知ってほしいブランドについて
ファッションライターが語る連載コラム

キャプテンサンシャイン|編集力が光る、古くて新しい上質ヴィンテージ

    知ってほしいブランドについてファッションライターが語る連載コラム

    2024.08.30

    キャプテンサンシャイン|編集力が光る、古くて新しい上質ヴィンテージ

    文:いくら直幸

    上質を知る大人をはじめ、若い世代にもファンを抱える<キャプテンサンシャイン(KAPTAIN SUNSHINE)>。ヴィンテージをモチーフにするブランドは数あれど、目の肥えた古着フリークからも高く評価され、熱心な洋服好きに選ばれているのには、こんな理由があります。

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    人気雑誌のエディターから独学で転身

    <キャプテンサンシャイン>を知るうえで、何より重要なのはディレクターである児島晋輔氏の存在です。キャリア20年を超えるベテランではありますが、学校などで専門的に服飾を学んだ経験はなく、元々は編集プロダクションに勤め、いわゆる裏原宿カルチャーをメインに扱う男性ストリートファッション誌のエディターでした。

    転機は2002年。同僚が社内で立ち上げたブランド、ウェイスト トゥワイスに参画したことからアパレルデザイナーの道を歩み始めます。その後、洋服作りに専念するためブランドを携えて相棒とともに独立。やがて雑誌にも頻繁に紹介されるようになり、自身が取り上げられる機会も増え、若い世代を中心に知名度を高めていきました。それと並行して大手セレクトショップの商品企画を手掛けたり、バイイングにも携わったりとクライアントワークでも実績を積みます。そしてウェイスト トゥワイスでの10年間の活動を経て、'13年に<キャプテンサンシャイン>をスタートさせました。

    古いハンティングウェアに着想を得て、2022年に発売→即完売となった「ポーテージジャケット」を、コットンナイロン素材で復刻したBEAUTY&YOUTHの別注品。

    既に多くのファッション好きから支持を得ていた児島氏の新ブランドとあって注目度は高く、出航は順風満帆、デビューから瞬く間に人気を博します。その名が示すとおり、当初のキーアイテムは水兵や船乗りといった海の男の凛々しくタフなユニフォームに感化されたプロダクト。これに加えて、一切の無駄がなく、明確な目的をもったディテールの集合体であるフィールドウェアからも強く影響されたコレクションを提案。それらを根幹に据えたまま、現在ではセットアップスーツやドレスシャツなど、より世界観を拡大させたラインナップとなっています。

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    ヴィンテージと現代性の絶妙バランス

    デザインの源泉となっているのは、アメリカやイギリスをはじめとするヴィンテージウェアです。児島氏はミリタリーからワーク、スポーツ&アウトドアまで古きよきカジュアル服に造詣が深く、さらにはトラディショナルやアイビースタイルにも精通。失われつつある贅沢で丁寧な仕立てや、当時ならではの創意工夫が見られるクラシックなメンズクローズを敬愛し、ライフワークとして探究を続けながらさまざまなインスピレーションを受けています。

    とはいえ、その佇まいや醸し出す雰囲気を大切にするものの、忠実再現には執着せず、パーソナルな感性と現代の感覚を絶妙なバランスで織り交ぜてブラッシュアップ。また長く販売している定番アイテムも、自らの気分や時流の空気感を吸い込み、程よくトレンド性も汲み取って、素材やディテール、シルエットなどをマイナーチェンジさせているのが特徴です。

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    素晴らしい生地と、精緻でタフな縫製

    そしてプロダクトの魅力を一段と高めているのが、極上のマテリアルや非常に手の込んだ製法を用いたオリジナルファブリックです。潤沢な資金をもつビッグカンパニーとは違って小規模での生地開発はハードルの高いものですが、それを可能にしている秘密はブランドの成り立ちに隠されています。

    そもそも<キャプテンサンシャイン>は、業界では名の知れたマーチャント(生地問屋)であるクリップクロップ社の全面バックアップで誕生した経緯があり、同じく上質なファブリックに定評のあるオーラリーも以前はクリップクロップに属していました。現在は別会社として独り立ちしているものの密接な関係は健在。常日頃から多種多様な素材に触れられる環境にあり、最新情報をイチ早く入手でき、その道のエキスパートと近く深いコミュニケーションを図れることをアドバンテージに素晴らしいファブリックを実現するとともに、ハイクオリティな生地に対する抑えめなプライスを叶えているのです。

    高級超長綿のスビンコットンにヘンプ素材を混紡したインディゴ染めの糸を、旧式シャトル織機で織り上げた「ワークシャツ」は、麻特有のプリミティブなネップが持ち味。

    併せて、自慢のファブリックを最高の逸品へと仕上げているのが、国内の腕利きファクトリーによる見事な縫製です。世界に誇る日本の職人の高度な技術を駆使し、手間暇を惜しむことなく細部までこだわり抜かれたそれは、実に精緻で堅牢。気を使わずガシガシとヘビーユースでき、着込むほどに味わいを増して末永く愛せるデイリーウェアとなっています。

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    上等なのに肩肘張らないワードローブ

    また国内外を飛び回る児島氏のライフスタイルを投影し、ブランドでは “ 旅へと連れ出したくなる一着 ” をコンセプトに掲げています。たとえばシワになりにくかったり、シワすらも表情として楽しめたり、手軽に洗って天日干しできるといった配慮がなされており、それも先のとおり高品質な生地と丈夫な縫製があってこそ。消費者庁が定めるルールに則り、洗濯表示ではドライクリーニング指定のアイテムもありますが、神経質にならず、気兼ねなく洗って干してラフに付き合ってほしいというのが<キャプテンサンシャイン>の想いなのです。ただし、その点はあくまで自己責任ということで。

    超高密度のコットンサテンを使った「テイクイージーカーゴパンツ」。ハイエンドなフィンクス綿がもたらす上品な光沢と肌触り、洗い仕上げによるフェイド感を楽しめる。

    題材は、自身が愛して止まないオーセンティックなワードローブ。それを徹底的に考察したうえで、ただ古いだけではない今また新鮮に映るデザイン&ディテール、機能性に優れた仕様を抽出し、取捨選択やミックス、新たなマテリアルなどを選定して、最良の工場で一着を作り上げる。

    そうしたプロセスは、特集のテーマに沿って取材をしたり、最適なスタッフに依頼して撮影をするなど記事の素材を揃えて、一冊を構成する雑誌編集にも通じる作業であり、まさしくエディター出身である児島氏らしいアプローチ。さらに、人々を惹きつけるカタチへとまとめ上げる巧みなスキルと気の利いたセンスも持ち合わせているところに、<キャプテンサンシャイン>が眩しく光り輝く理由があるのです。

    ( Winter Profile )

    ファッションライター

    いくら直幸

    人気アパレルメーカーのPRを経て、1990~2000年代に絶大な影響力を誇ったストリートファッション誌『Boon』の編集者に。現在はメンズ雑誌&ウェブマガジンをはじめ、有名ブランドや大手セレクトショップのオウンドメディアにも寄稿。近年はYouTube番組への出演、テレビ番組のコーディネート対決コーナーで審査員を務めるなど活動の幅を広げている。

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