スーツの襟の種類と違いは?それぞれの与える印象と選び方のポイント・着こなしのコツ
スーツの襟型について解説します。一見デザインが変わらないように見えるスーツですが、そのなかでも印象を大きく左右するのが「襟(ラペル)」の形です。顔まわりに近いパーツだけに、形や幅が少し変わるだけで、華やかな印象にも端正な印象にも、雰囲気はガラッと変化します。襟の知識を深め、着用シーンと「どう見せたいか」に合わせて選べるようになると、スーツスタイルはもっと洗練されます。襟の種類と特徴、襟ごとのおすすめシーン、そしておしゃれな使い分けまで、わかりやすく紹介します。
襟はスーツにとっての顔
襟(ラペル)はVゾーンの輪郭をつくり、スーツ全体の“雰囲気”を決めるパーツです。スーツの“顔”ともいわれ、テーラーやブランドなど作り手の個性が最も表れやすい部位のひとつ。だからこそ、着こなしをシャープに見せたいのか、クラシックに寄せたいのか、華やかにしたいのか、落ち着いて見せたいのか。狙う印象に合わせて襟型を選ぶことで、同じ色柄のスーツでも見え方ががらりと変わります。
襟を構成するパーツとは?
左:ラペル(下襟) 右:カラー(上襟)
襟まわりで覚えておきたいのは、上襟と下襟(ラペル)です。 スーツのラベルとは、ジャケットの下襟部分のことで、この大きさが変わることでスーツの印象が変わる重要な部分です。
ゴージライン
そしてもう一つが、カラー(上襟)とラペル(下襟)の切り替え線である「ゴージライン」。この位置もスーツの印象を左右する重要なポイントです。
ゴージラインが高めだとモダンでスマートに、低めだとクラシックで落ち着いた雰囲気になりやすい傾向があります。
スーツの襟は「幅」と「ライン」で顔つきが決まる、と捉えると理解しやすいでしょう。
襟(ラペル)の太さも印象を左右
ワイドラペルのスーツ
ナローラペルのスーツ
ラペルの幅が広いワイドラペルは、クラシックで落ち着いた印象に見えやすいのが特徴。貫禄を出したい方や、体格がしっかりしている方、顔まわりのバランスを整えたい方にもおすすめです。
一方、細身のナローラペルはモダンでシャープな印象に。若者向けのスーツや、ファッション性の高いモード系のスーツでよく見られる仕様です。
最もベーシックな「ノッチドラペル」
スーツはラペルの“幅”だけでなく、襟型そのものにも種類があり、印象や向くシーンが変わってきます。
まず最もベーシックなのが「ノッチドラペル」。ノッチとは英語で切れ込みを意味し、スーツでは上襟と下襟の境目にある切れ込み(ノッチ)を指します。襟先が切り欠きのように見える形で、主張が強すぎず端正にまとまるのが魅力。
初対面の商談や社外の挨拶など、“外さない”装いが求められる場に向いています。迷ったらまずノッチドラペル。いちばん実用的で、着用シーンを選ばない襟型です。
華やかでドレッシーな「ピークドラペル」
襟先が上向きに尖ったデザインで、視線が上に集まりやすく華やかな印象になるのが「ピークドラペル」です。ダブルブレストスーツに採用されることが多く、フォーマル度が高い襟型としても知られます。
式典やパーティ寄りの場、いつものスーツを少し格上げしたい日に効果的。
一方でビジネスでは主張が強く見える場合もあるので、職場や会う相手の雰囲気に合わせて選ぶのが安心です。
近年では「ノーカラー」の人気も拡大中
ラペルがない襟型で、カーディガンのように軽快に着られる「ノーカラー」のスーツにも注目です。もともとはレディースで人気の仕様でしたが、近年はメンズでも見かける機会が急増中。きちんと見せるスーツというより、ビジカジや休日のきれいめカジュアルで「抜け感」をつくりたいときに有効です。ネクタイ前提ではなく、ニットやカットソーで首元をすっきりさせると、ノーカラーらしい軽快さを活かしながら着こなしがまとまります。
襟を見極めればスーツはもっと“狙って”着られる
スーツの襟(ラペル)は、単なるデザインの違いではなく、相手に伝わる印象をコントロールできるポイントです。ノッチなら端正に、ピークなら華やかに、幅やゴージラインのバランスでモダンにもクラシックにも寄せられます。つまり襟型を理解することで、自分の見せ方をより上手に演出できるようになるのです。一見デザインの違いが少ないスーツだからこそ、この“微差”が装いの完成度を大きく左右します。
橋本慎司
フリーエディター
1989年生まれ、沖縄県出身。ドレスファッション雑誌『MEN’S EX』の編集部を経たのちフリーランスとして独立。ビジネススーツやオン・オフのジャケットスタイルなどを紹介する誌面やWEB記事を手がける。1950〜60年代米国のアイビーファッションを好み、学生時代よりスーツをビスポークオーダーし愛用する。