の中で過ごすという開放感がそうさせるのか、ある時、キャンプでは初対面の方とでも違和感なく寝食を共にすることができるという特異性に気づき、「こういう機会を求めている人は結構いるのでは?」との想いから、そういった方が繋がるための場所を作りたいと考えました。
ギアショップだと、なかなかゆっくり話をすることができないため、交流を深めることを目的としてカフェというスタイルにしました。
―オリジナルのギアやセレクトされたアイテムの展開もされているようですが?
須山:最初の頃は、僕がハブになってカフェに来られるお客様同士を繋げるという活動を地道に続ける日々でした。
そのうち、実は本業でブランドを運営していたり、メーカーに勤務されているお客様とご一緒することも多くなり、ありがたいことに「一緒に何かできませんか?」という相談をいただく機会が増え、そこから一緒にものづくりをしてそれを販売する、という取り組みも少しずつ拡大していくことに。
あらかじめキャンプを通じてお互いの人格や感性を共有できていることもあり、何かしようとなった時はとてもスムーズに話が進みましたね。
須山:インスタグラムを通じて知り合いイベントなどでも交流があった、人気ガレージブランド〈neru design works〉(以下、neru)ディレクターのネルさんと共に、「何か新しいことができたらいいね」となって立ち上がったのが〈LOG〉。モノを軸に活動を続ける〈neru design works〉、人を軸に活動を続ける〈TARPtoTARP〉、お互いの長所を活かして短所を補いながら新しいコトを発信していくオンラインプラットフォームを構築。そこを通じて、僕らが欲しい、使いたいと思えるアイテムの提案や、情報発信をしつつ、アウトドアに関心がある企業のPRやブランディングの支援などをおこなっています。
中島:2021年の〈koti〉の立ち上げの際、取り扱いの商談で〈neru design works〉のneruさんを訪れたところ、「気が合いそうだから紹介したい人がいる」と言われて紹介されたのが須山さんでした。
〈ユナイテッドアローズ〉(以下、UA)としてアウトドアに取り組むにあたり、従来のアウトドアとは異なる感性のものを発信していきたい、という想いを持っていたんですが、お会いして須山さんの描く世界観や人柄に共感し、〈koti〉のオープンの時には、須山さんが運営されている〈TARPtoTARP〉といくつかコラボアイテムも展開させていただきました。
須山:元々個人的に〈UA〉のようなセレクトショップを愛用していたこともあり、〈UA〉がアウトドアを提案するならどのような世界観が良いか、というのはイメージしやすかったです。
昨今のキャンプカルチャーは、ギアが最優先でファッションなどのその他の要素に関しては二の次な傾向があり、少し違和感を感じているところでした。僕自身アパレルやカルチャーなどを含めたライフスタイルへの関心が元々高く、そこへうまくアウトドアを融合していきたいという想いがあったので、お互いのフィーリングは合っている感じがしました。
―そこから今回の共同POP UP STOREが開催されることになったきっかけは?
須山:元々〈TARPtoTARP〉のファンでイベントなどに参加してくださっていた方がいて、「サウナを軸として地域活性に繋げる新しい事業を始めたいが一緒に何かできませんか」という相談を受け、〈CYCL.〉という会社を立ち上げることに。
サウナの他にもこのプロジェクトを一緒に盛り上げてくれるショップやブランドの誘致を検討する中で、〈koti〉さんの世界観にマッチするのでは、と考え声をかけさせていただきました。
中島:kotiをローンチする際の構想に本格的な商品の提案により、未知なる「悦び」「体験」の提供を目指すレーベルとしてフィールドに近いところに出店したいという思いがありました。
2021年に南青山にショップをオープンし、次のステップとして須山さんに一緒に郊外エリアに出店できないかと相談したところ今回の話を切り出されまさにジャストタイミングでお互いびっくりしました。まずは期間限定という形で今回の開催に至ることができました。
様々なアウトドアの楽しみ方が可能な絶好のロケーション。
須山:キャンプを始める前は、山中湖周辺は観光地でキャンプをする場所というイメージはありませんでした。ただ、ご縁があり「the 508」のオーナーである高村さんと繋がって実際に来てキャンプをしてみると、夏でも暑すぎず過ごしやすく、水辺でSUPやカヤックなどのウォーターアクティビティをしたり、周辺の山をハイキングしたりと、キャンプはもちろん色々なアウトドアの楽しみ方がある場所だということに気がつきました。その中でも「the 508」は、林間でも湖畔でも過ごすことができ、このエリアの象徴たる富士山を眺めることもできる好ロケーションで、今では撮影などでも頻繁に利用させてもらっています。
POP UPの会場「the508」の前方には湖畔キャンプスペース、後方には林間キャンプスペースという好みや気分に合わせてキャンプを楽しめる。
センターハウス内にカフェがあるというのもいいですよね。暑い時期の設営などキャンプでは何かと手がかかるので、労力に抵抗がある方もいると思います。カフェを利用して手軽にキャンプを楽しむというのも、これからキャンプを始められる方にとってはハードルを下げる要素になりそうですね。
オープン直後からちょうど夏休みのスタートなので、子供向けのイベントなども開催したり、湖畔というロケーションを活かしてカヤックやSUPの試乗会などの取り組みもおこなっていきたいと考えています。
オープン初日には、SUPの体験会や豪華景品が当たる射的コーナーの出店、ライブ演奏ももあり、POP UPを盛り上げていた。
アウトドアやアクティビティシーンですぐに役立つアイテムを展開。
須山:基本的には両ブランドのインラインのアイテムで構成されていて、ギアからアパレルまで、キャンプやアクティビティですぐに役立つようなラインナップを取り揃えています。
名古屋の大型アウトドアイベントで〈ikkaku mosaic〉さんにお会いし、以前UAでも取り扱わせていただいた〈KI-no〉とのコラボレーションによる富士山や山々をモチーフとしたオブジェの製作を依頼。
キャンプショップと言えば実用的なギアが置いてあるのが普通ですが、せっかく〈UA〉が展開するのだから、感性に響くアイテムも展開していきたいと思っています。
また、アクティビティをする方におすすめな軽くて丈夫なDCF素材を使用した〈wonton〉のミニウォレットに、〈koti〉と〈LOG〉と「the508」のロゴを入れた限定バージョンも製作しました。
〈LOG〉の定番商品であるステンレス製真空二重断熱構造の器「Teon bowl 370」に「the 508」のロゴを刻印したものや、〈TARPtoTARP〉で人気のグラスに各ブランドの頭文字と「the 508」のロゴをあしらった限定グラスも用意。
どれもここでしか買えないものなので、ぜひお越しいただき直接ご覧ください。
〈LOG〉×〈s.wood.works〉のPOP UP限定アイテム。
中島:セレクト中心のラインナップで展開していた中、ある時、上司から紹介されたテントのOEMメーカー様からオリジナルのテントを作れるというお話をいただきました。以前にも別のメーカー様に相談したことがありましたが2、3年待ちが当たり前な状況で諦めていたところもっと短期間でできてしまうと。それならばと共同開発のパートナーとして須山さんにお声がけさせていただきました。その後快諾いただき、テント作りのプロジェクトが始まりました。
テントの裾に施された〈Arkitent〉のロゴ。中島さんがこだわったテントのカラーリングも目を惹かれる。
〈koti〉さんと〈TARPtoTARP〉のエッセンスを融合させた〈Arkitent〉という新たなテントブランドとして、自然の中にいながらに日常と変わらない快適で洗練された空間を提供してきたいですね。
須山さんの理想を反映させた〈Arkitent〉のポールは、アルミを削り出して作成したこだわりのアイテム。
「the 508」のPOP UPで展示受注会もおこなう予定なので、多くの方に見ていただきたいです。
今回の取り組みをきっかけにアウトドア業界、山中湖を盛り上げていきたい。
中島:このPOP UPは11月末までの営業予定ですが、肝心のサウナ施設ができるのは2024年序盤の予定。つまりこのプロジェクトが本当の意味で動き始めるのは来年からなんです。せっかくこういった形でフィールドに近いところでユーザー様との繋がりの機会を持つことができたので、まずはPOP UPを定着させ、今回ご一緒しているみなさんとこの取り組みをもっと盛り上げていきたいです。
須山:僕にとっては〈LOG〉としてと〈CYCL.〉として2つの視点があるわけですが、まず〈LOG〉としてはモノだけではなく、アクティビティなどの“コト”の魅力を伝えていける拠点にしていけたらと思っています。〈koti〉さんをはじめとする僕らと関係しているたくさんのブランドさんに集まってもらって、複合的にアウトドアに関する“コト”を発信していきたいです。
〈CYCL.〉としては山中湖全体の活性化はもちろん、その取り組みを海外に向けても発信していくことで、このエリアが日本有数のアウトドアスポットとして認知してもらえるようになったら嬉しいですね。
INFORMATION
PROFILE

須山 友之
大手光学機器メーカーに勤務したのち、都内で自身が代表を務めるデザイン会社を設立。その後、趣味で始めたキャンプにのめり込み、2019年にキャンパーとキャンパーが繋がることを目的としたカフェ「TARPtoTARP」をスタート。

中島 小太郎
2002年ユナイテッドアローズ入社。セールスパーソンとして売場に立ち、その後PRへ異動。10年程前から始めたキャンプの趣味が高じて2021年UA社のアウトドアレーベル〈koti BEAUTY&YOUTH〉を立ち上げる。@koti_beautyandyouth