知ってほしいブランドについて
ファッションライターが語る連載コラム

スタンドオイル|“懐かしいのに、新しい” 韓国トレンドを感じるデイリーバッグ

    知ってほしいブランドについてファッションライターが語る連載コラム

    2026.05.28

    スタンドオイル|“懐かしいのに、新しい” 韓国トレンドを感じるデイリーバッグ

    文:市谷未希子

    止まらぬ韓国カルチャーの勢いとともに、日本でもじわじわと存在感を増しているバッグブランド<スタンドオイル(STAND OIL)>。K-POPアイドルにもファンが多く、彼女たちのファッションをきっかけに名前を知ったという方も多いかもしれません。移り変わりの早い韓国ファッションのなかで、常にいまの空気感を纏いながらトレンドを発信し続けるブランドの魅力を紐解きます。

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    国民的ヒットの背景

    <スタンドオイル>は2018年、韓国・ソウルで誕生したバッグブランドです。母体はバッグの製造に精通した韓国の企業で、素材選びから縫製まで、ものづくりの知見を持ったチームが自社ブランドとして立ち上げたのが始まりでした。

    掲げるテーマは「日常に溶け込むデイリーバッグ」。クラシックなフォルムをベースに、ミニマルなデザインとシーズンごとのトレンドを掛け合わせる—— 言葉にすると王道的ですが、それを1~2万円前後という手に取りやすい価格帯で、しっかりとした品質とともに実現しているのが<スタンドオイル>の強みです。

    ナチュラルにくしゅっとへこんだシェイプが特徴的な大人気マッシュバッグのミニサイズ。肩掛けがしやすく、荷物を入れてもすっきりとしたシルエットをキープしてくれる。

    <スタンドオイル>の拠点となる韓国・聖水(ソンス)は、かつて繊維業や靴工場が立ち並んでいたエリアでしたが、アートやカフェの集まるクリエイティブな街へと変貌し、今やソウルのMZ世代にとってのファッション発信地になっています。工場の記憶が残る街で、工場出身のブランドが最前線を走っているという構図も、どこかエモーショナルな感情をくすぐられます。

    ファッション感がありながら、ノートPCが入るサイズ感やデイリーに使用できるタフさと軽さを兼ね備えたバッグが多く、価格帯も1万円台からと女子大生のライフスタイルにもフィットしていることから、韓国では「国民女子大生バッグ」という愛称でも親しまれています。「地下鉄で一人は持っているバッグ」といった書き込みがSNSで話題になるなど、大学生から社会人まで、幅広い層のデイリーバッグとして定着しています。

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    「懐かしいのに新しい」という感覚

    <スタンドオイル>が面白いのは、シーズンのたびにフラッグシップストアの空間ごと衣替えをしてしまうところです。2024年にソウルのカルチャー発信地・聖水にオープンしたフラッグシップでは、「フォトグラフィースタジオ」や「学校」といったビジュアルの世界観をモチーフに、フォトブースや教室の机を使った空間を作り上げました。

    2026年3月には韓国ストリートカルチャーの中心地・弘大(ホンデ)にも新たなフラッグシップが誕生。オープン時には、26SSコレクションのテーマである“SO BREEZY”の世界観を主役に店内だけではなく、屋外を走るバスや巨大看板までもジャックし、Y2Kムード全開の<スタンドオイル>カラーに街中を染めあげました。

    シーズンごとに移り変わる表現方法は、もはやショップというよりもブランドの世界観に浸るためのインスタレーションに近く、この「記憶」や「体験」を届けようとしている姿勢は韓国ならではのカルチャーともいえるかもしれません。

    懐かしさを誘うレトロなイメージをモダンに再解釈した<スタンドオイル>の世界観は、韓国ファッションだけでなく、K-POPなどのエンタメ全体で進行しているオールドスクール・リバイバルの空気感とも呼応しています。

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    ミニマルで、どこにでも連れていける

    今の韓国カルチャーを包括した独自の感覚は、プロダクトからも感じ取ることができます。メリージェーンシューズ、ホーボーバッグ、プリーツ──どれも既視感のあるクラシックなモチーフですが、装飾を削ぎ落としてクリーンに仕上げることで、クラシックなのに今っぽい、という絶妙なバランスに着地させているのも<スタンドオイル>の魅力です。

    メリーバッグ|オンにもオフにも馴染むシンプルなデザインで、カジュアルからオフィススタイルまで幅広く活躍。着脱可能なジッパーポーチ付きで、ミニマルさと実用性の両立を叶えてくれる。

    例えば、「Melly Bag(メリーバッグ)」は、2本の細いストラップと柔らかく落ちるボディが印象的。グロッシーな光沢のリンクル素材がさりげなく上品で、トートとショルダーの2WAYで使えます。サイドにあしらわれたリングにお気に入りのチャームやキーリングをつけて、自分らしくカスタムできる遊び心も<スタンドオイル>らしいところです。

    プリーツバッグ|表面にプリーツを入れたリボンを想起させるシルエットが魅力。グロッシーな光沢感のある素材はこれからの季節に活躍しそう。バックル位置によって印象が変えられるのも嬉しい。

    正面にしわを寄せてリボンのようなシルエットを作り出す「プリーツバッグ」は、フェミニンな表情とグロッシーな質感の組み合わせが華やか。ショルダーの長さをバックルで調整できるので、持ち方ひとつで印象が変わります。

    スニーカーにメリージェーンのディテールをプラスした、まるでバレエシューズのようなフェミニンな一足。柔らかなスエードライクな生地で疲れにくいのも嬉しいポイント。

    そしてバッグブランドとして知られる<スタンドオイル>が近年力を入れているのがシューズライン。なかでもメリージェーンタイプは、ヴィンテージ風のバレエシューズを思わせるフォルムに、オルソライトのクッションインソールを合わせた実用設計で、見た目のかわいさだけで終わらない、一日歩ける履き心地が頼もしい一足です。


    どのアイテムにも共通しているのは、コーディネートを選ばないこと。通勤のきれいめスタイルにも、休日のカジュアルにも、不思議とすっと馴染む。韓国のカルチャーシーンで生まれ、聖水の空気をまとい、海を渡って日本の日常に溶け込みつつある<スタンドオイル>。「韓国ブランドだから」ではなく、「これがいいから」選ばれる。そんなフェーズに入ったブランドだからこそ、知っておきたい価値があるのだと思います。

    ( Writer Profile )

    ファッションライター

    市谷未希子

    1989年生まれ。美容師、ファッションメディアの編集者を経て、フリーランスのエディター/ライターとして独立。現在はファッションブランドの広告制作やオウンドメディアのコンテンツ企画、ファッション誌・ウェブメディアでの編集・執筆のほか、映画やカルチャー領域の記事も手掛けるなど、ジャンルを横断して活動中。

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