
マッキントッシュ|200年間ずっと人々を魅了して止まない最高峰コート
2025.01.31
知ってほしいブランドについてファッションライターが語る連載コラム

2026.10.22
ワークにアウトドア、ミリタリーをベースにしたスタイリッシュなウェアが人気の<HYKE(ハイク)>。なかでもトレンチコートは、ブランドを象徴するアイテムです。ベーシックでありながら、ひと味違う“らしさ”にあふれるのが<ハイク>の持ち味。その魅力を、ブランドの歴史を紐解きながら解説します。
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<HYKE(ハイク)>は、吉原秀明氏と大出由紀子氏、2人のデザイナーによって2013年にスタートしたファッションブランド。両氏は仕事のパートナーであるとともに夫婦であり、ブランド名は家族のイニシャルから取られました。
ブランドのルーツは、1997年に東京・代官山にオープンした古着店<BOWLES(ボウルズ)>。吉原氏は当時について、自身が見つけた愛着のある古着を買っていただく喜びがある反面、売ってしまうのがさみしくもあった旨を述べています。
そこで2人は、1998年にファッションブランド<green(グリーン)>を設立。ヴィンテージへの造詣を活かして、自身らが理想とする服づくりに乗り出します。コンセプトに「Functionality + Beauty(機能性と美)」を掲げたこのブランドは、モッズコートやデニムなど多くのヒット作を生み出しました。
いわゆる1st型のデニムジャケット。旧式シャトル織機で織られた14ozのセルビッジデニムは、1950年代の無骨なヴィンテージデニムの表情を再現したもの。ニュアンス豊かな、独特のタテ落ちが楽しめます。
しかし人気絶頂だった2009年に吉原氏と大出氏は、育児に専念するべくブランドを休止する決断をします。そして2013年、活動再開とともに満を持して立ち上げたのが、<ハイク>だったのです。
新たに掲げたコンセプトは「Heritage and Evolution」。服飾の歴史、遺産を自らの感性で独自に進化させる––––ここには、そんな想いが込められているといいます。
ワーク、ミリタリー、アウトドアウェアなどの機能的な服に着想した服づくりを行う点は<グリーン>時代と共通しますが、かつては設けていた毎期のコレクションテーマを廃止。インスピレーションソースに基づく、より自由度の高いクリエイションにシフトしたのは小さくない変化といえるでしょう。
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<ハイク>を代表するアイテムのひとつに、「トレンチコート」があります。トレンチコートは第一次大戦中に英国陸軍の将校たちが着用したミリタリーアウター。雨水に強いツイル生地をはじめ、前合わせからの雨水の侵入を防ぐガンフラップ(銃床を当てる際の補強の意味合いもある)など、トレンチ=塹壕での戦闘に特化したディテールが特徴です。
つまり泥水にまみれて戦うために生まれたギアが出自なわけですが、これが<ハイク>の手に掛かるとアーバンなアウターへと様変わりする。シャープなカッティングに、計算されたゆとりがもたらすドレープの美しさ、素材の上質さ、精緻な縫製など、さまざまな要素が相まってそう映るのでしょう。
なお、<ハイク>のトレンチコートの定番素材は、糸染めのコットンポリエステル糸を高密度に織り上げ、撥水加工を施したツイル生地。混紡にすることで、一般的なコットンのそれよりシワになりにくく、形態安定性が増すというメリットもあります。ヴィンテージの生地を分析して2005年に開発したオリジナルファブリックであり、糸の番手をより細いものに変えるなど、少しずつアップデートを繰り返しているのだそうです。
「Heritage and Evolution」。洋服の歴史に敬意を払いながら、ディテールをただなぞるだけではなく、自らの感性をもって進化させる––––。まさにブランドコンセプトどおりのクリエイションが、<ハイク>の服からは感じられます。
英国陸軍のトレンチコートに着想したこちらは、素材に撥水加工を施した定番のコットン×ポリエステルツイルを使用。適度なハリ感が、裾にかけて緩やかに広がるAラインシルエットを美しく表します。
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こうしたヘリテージの現代的な解釈は、ハイテクファブリックの活用にも見てとれます。優れた防水透湿性と軽さを併せもつ「PERTEX(パーテックス)」(※シリーズによって機能や構造は異なります)は、とりわけよく用いられる定番素材。フィルムがラミネートされているため独特のハリがあり、シルエットが立体的に表れるのも魅力です。機能性に優れ、なおかつ美しいとあって、<ハイク>にとっては一石二鳥。相思相愛の存在といえましょう。
クラシックなドレスシャツに着想を得た、クロップト丈×バルーンスリーブの組み合わせが個性的な一枚。素材はポリエステル×コットンのストレッチ素材で、シワになりにくいメリットもあります。
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そしてもうひとつ触れておきたいトピックとしては、<ハイク>のファンが毎期楽しみにしている他ブランドとのコラボレーションが挙げられます。<ハイク>はこれまで、<マッキントッシュ>に<アディダス オリジナルス>、<ザ・ノース・フェイス>に<モンクレール>、<ポーター>に<アイヴァン>etc.と、ジャンルを超えてさまざまなブランドとコラボレーションを行ってきました。発売日に取扱店舗の前に行列ができることも多く、ファンの期待の大きさを物語ります。
相手ブランドの本来の魅力を損なうことなく、シルエットやカラーパレット(オリーブドラブやコヨーテ、ベージュといったアースカラーがお馴染み)、機能などのアレンジによって、<ハイク>らしさが自然に、かつしっかり盛り込まれているのがこれらの真骨頂。コラボレーションにおいて<ハイク>は、パートナーの本質を理解し、お互いのよい部分を重ねることを大切にしているといいます。そのため、自分たちが普段から愛用していたり、そのブランドの歴史やプロダクトをリスペクトしていることがコラボレーションにおける必須条件となるそうです。
英国陸軍のデザートストームコートに着想を得たロングコートを、ミドル丈で別注。軽やかに仕上げたユニセックスモデルです。素材は、スーパー120’Sのウール糸を二重織りにした、滑らかなタッチのベロア。上質感も申し分ありません。
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<ハイク>のクロージングは現在、ドイツやアメリカ、韓国、台湾、中国でも展開されています。毎シーズン、海外のショップからオファーがあるそうですが、(Covid19以降は)お互いに理解し合い長く付き合うことができるか、日本の展示会で商談が可能かどうか––––といった観点をクリアにできるかを見極めて取引を決めているのだそう。
規模を広げすぎることなくモノづくりに丁寧に向き合う姿勢もまた、<ハイク>が支持される所以。何より、クロージングの上質な風合いや端正な仕立てが、ブランドの哲学を静かに物語っています。
ちなみに、2026年までの<ハイク>のコレクションはレディースがメインであり、一部のモデルのみ大きなサイズも用意し、ユニセックスで展開してきました。しかし、2027年SSシーズンから満を持してメンズラインが始動。サイズ展開のみならず、男性の体型や着用時のバランスも踏まえた服づくりが行われるようになりました。
<ハイク>はメンズライクな要素をレディースに落とし込む手法に長けるブランドですが、独立したメンズラインはこれからどんなクリエイションを見せてくれるのか。翻って、レディースラインはどんな広がりを見せていくのか。新しい挑戦に胸を踊らせながら、毎期のコレクションを待ちましょう!
( Writer Profile )
ファッションライター
秦 大輔
学生時代からライター業を始め、20代半ばでモノ&ファッション誌『Begin』編集部へ。再びフリーランスライターとなり、さまざまな雑誌やブランドのオウンドメディア等に寄稿している。ドレスファッションを得意とするほか、著名人へのインタビュー、コーヒーやバードウォッチングなど趣味分野の記事執筆も手がける。
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( Item Lineup )