
ダブルスーツのおしゃれな着こなし方とは|シーン別のダブルスーツの選び方
ダブルブレストスーツ(通称ダブルスーツ)に初めて挑戦する方にもわかりやすく、その着こなし術からシーン別の活用例までをご紹介。クラシックな雰囲気と重厚感が魅力の「ダブルスーツ」は、難しそうというイメージから敬遠されがち。しかし実は、着こなしのポイントさえ押さえれば、ビジネスからパーティ、さらには休日のおしゃれ着まで、幅広く活躍してくれる優秀アイテムです。シングルスーツでは物足りないという方にこそ試していただきたい、着映え力抜群のダブルスーツ。ダブルスーツを味方に、装いにひとつ上の風格を添えてみてはいかがでしょうか。
INDEX
「ダブルスーツ」と「シングルスーツ」の違い

シングルブレスト

ダブルブレスト
一般的に馴染みのある「シングルブレスト」は、前ボタンが一列で重なりのないすっきりとしたデザイン。一方、前合わせが二重になった「ダブルブレスト」は、見た目に重厚感があり、どこかクラシカルでフォーマルな佇まいが魅力です。なかでも王道とされるのが6つボタン仕様。着こなしの際は、中央または下段のボタンを1つ留めるのが基本ルールです。実はボタンの数や配置によって印象も着方も微妙に異なるため、まずは正しいスタイルを知ることが、ダブルスーツを格好よく着こなす第一歩になります。

さらにダブルスーツには、6つボタン以外にもさまざまなバリエーションが存在します。たとえばこちらのような「4つボタン」タイプは、同じダブルでも着こなし方が異なるのをご存じでしょうか?6つボタンでは中央を留めるのが基本ですが、4つボタンの場合は、下段のボタンをひとつだけ留めるのが正解。ボタン位置によるスタイルの違いを押さえておけば、より洗練された着こなしが可能になります。
ダブルスーツの着こなし効果とは?

ダブルスーツ最大の魅力は、袖を通すだけで生まれる“威厳”と“貫禄”。特にビジネスの場では、商談やプレゼンといった勝負どころで、相手に安心感や信頼を与えることができます。また、シングルスーツに比べて存在感があるため、年齢や立場に関係なく「一歩先行く装い」が叶うのも特徴です。
初心者向けのダブルスーツの選び方

初めてダブルスーツを着る方は、無地でベーシックな色味を選ぶのがおすすめ。特にネイビーやグレーといった定番色は着回しやすく、ビジネスからフォーマルまで幅広く対応可能です。まずは派手な柄物を避けて、控えめで上品な一着から取り入れることで、着慣れていない方でも安心して挑戦するこができます。
ビジネスで落ち着いた印象で着るなら?

信頼感が求められるビジネスシーンでは、ネイビー無地のダブルスーツが王道。シングルよりも格調高く見えつつ、堅すぎない印象を与えてくれます。

きちんと感をベースにしつつ、さりげなくお洒落な雰囲気を出すなら、シャツはネイビーと同系色でまとめるブルー系がおすすめ。白シャツの清潔感も良いですが、少し変化を出したいならブルー無地のシャツがベスト。ダブルスーツの重厚感を和らげつつ、Vゾーンにスマートな印象をプラスしてくれます。


ブルー系で統一したコーデなら、ネクタイも同系色で合わせて統一感をアップ。若々しさを出すならストライプ柄、より貫禄を求めるなら小紋柄や幾何学柄、ペイズリー柄も◎。ダブルスーツはVゾーンが狭く、柄物のネクタイを合わせても悪目立ちせずに収まるため、少し華やかな柄でアクセントをつけてもよいでしょう。
パーティで華やかに着るなら?

フォーマルな場でひと味違う存在感を演出したいなら、カラーダブルスーツに挑戦を。特にグリーンやブラウンといったやわらかなトーンのものは取り入れやすく、さらに結婚式やレセプションといった華やかなシーンでも活躍してくれます。フォーマル感と華やかさを両立でき、センスの良さをさりげなく醸し出すことができるのです。

カラースーツに合わせるシャツは、グレーの無地や控えめなストライプが好相性。中間色のグレーなら色馴染みがよく、コーディネート全体が自然とまとまります。無地なら落ち着きを、ストライプなら程よい華やかさが加わり、パーティシーンに相応しい洒落感のあるVゾーンに仕上がります。

Vゾーンをグレーで統一する場合、シャツとのカラートーンの差が大切。シャツがライトグレーなら、ネクタイはダークグレーや黒がアクセントになるタイプを。また、ブラックがポイントで効いたデザインを選べば、メリハリがつき、全体の印象もぼやけずキリッと引き締まります。
オフのおしゃれスーツにも◎

「ダブルは仕事かパーティ用」と思い込んでいる方にこそ試してほしいのが、休日仕様の軽やかダブルスーツ。肩パッドを省いたソフトな仕立てや、リネンや化繊などの涼やかな素材を選べば、街着としてもしっくり馴染みます。インナーはTシャツでOK。気張らずに、でもちゃんと“いい服”を着ている雰囲気が出せるのが最大の魅力です。カジュアルでも手を抜かず、でも決してやりすぎない。そんな“大人の余裕”を演出する、新しいオフのスタンダードと言えるでしょう。
ダブルスーツの食わず嫌いはもったいない
「なんだか自分にはハードル高い気がして…」そんな声が聞こえてきそうですが、実際にはダブルスーツはとても柔軟な一着。ビジネスからパーティ、カジュアルまで対応力は意外に高く、着こなしのちょっとした工夫で印象がガラリと変わります。しかも、ただ着るだけでクラス感を演出できるのは、他のスーツにはない魅力。ダブルを着こなせたら、スーツ上級者の仲間入りです。

橋本慎司
フリーエディター
1989年生まれ、沖縄県出身。ドレスファッション雑誌『MEN’S EX』の編集部を経たのちフリーランスとして独立。ビジネススーツやオン・オフのジャケットスタイルなどを紹介する誌面やWEB記事を手がける。1950〜60年代米国のアイビーファッションを好み、学生時代よりスーツをビスポークオーダーし愛用する。
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