
スーツに合わせる革靴の選び方|革靴の種類とそれぞれのスーツとのおすすめの合わせ方
革靴の種類ごとの特徴と、それぞれに合うスーツスタイリングをご紹介します。スーツに合わせる革靴、どれが正解か迷うことはありませんか?近年はビジネスウェアのカジュアル化が進み、スーツに合わせられる革靴の選択肢も広がっています。その分、どの着こなしにどの靴を合わせればよいか悩みがちに…。スーツと、さまざまなデザインの革靴の相性について、徹底的に解説します。
スーツに合わせられる革靴は幅広くなっている

職場でのドレスコードのカジュアル化が進む近年。スーツ自体も、ストレッチ性の高いコンフォートスーツや、今どきのビジカジスタイルに合わせて着られるものなど、多彩な仕立てのものが増えています。そんなスーツの多様化に合わせて、以前はビジネスでは紐靴一択だったビジネスシューズも、多彩なデザインのものを合わせられるように。着るスーツのテイストに合わせて、靴も柔軟に選ぶ時代となったのです。
【種類別】革靴のフォーマル度

靴選びでまず意識していただきたいのが、その靴の“フォーマル度”です。同じ黒でも、紐靴かローファーか、内羽根か外羽根か、穴飾りの有無など、構造やディテールでドレッシーさが変わります。特徴を正しく知り、スーツのデザインや着用シーンに合わせて最適な一足を選びましょう。以下、代表的なデザインをフォーマル寄りから順にご紹介します。
「ストレートチップ」は最もドレッシーな印象に


最もフォーマルな靴として挙げられるのが「ストレートチップ」。羽根(レースステイ)が、甲の部分と一体となり下方に切り込みがある「内羽根」と呼ばれる構造となっていて、さらに靴つま先部分に横一直線にラインが入っているのが特徴となります。入社式や総会などのフォーマルな場での、畏まったスーツスタイルにぴったりです。結婚式や告別式のような冠婚葬祭の場でも活用でき、社会人になったらまず手に入れるべき一足といえるでしょう。
「パンチドキャップトゥ」は正統派な装いに◎


「ストレートチップ」と同様に、内羽根の靴で、つま先を横断するラインがあるのが特徴ですが、ライン部分に穴飾り(パーフォレーション)があるデザインとなっているのが「パンチドキャップトゥ」。この穴飾りがあることで、「ストレートチップ」よりもおしゃれな印象が加わりカジュアルな印象となります。とはいえ、革靴のなかではドレッシーなデザインで、かっちりとしたスーツをタイドアップしたような着こなしにマッチ。シンプルな無地スーツでも、品格を損なわずにおしゃれな印象を打ち出すことができます。
「モンクストラップシューズ」はテーラードスーツと好相性


「モンクストラップシューズ」は紐ではなくストラップで留めるのが特徴。モンクとはヨーロッパの修道士のことで、彼らが愛用した尾錠留めの靴をベースにデザインされた靴と言われています。ストラップが1つの「シングルモンク」と、2つの「ダブルモンク」の仕様があり、品格とおしゃれ感を両立することができます。きちんとしたテーラードスーツにはもちろん、ノータイのようなちょっと物足りなくなりがちな着こなしにも足元でアクセントを加えることができます。
「プレーントゥ」はシーンを選ばない万能靴


「プレーントゥ」はその名の通り、トゥと呼ばれるつま先部分がプレーンで装飾がないデザインが特徴。また、羽根(レースステイ)が甲の部分と一体になっておらず、外に出たような「外羽根」と呼ばれるカジュアルシューズの構造となっています。シンプルがゆえに、スーツからデニム、さらには結婚式のようなフォーマルの装いにも合わせられる抜群の汎用性の高さが魅力です。
「タッセルローファー」はローファーの中で最もドレッシー


タッセルと呼ばれる房飾りがついた「タッセルローファー」は、ローファーの中でも最もドレッシーなデザインとされています。フォーマルさとローファーらしいリラックス感も合わせ持っているので、テーラードスーツをニットなどでドレスダウンした着こなしによく馴染みます。
「Uチップ」はビジカジスタイルに幅広く対応


つま先(トゥ)部分に、U字の縫い目の飾りを持つのがこちらの「Uチップ」。同じ外羽根タイプの紐靴である「プレーントゥ」に比べて、U字の縫い目が施されている分、カジュアルな印象が強まります。軽やかな仕立てのセットアップスーツにクルーネック(丸首)のニットやTシャツと合わせるような、今どきのビジカジスタイルと非常に相性が良い靴です。
「ビットローファー」はおしゃれ感を簡単に演出


甲部分に金具の飾りが付くのが「ビットローファー」の特徴。シンプルなコインローファーよりエレガントな印象を与えてくれて、いつものスーツを手軽におしゃれに演出することができます。ダークカラーのシャツをインナーに合わせたようなカジュアルパーティスタイルともマッチします。
「コインローファー」はイージースーツに最適


革靴のなかでも最もカジュアルなデザインとされるのが「コインローファー」です。かつてはスーツに合わせるのはマナー違反とされていましたが、近年はノータイの装いが一般化し、軽やかな仕立ての「イージースーツ」も普及したことで、スーツと組み合わせる場面が増えました。とはいえ、ウールのクラシックなテーラードスーツにネクタイを締めたフォーマル寄りの装いに合わせるのはミスマッチ。かっちりしたスーツコーディネートとカジュアルな足元が合わず、ちぐはぐな印象になりやすいので注意しましょう。
「ブラウン」の革靴は足元が引き締るトーンを選ぶ

黒靴ではなくブラウン系の革靴を合わせるときは、靴の色のトーンに注意。ダークグレーやダークネイビーに、ライトブラウンの革靴を合わせると、足元だけ悪目立ちしてしまうことも…。スーツよりも濃いカラートーンのブラウンシューズを選べば、足元のみ悪目立ちせずに、黒靴にはないおしゃれな印象も取り入れることができます。
正しい一足で、スーツの装いを完成に
おしゃれは足元からと言うように、いくらスーツのコーディネートを工夫しても、革靴選びを間違えればどこかチグハグな装いに。そうならないためにも、革靴の種類とその特徴やフォーマル度を知りスーツの着こなし合った正しい一足を選びましょう。

橋本慎司
フリーエディター
1989年生まれ、沖縄県出身。ドレスファッション雑誌『MEN’S EX』の編集部を経たのちフリーランスとして独立。ビジネススーツやオン・オフのジャケットスタイルなどを紹介する誌面やWEB記事を手がける。1950〜60年代米国のアイビーファッションを好み、学生時代よりスーツをビスポークオーダーし愛用する。