
スーツに合わせる靴下の選び方|シーンごとの合わせ方のポイントと注意点
スーツのときに履く靴下について、TPOに沿った選び方と合わせ方を、フォーマル/ビジカジ/オフそれぞれで解説します。“微差こそ大差”。スーツの装いにおける靴下は、まさにその言葉を体現する存在です。つい後回しにしがちなアイテムですが、素材/長さ/色柄次第で、相応しい着用シーンとスーツへの合わせ方が変わります。見落とされがちな足元の身嗜みを、きちんと整えましょう。
靴下選びにもTPOが必要


靴下なんてどれも同じ、そう思っている方は注意が必要です。靴下は素材やゲージ、編み地、丈によって性格が分かれ、シャツや靴と同様に
・ドレスソックス
・カジュアルソックス
の2種類に大別できます。装いやシーンのTPOに合わせて、最適な靴下を選ぶことで細部まで配慮が行き届いたきちんとした身嗜みへと仕上がるのです。
スーツのときの靴下選びのマナー違反とは?

靴下選びでTPOから逸脱し、マナー違反の装いになりがちなのが、ビジネススーツに白靴下を合わせるコーディネートです。白靴下はスポーティな印象が強く、フォーマルさが求められるビジネスシーンではミスマッチな印象に。
着崩したビジカジの装いであっても、仕事の場ではブラック/ネイビー/グレーなど落ち着いたダークカラーの靴下を基本とするように心がけましょう。
スーツのフォーマル度に合わせて選ぶ


スーツに合わせる靴下選びの原則は、“装いのフォーマル度に合わせる”こと。
ウールのテーラードスーツに紐靴を合わせたドレッシーな装いには、薄手で目の詰まった編み地・落ち着いた色・長め丈が基本の「ドレスソックス」を。
一方、裏地を省いたイージーセットアップにスニーカーなどでラフに着崩す日は、コットン主体でやや厚手の「カジュアルソックス」が好相性です。
この使い分けを基準にしつつ、フォーマル~カジュアル各シーンの装いごとの靴下の合わせ方を解説します。
「フォーマルな装い」におすすめの靴下


ドレッシーなウール生地で仕立てたテーラードスーツをタイドアップし、レザーの紐靴を合わせるようなビジネスの正装には、「ドレスソックス」の代表格である、「ウールのロングホーズソックス」が最適です。薄手のウール生地がフォーマルな雰囲気を醸し出し、膝下まで長さのあるロングホーズタイプは、座ったときにもパンツから肌が覗くのを防いでくれます。
「ビジカジの装い」におすすめの靴下


裏地を省いた軽やかなイージーセットアップをノータイで着こなす今どきのビジカジには、「コットンリブソックス」などの「カジュアルソックス」が好相性です。ネクタイを締めるビジネススーツよりもややカジュアルな装いだからこそ、厚すぎないコットンを選べば、リラックス感ときちんと感のバランスがとれます。さらに縦畝のあるリブは足元をすっきり見せ、ほどよくドレッシーな印象も添えてくれます。
「オフでのスーツの装い」におすすめの靴下


「イージーセットアップ」をTシャツやスニーカーで着崩した、休日の上品カジュアルスタイルには、厚手のコットン生地の「カジュアルソックス」がマッチ。靴下の色もダークカラーではなく、白や明るい色のものを選ぶことで、足元が軽やかになりスーツを程よくカジュアルダウンさせることができます。
靴下でカラーや柄を取り入れる方法
靴下は、ブラックやネイビー、グレーといった無地のダークカラーが基本となりますが、スーツの着こなしによっては、「カラーソックス」や「柄ソックス」を取り入れるのも効果的です。
ブラウンの靴下

例えばビジネスでのフォーマルなスーツスタイルであっても、ブラウンのスーツに茶靴を合わせた場合は、靴下もブラウンにすると着こなしの統一感が生まれます。その際に、靴下の色のトーンは、スーツか靴のどちらかに近づけるとより「カラーソックス」を悪目立ちさせずに取り入れることができます。

こちらはグレーのスーツに、ベージュのローファーを合わせて足元をカジュアルダウンした着こなし。靴だけでなく「カラーソックス」のアクセントも加えれば、より垢抜けたビジカジの装いに。靴下の色は靴に合わせて、ベージュと同系色のブラウン系で揃えれば、うまく馴染ませて取り入れることができます。
ドット柄の靴下


華やかな装いを楽しむパーティシーンでは、「ドット柄ソックス」が活躍します。ドット柄自体がパーティなどのシーンで取り入れられることの多い柄なので、そのようなハレの場の装いとは好相性です。
細かい柄の靴下


無地のスーツの着こなしをしてみてどこかちょっと物足りない…。そんなときには「バーズアイ柄」のような細かい柄の靴下を取り入れてみましょう。遠目は無地に見えるので上品さを保ちつつ、さりげなくおしゃれな印象を醸し出してくれます。
大柄の靴下


コーデュロイやコットン、ツイードのようなカジュアルな生地で仕立てられたスーツには、「大柄ソックス」を合わせるコーディネートもおすすめ。足元で遊びを効かせることで、スーツのカジュアルな着こなしを引き立たせることができます。
見落とされがちだが、おしゃれは足元から
見落とされがちな靴下選びですが、実は気を付けるべきポイントがたくさん。「ドレスソックス」と「カジュアルソックス」の違いを知り、TPOやスーツの着方に合わせて最適なものを選びましょう。着るスーツに合う一本を選ぶだけで、グッと洗練された装いへと仕上がります。

橋本慎司
フリーエディター
1989年生まれ、沖縄県出身。ドレスファッション雑誌『MEN’S EX』の編集部を経たのちフリーランスとして独立。ビジネススーツやオン・オフのジャケットスタイルなどを紹介する誌面やWEB記事を手がける。1950〜60年代米国のアイビーファッションを好み、学生時代よりスーツをビスポークオーダーし愛用する。