

タイオン|コスパ最強のインナーダウンは、冬の名脇役にして主役もお任せ|知っておくべきブランド
いくら直幸
コートやジャケットに投入する中間着として今や完全に市民権を得たインナーダウン。アウトドアメーカーからファストブランド、ラグジュアリーメゾンまでが乱立する現在にあって、確固たるポジションにあるのが<タイオン(TAION)>です。あらゆるジャンルのライバルと比較検討され、あらゆるファッション層に選ばれる、その理由に迫ります。
高いクオリティと高いコスパを両立
ここまで一気に人気が爆発した理由は、専業ゆえのノウハウで実現されるクオリティと、それに対する圧倒的なパフォーマンスにあります。まず肝心のダウンには、一般的に600~700FP(※1)前後で良質とされるところ、同社は800FPの高品質ホワイトダックダウンを基本とし、なかには900FPのシリーズも。
※1:FP=フィルパワー。数値が大きいほど空気を多く含んで保温性に優れることから、暖かさを判断するひとつの基準に。またFPが高いほど復元力に富み、少ないダウン量でボリュームが出るため、より軽量に仕上がる。
それを包み込む生地には、薄手&超軽量で柔らかく、かつ耐久性も兼ね備える高密度ナイロンをはじめ、アイテムに応じて最適なファブリックを選定。ボディの表面には多少の雨や雪を弾く撥水&防汚加工、裏側には羽毛抜けを軽減させるコーティングも。さらにキルティングにはダウン専用の糸を使い、薄い生地をしっかりと縫い付けるとともに、羽根抜けを最小限に抑えることに成功しています。

「シティライン」の定番モデルは、超軽量で柔らかくカラダに吸い付くような着心地。付属の収納ポーチに入れてコンパクトに持ち歩けるうえ、家庭で洗えるのも嬉しい。
さらに、付属のスタッフバッグに収納して日々の外出や旅先にもコンパクトに携行できるパッカブル仕様や、家庭で洗えるユースフルなアイテムも豊富に展開。モデルによっては1型でXXS~4XLまで9サイズ、20色を超えるカラーバリエーションを用意する大充実ぶりです。
と、変哲なくも見えるシンプルなデザインには、マテリアルやパーツ、工程のすべてにこだわりが凝縮されており、日本ブランドらしい細やかで丁寧な作り込みが息づいています。それでいてプライスは非常に手頃。たとえば設立以来のロングセラーであるベーシックなダウンベストは¥4,950円と、価格面でライバルとなる大手ファストブランドのそれよりもリーズナブル。もはや非の打ちどころがありません。
あらゆるスタイルや好み、用途に対応

メンズ向けながら、女性がゆったり羽織るのもOKな「ミリタリーライン」のフード付きコート。腰のポケットには横から手を入れられるハンドウォーマーポケットを併設。
いいこと尽くめでロングシーズン活躍
その点でインナーダウンは、街着として必要十分な防寒性を確保しながら薄さと軽さを徹底的に追求しているのが強み。晩秋&春先、冬でも過ごしやすい麗らかな日、室内や車内ではライトに羽織れるメインアウターとして、真冬の屋外ではミドラー(中間着)にとフレキシブルに着回せてロングシーズン活躍します。レイヤード次第で段階的に暖かさを調節でき、その日の気温に応じて、また外出先でも体温調節しやすく、着太りしにくく動きやすく、価格も手を伸ばしやすい。手持ちのコートやジャケットと組み合わせれば新たにヘビーアウターを購入する必要がないので、少ない投資で冬を越えられるのも経済的と、いいこと尽くめです。

大きめのダイヤ型キルトが目を惹くポリエステル素材と、品のよいウール調の生地を表裏にしたリバーシブル仕様。フロントジップ式で、適度にゆとりのあるシルエット。

ファッションライター いくら直幸
人気アパレルメーカーのPRを経て、1990~2000年代に絶大な影響力を誇ったストリートファッション誌『Boon』の編集者に。現在はメンズ雑誌&ウェブマガジンをはじめ、有名ブランドや大手セレクトショップのオウンドメディアにも寄稿。近年はYouTube番組への出演、テレビ番組のコーディネート対決コーナーで審査員を務めるなど活動の幅を広げている。