New Balance|M996 GTX
<New Balance>では数少ない、細身がウリのスニーカーです。
スニーカーブームが落ち着くと履きたくなる
革靴感覚のクラシック
<New Balance>の「996」は、ブランドの中でもクラシックな魅力を残すモデルの一つ。1988年に900番台の三代目としてデビューしました。35周年を迎えた2023年には記念イベントが開催され、「996」を語るトークショーにも登壇させていただいた思い入れのある品番です。90年代はアメカジの足元に選ばれたり、東海岸のヒップホップスタイルでは「576」とともに愛されるなど、さまざまなカルチャーに取り入れられたシューズ、というのが僕のイメージ。
FUG.
2000年代に入ると、ピッティウオモの会場などでセットアップの足元に合わせる来場者を見かけるようになって、再びブームになりました。「996」は他の<New Balance>のクラシックモデルと比べて、木型が細くてシャープ。当時アメリカのトラッドやワークスタイルが盛り上がっていたイタリアでは、革靴感覚で履けるスニーカーとして好まれたのだと思います。前述のイベント時でも話したんですが、僕はスニーカー熱が落ち着いたタイミング、つまり革靴の気分が高まった時に「996」が履きたくなります。矛盾する言い方かもしれませんが、それが魅力ではないかと。
FUG.
そんな「996」にGORE-TEXが搭載されました。以前はこうした防水透湿素材を内側に貼ると厚みが出てしまい、シルエットが野暮ったくなりがちでしたが、圧着の技術も上がって、表記がなければ気づかないほど違和感がなくなっています。つま先のメッシュまで防水なので、雨天に履く革靴、みたいな感覚で選べたらいいですね。雨の日にスーツやセットアップと合わせてもよさそうです。
コーディネートにおすすめのアイテム
▶996と合わせたいスーツ&セットアップ
小澤 匡行
1978年生まれ、千葉県出身。大学在学中に1年間のアメリカ留学を経たのちに編集、ライター業をスタート。著作に「東京スニーカー史」(立東舎)、「1995年のエア マックス」(中央公論新社)など。