
ブレザーとジャケットの違いは?ブレザーの選び方と、おしゃれに着こなすコツ
ブレザーの種類や選び方、オン/オフそれぞれの着こなしのコツをご紹介します。メンズファッションの“基本”であり、永遠の定番といわれるブレザー。大人になってワードローブを揃えるときに「まずは紺のブレザーを買いなさい」と言われた経験がある男性も多いのではないでしょうか。
「ブレザー」とは?

19世紀の英国で、軍艦「ブレザー号」の乗組員の制服や、ケンブリッジ大学ボート部の上着を源流として広まったと言われているブレザー。のちにアメリカにて、アイビーリーグの学生に愛用されるようになり、トラディショナルな服装の定番服とされるようになりました。制服を由来にもつため、きちんと感がありつつ、スポーティな軽快さも併せ持つのが魅力。
フォーマル寄りからカジュアルまで幅広く対応できる汎用性こそ、ブレザーが“基本服”と呼ばれる理由です。
「ブレザー」と「ジャケット」の違いは?
「ジャケット」は短丈の前開き上着の総称で、ブレザーはそのジャケットの一種です。大きな違いは、ブレザーが単体で着る前提の上着であること。上下同素材の“スーツの上着”とは別物です。


一般的には、メタルボタン(ゴールド/シルバー)を配したものをブレザーと呼ぶことが多く、ボタンの存在感によってカジュアルパンツとも好相性になります。結果、ビジネスのジャケパンから休日まで一着で対応しやすくなります。
ブレザーの種類と選び方
金ボタンのブレザー

ブレザーといっても、形/ボタン/色によってその種類はさまざま。最もベーシックなデザインは「金ボタンのネイビーシングルブレザー」で、まず揃えたい王道の一着です。よりフォーマルで貫禄を出したいなら、「金ボタンのネイビー・ダブルブレスト」を選ぶのもおすすめです。
シルバーボタンのブレザー

金ボタンに比べて、「シルバーボタンのブレザー」はよりスタイリッシュな印象に。ボタン自体も、フラットなデザインのものになれば、さらにモダンな見え方になります。
4ボタンのダブルブレザー

近年は「4ボタンのダブルブレザー」にも人気があります。定番の6ボタンに比べて軽快で、スポーティに着こなせるのが特徴です。写真のようにネイビー以外の色・素材で仕立てたモデルも増えており、ビジカジの装いにも取り入れやすくなっています。
ブレザーをビジネスで着こなすには?

ビジネスシーンで最も取り入れやすいのは、やはり「紺ブレ」。グレーのウールスラックスに革靴を合わせれば、上品なジャケパンが完成します。
学生風に見せないようにするには、落ち着いた配色のレジメンタルや小紋のネクタイ、上質なレザーシューズ(内羽根やタッセルローファーなど)、チーフといった“大人見え”する小物を要所に効かせることがコツとなります。

よりフォーマルな印象を打ち出したい日は、「6ボタンのダブルブレスト」がおすすめ。タイドアップ時は幾何学柄やペイズリーなど大人らしいネクタイと好相性です。ダブルはVゾーンが狭いため、存在感のある柄のタイでも悪目立ちせず、落ち着いた印象で取り入れられます。

ブレザーはカジュアルアイテムとも好相性。チノパンを合わせればスラックスよりも軽やかになり、肩の力を抜いた装いがつくれます。タイドアップだけでなく、インナーニットやポロシャツを取り入れた、今どきのノータイのビジカジスタイルにもぴったりです。
休日のきれいめカジュアルにも重宝

パンツやインナーでうまくドレスダウンすれば、ブレザーは休日の上品カジュアルにも活躍します。チノパンや端正なデニムパンツに、鮮やかな色味のニットを合わせれば、肩の力は抜けつつもきちんと感はキープ。ちょっとしたおしゃれなレストランにも対応できる装いに仕上がります。

さらに抜け感を出したいときは、“ネイビー以外の色”にも挑戦を。写真の「ブラウンの4ボタンダブルブレザー」は、ボタンを留めずに軽く羽織るとこなれた表情になります。ビジネス感を抑えて、都会的でリラックスしたカジュアルなジャケットスタイルを楽しめます。
ブレザーがあればあらゆる着こなしに対応
ブレザーは「きちんと」と「軽快」を同時にかなえる一着です。単体前提のジャケットだからこそ、パンツやタイ、靴の格を調整するだけでビジネスから休日まで無理なく対応できます。まずは「金ボタンのネイビー」を基本の一着として、シーンに応じてダブルやシルバーボタン、カラー違いへ広げていけば着回しの幅は一気に広がります。ブレザーを味方につけるだけで、毎日の装いがぐっと頼もしくなるはずです。

橋本慎司
フリーエディター
1989年生まれ、沖縄県出身。ドレスファッション雑誌『MEN’S EX』の編集部を経たのちフリーランスとして独立。ビジネススーツやオン・オフのジャケットスタイルなどを紹介する誌面やWEB記事を手がける。1950〜60年代米国のアイビーファッションを好み、学生時代よりスーツをビスポークオーダーし愛用する。