ノルダ|001

走る前に、ファッションとして直感的に気になったブランド

トレイルシューズの新しい選択肢
街にも馴染む<ノルダ>の存在感

<ノルダ>というカナダのブランドを初めて知ったのは、たしか海外のトレイルランナーのSNSでした。2021年にスタートしたばかりですが、デビュー作として登場したこの「001」は、いわゆるフラッグシップモデルです。リリースされた頃はちょうど、コロナ禍をきっかけとするアウトドア人気の高まりもあって、トレイルシューズの選択肢が増えてきた時期でもありました。カラフルなデザインが多かったジャンルに、自然に溶け込むようなカラーが主流になった。中でも<ノルダ>は、都会でも違和感のないデザインの余白の中に、アウトドアの機能が凝縮されているセンスに可能性を感じました。

FUG.

<ノルダ>の個性ともいえるのが、アッパーに使われている「ダイニーマ」。とにかく軽くて丈夫で、100マイルを走るようなトレイルランでも耐える素材です。2〜3回でシューズの限界が来ることも多い過酷なトレイルランニングのシーンで、この素材選びはとても理にかなっているなと。

FUG.

ビブラムソールやリフレクターなど、ディテールの取り入れ方もセンスがいいし、派手なアウトドアカラーじゃない、街履きに落とし込めるカラーパレットにも惹かれました。アスリートが信頼できるスペックがありながら、日常のファッションに取り入れやすいバランス感覚を持っている。まだ歴史が浅いブランドですが、だからこその革新性や技術力で勝負しているところが、今の時代にちゃんと響いている気がします。

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小澤 匡行
1978年生まれ、千葉県出身。大学在学中に1年間のアメリカ留学を経たのちに編集、ライター業をスタート。著作に「東京スニーカー史」(立東舎)、「1995年のエア マックス」(中央公論新社)など。

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