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THERE IS SOMETHING
ABOUT MERYL!

with Eriko Yoshida

<6>のディレクター・吉田恵理子に気になっている人は誰ですか?と聞いてみると、「メリル・ストリープです。パーソナリティもですが、80年代の彼女の私服が本当に可愛くて」と答えが返ってきた。知的さがあって、チャーミングで。確か、2016年の演説で「何かの分野で最初の女性になるために必要なのは? それは気骨と気品よ!」なんてかっこいいことを言っていた。<6>がそんなメリルに首ったけ、なわけ。

「憑依するような演技をして、アカデミー賞の常連で、確かアカデミー賞ノミネート記録を更新中?のメリル・ストリープ。役者としてはもちろんのこと、個人の活動としてアーティストを支援したり、ホームレスの避難所へ寄付をしていると聞いて、とても魅力的だと感じました。そしてやっぱりファッションに携わる仕事をする私にとって気になるのは、彼女の装い。テレビで見るドレスアップした彼女も好きですが、個人的には彼女の私服に惹かれます。特に1979年に撮影された、トレンチコートにロゴキャップ被って、新聞紙を持った手でタクシーをとめている有名な写真があります。ちょっと笑顔で。ニュージャージ州に生まれて、大学を卒業してからニューヨークに移住し5 年も経たない頃で、若干まだカントリーサイドな雰囲気も合間ってチャーミング。ちょうどアカデミー賞助演女優賞を受賞する名作「クレーマー・クレーマー」の頃ですね。作品内で彼女が着ていたトレンチコートやベージュのウールのコートも印象的ですが、この等身大の装い、そして過度に装飾せずあえて削ぎ落としたクラシックな雰囲気は、どこか親近感と同時に、安心感を感じます。私が今季の世界観を作る上ですごく大切にしていたイメージの一枚です。

安心感、タイムレス、リラックス、スイートなどは今季のキーワードにしています。コロナ禍で“断捨離”ブームがあったり、周りの友達や同僚の多くから、「洋服を買わなくなったよね〜」と耳にしたり……。もちろん彼らの言う、無駄なものは買いたくない、ことは理解できます。だけども私は逆で、もっとファッションを楽しみたいと熱く想うようになりました。リチャード・プリンスというアメリカのアーティストが「アメリカの最大の発明はジーンズだ」と言っていました。彼は、人間は自然と“ラク”な方に向かっていく生き物であると。勿論その通りですし、当然私もラクしたいですけど、でも大好きなファッションまでラクはできないし、したくない。せっかく自分で選べるものを、そして毎日着るものを、“ラクだから”を理由にして選択したくはなくて。ちょっと熱くなってしまいましたが、そんな気持ちを込めたのが今シーズンの”Old Man Style With Something”というテーマになります。昨今は“イージーケア”を代表する化学繊維もものすごくバリエーションに富んで魅力的ではあるものの、<6>では、例えばツルツルの磁器ではなく、作家さんの痕跡を感じる土の焼き物を選ぶような、クラフト感だったり、味わいのあるクラシックな要素を大事にしたいと思いました。そして大事なのが、“With Something”の部分。古いもの、古くからあるものに、今ならではのトキメキ感とか高揚感とかグッドフィーリングを足していくとどうなるんだろうと。

私が前任の<BEAUTY&YOUTH>や<6>で長年カジュアルウェアに携わっていて思うことは、カジュアルウェアは“おしゃべり”だっていうことです。正直私は話すことがそこまで得意な方ではなくて、話すことよりも、スタイルでコミュニケーションしてきた人間なので、“話してくれる”Tシャツに何度も助けられました。でも、これこそカジュアルウェアの本質です。着用者がどんな人なのかをコミュニケーションする。だから決してカジュアルウェア=ラクな洋服ではないと思うのです。余談ですが私は基本的にTPOでがんじがらめになるよりもどうしたら自分らしく居心地よくその場にいる人達とハッピーな時間を共有出来るかという事を考えるので、ファッション好きな友人の結婚パーティにはエナメルのコンバースやマンダリンやジャケットで自分なりのフォーマルのルールを考えたりします。それはどんなシチュエーションでも自分の『個』が出る装いをたのしみたいから。自分の個が出ている方がスタイルを褒めて頂く事も多いのでエナメルのコンバースもマンダリンジャケットも、”My name is〜”よりも、“I am〜”を伝えてくれたんです。

OLD IS NEW-NEWでも、クラシックなチェックのジャケットと<ラコステ>のジャージーパンツにファニーな小花柄のベロアブラウスをレイヤードしたり、ドレッシーなベロアのワンピースにクラッシックな<ブリエンヌ>のフリルシャツ、そこに<エルエルビーン>のトートバッグや80年代の<ヴァンズ>のオーセンティックを合わせたり、<アンスクリア>のドレスに<ビルケンシュトック>のボストンとスケーターソックスなどを合わせたりしています。相反する2つのエレメントで構成するだけではなく、それらを包んで異なる要素での意外性を探ったりするのが面白い(LOOKを見る)。他人からの目線を意識した装いではなく、自分にしか分からない(かもしれない)価値観を見つけると(でもきっと伝わる人には伝わる!)ファッションってすごく楽しいんです。

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