スペルガ|2750 クラシック

アイビーリーガーが愛した、背伸びできるローテクシューズ

スニーカーカルチャーとは違う文脈
クリーンな佇まいを今っぽく楽しむ

昔、アイビールックを勉強していた時に、足元の定番として名前を知った<スペルガ>。当時のアメリカにはまだ、<ナイキ>のようなスポーツブランドはありませんでした。<トップサイダー>や<ケッズ>、そしてこの「2750 クラシック」のようなイタリア発のキャンバススニーカーが、アイビーリーガーの選択肢。クリーンで素朴なデザインが、伝統を重んじるスタイルとも相性がよかったのでしょう。

FUG.

アメリカントラッドに興味を持つ中で、値段の張る高級なレザーシューズを履いている時と同じように、この「2750 クラシック」は、スニーカーでありながら背伸びができる感覚がありました。インコテックスのような端正なスラックスに合わせて、それまで僕が育ってきたストリートカルチャーとは違うスタイルを探していた頃の、思い出深いスニーカーです。

FUG.

連載のトップページに並ぶサムネイルを見てもらうと分かるのですが、こういう上品な靴が、ポップなデザインの中に並ぶミックス感っていいですよね。今だったら、ローテクのスケートシューズのような感覚で、カジュアルに履いてみるのもありかと。これまで<スペルガ>を手にしたことがないと敬遠する人も少なくないと思いますが、ファッションの歴史にとらわれ過ぎず、自分らしい履きこなしを考えるのも、今っぽくていいなと思います。

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小澤 匡行
1978年生まれ、千葉県出身。大学在学中に1年間のアメリカ留学を経たのちに編集、ライター業をスタート。著作に「東京スニーカー史」(立東舎)、「1995年のエア マックス」(中央公論新社)など。

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