<ナイキ> ダンク ロー レトロ
カルチャーと結びつくデザイン
普遍なカラーは定番ではない。
新鮮な気持ちで履きたい「ダンク」
ナイキの「ダンク」は、“BE TRUE TO YOUR SCHOOL(母校に忠誠を尽くせ)”というフレーズで、NCAAバスケットボールに参加する名門大学のチームカラーを落とし込んだコートシューズとして誕生しました。そんな背景もあり、90年代の僕の認識では、「ダンク」はスクールカラーをまとった、カラフルなイメージ。こういったシンプルな白黒の配色と出会ったのは、2000年代に入ってからのこと。この頃になると、ファッションと合わせやすいカラーも多く発売されていて、初めて白黒の「ダンク」を所有しました。オリジナルカラーにありそうでない、新しい印象だったんです。

一方で、今回取り上げたカラーリングは、2021年にリリースされて「パンダ」の愛称で親しまれました。スニーカーブームの象徴として認識する方も多いのではないでしょうか。ただ、このカラーが定期的にリリースされるようになったのは、ここ数年のこと。昔からの定番ではないし、1985年当時のカレッジカラーとも違う。だからこそ普遍的なモデルと捉えずに、特別な心持ちで履けたらいいなと。

1985年に「ダンク」が誕生して今年で40周年。世の中的には、2000年代のランニングシューズがトレンドの中、80年代のコートシューズが改めて注目されるのではないかと見ています。僕にとって、「ダンク」はどうしても、ヴィンテージカルチャーの文脈として見てしまう。しかし、その感覚を取り払って、楽しんでみようと思っています。


小澤 匡行
1978年生まれ、千葉県出身。大学在学中に1年間のアメリカ留学を経たのちに編集、ライター業をスタート。著作に「東京スニーカー史」(立東舎)、「1995年のエア マックス」(中央公論新社)など。