
ウツワ
2020.06.04 THU.
クリエイターたちのインスピレーションが生まれる場所。その暮らしぶりと #stayhome の過ごし方。
創作の力で喜びを提供するために日夜忙しく活動してきたクリエイターたちも、これまで経験したことのない時間を私たちと同じように過ごしました。では、このstay home期間で感性に優れたクリエイターたちはどう過ごし、何を感じたのか…。新しい暮らし方のヒントになる洗練されたライフスタイルを紹介しながら、どんなおうち時間を過ごしたのかをさまざまなジャンルの6名に聞きました。
Illustlation:Hisayuki Hiranuma
Text:Rei Kawahara
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デザイナー 石川俊介さん
1969年生まれ。2002年に〈マーカ〉をスタート。2009年春夏シーズンに〈マーカウェア〉を発表し2ラインでブランドを展開。服づくりにおける工程をすべて日本国内で行う。2019年秋冬よりサステナブルなファッションを目指すブランド〈テクスト〉をローンチした。
Q1.このstay home期間に新しく定着したおうち時間の過ごし方を教えてください。
新しく動画学習を始めました。有料の学習サイトと、YouTubeの学習系チャンネルを利用して、興味のある分野について気の向くまま学んでいます。最近学んだのは機械学習に関する初歩的な講座です。英語をどこまで理解できるかわかりませんが、次はマスタークラスに挑戦するつもりです。仕事で使っているiPad Proが大活躍したので、これからの“新しい暮らし方”にはかなりおすすめです。
Q2.おうち時間を充実させるお気に入りのスポットやアイテムはどこですか?
リラックスしたい気分の時は、ソファーに座ってレコードを聴いています。ソファーは建築家のシャルロット・ペリアンが東京でデザインしたもので、〈カッシーナ〉の「514 REFOLO」という現行品です。クッションのアレンジで使い方を変えられるところが気に入っています。この上で犬と一緒にごろ寝するのが最も快適な時間ですね。
ここ10年くらいほとんど音楽を聴かなくなっていたのですが、〈リン〉のプレーヤーと〈オクターブ〉のアンプを置きたくて、久しぶりに音楽を聴き始めました。ふくよかで、艶のある音を聞いていると、短い再生時間が終わる度に針の上げ下げをする行為ですら、贅沢に感じます。
Q3.次のコレクション開催が危ぶまれるなど、新型コロナウイルスがファッションシーンに与えた影響は大きいものでした。ただ一方で次なる展望を考える準備期間にもなったのではないでしょうか?
このパンデミックが我々に与えた1番大きな影響はコミュニケーションの変化だと思っています。コミュニケーションツールとしての洋服のあり方、ユーザーの方達とのコミュニケーションのとり方などをじっくりと考える機会になりました。その結果としてブランドのあり方、お店のあり方の新しい道が見えてきた気がしています。
Q4.そんな思考を巡らすために集中力を高めるアイテムや、インスピレーションソースになったものがあれば教えてください。
時間ができたので、読みたかった哲学に関する本を何冊かじっくりと読むことができました。ファッションの流れと哲学の流れの寄り添い方について考察して、自分なりの仮説の検証作業と、これからの表現を考える良いきっかけになりました。これからもこの分野に関して自分なりの学習を続けていきたいと思っています。
石川さんが「ヒトとモノとウツワ」に過去出演したページはこちら。
ファッションデザインにおけるサードウェーブ。「テクスト」を通して知る本当のサステナブル。
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ビューティライター AYANAさん
ビューティライターとして、コラムやエッセイの執筆やブランドカタログなどを手掛ける。また、化粧品開発の経験を生かし、アートやウェルネスの観点からも美容を分析。コスメティックブランド〈オサジ〉のメイクアップコレクションのディレクターも務めている。
Q1.このstay home期間で新しく定着したおうち時間の過ごし方を教えてください。
保育園休園中の息子と家に缶詰状態なので、運動不足解消のため1時間程ふたりで近所を散歩しています。知っているようで知らなかった近所の風景や、この季節ならではの空模様の変化などを眺めることが小さな楽しみになりました。夕焼け空はよく親子で写真におさめています。
Q2.おしゃれをして外に出掛けることがなかなかできなかったstay home期間中に、気分を上げるために行っていたことを教えてください。
近所の散歩に新しいスプリングコートをおろしたり、zoomでの打ち合わせにシャツで正装してみたり、こじんまりとファッションを楽しんでいました。あとは、炊事で剥げてしまいやすいこともあり、ネイルをよく変えていましたね。夏らしいカラーもいろいろ購入しました。
Q3.ノーメイクで過ごしているのに何だか肌が荒れがちなstay home 期間。そんな今だから試したい、肌力アップのスキンケア術やマスクをしていても映えるメイク術を教えてください。
普段化粧水はハンドプレス派ですが、マスクでガサガサしてしまった肌にはコットンプレスが効果的でした。保湿力の高いシャバシャバの化粧水をとにかくたっぷりとコットンにとり、軽く押し当てる。これを何度も繰り返した後にしっかりとクリームを塗ると、肌がしっとり潤います。日中のUVケアはマストなので、美容液発想のクッションタイプで肌荒れを防ぎつつ紫外線カットを。
UVクッションを効果的に使用することで、いつもより肌力をアップ。
メイクに関してはマスクを付けることが前提なので、ファンデは控えめにして肌のツヤを出すハイライトを使ったり、リップがマスクにつかないようにティッシュオフしながら、重ねて顔映りを楽しんでみるのはいかがでしょう。マスクで隠れてしまいますが、ランジェリーを感覚でひっそり楽しむのも一興です。反対にアイメイクは、カラーのアイラインのみ、などいつもより控えめにするとバランスが取れます。
AYANAさんが「ヒトとモノとウツワ」に過去出演したページはこちら。
#stayhomeの今だからこそ充実させたい、“おうち時間”を心地よく過ごす6のヒント。
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タレント、ソフトウェアエンジニア 池澤あやかさん
1991年 東京都出身。第6回東宝シンデレラオーディション審査員特別賞受賞。情報番組をはじめとするTV番組への出演やメディア媒体への寄稿を行う一方、フリーランスのソフトウェアエンジニアとしてアプリケーションの開発に携わる。
Q1.このstay home期間で新しく定着したおうち時間の過ごし方を教えてください。
気を抜くとすぐに運動不足に陥ってしまうので、近所へ散歩によく行くようになりました。家の近くが舞台になっている漫画を読んで、散歩しながら作中に出てきた場所をよく探しています(笑)。
Q2.おうち時間を充実させるお気に入りのスポットやアイテムはどこですか?
おうち時間が増えて、公私ともに自分のデスクの前で過ごす時間が圧倒的に長くなりました。わたしのデスクはめんどくさがりやに最適化されているので、有孔ボードに工具を掛けて、必要なモノにアクセスしやすくしています。
Q3.stay home期間で新しくおうちに導入した最新のガジェットがあれば教えてください。
家で炭酸水をつくれるガジェット「ソーダストリーム」を購入しました。フルーツジュースを炭酸水で割って飲むのが好きです。おいしいし、ペットボトルのゴミも減らせるので、かなりおすすめです。
Q4.この期間で人々とオンラインコンテンツの距離がグンと縮まりました。今後、ECショッピングをするときのポイントや、新しい視点や注意しておくべきことがあれば教えてください。
思考をリセットして、体をリラックスさせることができるリビングスペース。
オンラインショッピングをするときは大きさに注意です。みなさんはこんなヘマをしないと思いますが、サイズ感がわからないまま「Amazon」で泡立て器を頼んだら、業務用の機械にとりつける特大の泡立て器が届きました…。
池澤さんが「ヒトとモノとウツワ」に過去出演したページはこちら。
ギーク女子も納得、オンラインストアの賢い楽しみ方。
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アーティスト 島津冬樹さん
1987年生まれ。多摩美術大学卒業後、広告代理店を経てアーティストへ。2009年の大学生在学中、家にあった段ボールで間に合わせの財布をつくったのがきっかけで段ボール財布の制作を始める。 2018年、自身を追ったドキュメンタリー映画『旅するダンボール』(監督:岡島龍介 / 配給:ピクチャーズ・デプト)が公開。著書として『段ボールはたからもの 偶然のアップサイクル』(柏書房)、『段ボール財布の作り方』(ブティック社)がある。
Q1.このstay home期間で新しく定着したおうち時間の過ごし方を教えてください。
ワークショップの多くが中止になる中で、財布のつくり方を楽しんでもらうための動画制作や工程をまとめるなど今まで以上に“発信すること”を意識するようになりました。他にも新作を考えたり展示の構想を練ったりと、今後に向けての準備も着々と進めていました。プライベートでは、2月に第1子の息子が産まれ、何もかもが新鮮な生活がスタートしました。
Q2.おうち時間を充実させるお気に入りのスポットやアイテムはどこですか?
段ボールや飛行機、車のミニチュアやカメラなど、自分の好きなものが詰まったクローゼットです。最近、扉を外して工業用の透明なカーテンを付けました。おかげでいつでも中が見えるし、オレンジがいいアクセントになったと思います。何と言っても仕事道具でもあるキャリーケースがしまってあるので、前に立つたびにワクワクする場所になりました。
Q3.おうちで気軽に挑戦できるダンボールアイテムのつくり方を教えてください。
コインケースは材料も少なく、気軽に挑戦できるダンボールアイテムだと思います。簡単なのでぜひトライしてみてください。
段ボールコインケースのつくり方
〈Carton(カルトン)〉島津冬樹さんと、リサイクルと包材マークについて考える。
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フォトグラファー 松木宏祐さん
1983年生まれ。2009年より木寺紀雄氏に師事し、2012年に独立。コマーシャル撮影をはじめ、広告や雑誌などスチール、ムービーともに幅広い媒体で活躍中。
Q1.このstay home期間で新しく定着したおうち時間の過ごし方を教えてください。
自宅で家族と一緒に食事する時間が増えたので、ホットプレートを購入しました。息子とたこ焼きや焼肉をしたり、一緒に楽しみながら食事をしています。また、自転車を新しく購入して行動範囲が広がったので、これからいろいろなところに出掛けたいと思っています。
Q2.おうち時間を充実させるお気に入りのスポットやアイテムはどこですか?
お気に入りのスポットは、休みの日に昼間から息子とダラダラできる寝室です。絵本を読んだり、YouTubeを見たりとのんびり過ごしています。その間に奥さんには用事を済ませてもらったり、たまには息抜きをしてもらうなど、サポートできることはするようにしています。仕事が忙しいとこんなにじっくり家族と過ごせることはないので、息子と過ごす時間を大切にしたいと改めて感じました。
お気に入りの写真集は、マイケル・ノースラップの『Dream Away』、リー・フリードランダーの『Family』と『Maria』、ユルゲン・テラーの『Do You Know What I Mean 』の4冊。それぞれ、妻や子ども、孫などを自分だけの目線で切り取った魅力的な写真集です。ぼくも家族といる時間が増えたことで、外に何かを求めすぎるのではなく、見過ごしそうになる身の周りの日常を撮っていこうと改めて思わせてくれ、刺激をもらいました。ぼくもいつか自分の家族を撮りまとめた写真集を出したいと思っています。
Q3.stay home期間中でお子さんとの向き合い方に何か変化はありましたか?
ご飯を食べて、公園に行ったり、お風呂に入って、一緒に寝るだけでも幸せで、そんなのんびりした時間に、東京以外でゆったりと住むのもありなのかもしれないなと思っていました。また、夫婦共にフォトグラファーなので、息子が自然とカメラに興味を持つようになったのもうれしいですね。息子が今どんなことに興味があって、何を美しいと感じるのかを知ることができた貴重な時間でした。
06 / 06

デザイナー 森田えりかさん
2006年秋、姉の森田ありさと共に〈ラドロー〉を立ち上げる。「大人になってもどこか心躍るようなものを身に着けたい。そんな女性の心を満たすものづくり」をテーマに、ヘアアクセサリーをはじめ小物やバッグを手掛ける。
Q1.このstay home期間で新しく定着したおうち時間の過ごし方を教えてください。
元々水分は多く摂るように心掛けていましたが、この期間中は特に体に良い水を選び、心身共に代謝が良く、気持ちのいい生活をするようにしています。FIJI Waterから出たスポーツキャップはクルクルとキャップを回す手間がないので、水を飲む習慣を簡単にするのに大いに役立ちます。午前中はレモンを多くプラスして、酸味を加えて飲むのがお気に入りです。
Q2.おうち時間を充実させるお気に入りのスポットやアイテムはどこですか?
自宅のワーキングスペースには、〈ラドロー〉の1回目の展示会から装飾をお願いしている〈ル・ベスべ〉を。デスクの後ろの窓を大きく開けていると、晴れた日はもちろん雨の日も心地いいスペースになります。季節を感じる旬の花を眺めていると、良いデザインがひらめきやすくなります。
この期間にオンラインで購入した頭皮用マッサージ器。防水なのでシャンプーと一緒に頭皮に当てて、いつもより丁寧にケアしています。おかげで、デザイン作業や考えごとで凝り固まっていた頭がほぐれ、フェイスラインの浮腫も翌朝びっくりする程すっきり。これを実感したら、毎日続ける気になるのでおすすめです!
Q3.おしゃれをして外に出かけることがなかなかできなかったstay home期間中に、気分を上げるために行っていたことを教えてください。
〈ラドロー〉のトートバックを持ってスーパーと薬局へ。7月1日からビニール袋が有料化しますが、わたしの近所の薬局では既にスタートしていました。お気に入りのマイバック持参で買い物に行くと何だか気分が上がります。
Q4.次のコレクション開催が危ぶまれるなど、新型コロナウイルスがファッションシーンに与えた影響は大きいものでした。ただ一方で次なる展望を考える準備期間にもなったのではないでしょうか?
〈ラドロー〉は自社にアトリエチームがいるので、リモートワーク中でも次々とバトンを回すことができたので新しいサンプルがいくつも生まれました。中でもエプロンやクルーネックのスウェットは、実生活の経験を元に「HOME」を意識したデザインに挑戦しています。
これまではずっと女性が外で楽しんでいただける「心躍るアイテム」をコンセプトにつくってきましたが、今季からはルームウェアなどなど、家の中でも心躍る新しい提案がいろいろと進んでいます。
森田さんが「ヒトとモノとウツワ」に過去出演したページはこちら。
『united LOVE project 2018』 デザイナーの熱い想い、 直筆で伝えます!