
NO 3
Pre-Order 2023-24
Winter Outerwear
Photographer
Asuka Ito
なんど迎えても秋という季節はいいものです。
今年も深まる秋をセンチメンタルに感じながら、スティーブン アランでは冬のアウターウェアのプレオーダーをはじめます。
メンズもウィメンズも今季は「Modern Primitive」をテーマに、クラシックで、 ふくよかで、手のぬくもりが感じられる
社交的なアウターを揃えました。
寒くなるほどに、衣服は重ねられ、スタイリングも楽しくなっていくことでしょう。
ほんの少しだけ先取りをして、冬のことでも考えてみませんか?
スタンダードナンバー、「DARUMAジャケット」をベストにしたら。そんな試みで生まれたパデッドベストは、今季のスティーブン アランが満を持してお届けする数あるベストのうちの一枚。そう、この秋はベストをたくさん着てみたいのである。「DARUMAジャケット」同様、デザインはU.S.NAVYのデッキジャケットをベースとした丸みのあるシルエットで、素材は撥水機能のあるマットな質感の超高密度ポリエステルウェザーにシンサレート™の中綿入り。アームホールから裾にかけてのティアドロップラインのシルエットにはかなりこだわった。着こなしの変化をつけるには、アウトドアなスタイルとは真逆の、ロンドンストライプのシャツや、ゆったりとしたスーツなどを合わせると、モダンなコントラストが楽しめる。ベストが流行ったのはもう20年以上も前のことだし、そろそろ起こし頃。
コートの裾が床まで着きそうなくらいのクラシックなチェスターフィールドコート。いつか見たニューヨーカーは、こういう贅沢に生地が使われたコートを、寒い冬にはよく着ていた。当時はずっしり重たいものを羽織っていたと思うが、こちらは上等なSuper140sファインウールとナイロン混紡の中空糸メルトンを使うことで、糸の空洞化されたコア部分に熱が溜まり暖かく、そのたっぷりとした見た目にそぐわぬ軽い仕上がりに。生地の表面には、きめ細やかなアザミの実で昔ながらに起毛させた繊細なウェーブを。ロングコート、しかもダブルブレストとなると、大味で着づらいものが多く、これは果たしてちゃんと似合うのか?と心配になる方もいるかもしれないが、ラペル、Vゾーン、肩幅、袖付けを緻密に考え、トラディショナルでありながら、今らしいシルエットにしているので、誰にでもしっくり着やすいものとなっている。何より、ここまで貫禄のあるコートを着ている人はまだ少ない。
アメリカのおじさんはこういうトラックジャケットを襟を寝かせてよく着ている。ここでいうおじさんはもちろんファッションを超えた天然の格好よさを持ったおじさんのことである。普通の格好ではあるけれど、着方ひとつで素敵になれるのであればそれに越したことはない。そんなトラックジャケットをスティーブン アランでは、形状記憶素材とマイクロフリースのコンビネーションリバーシブルという、どこにも同じものはないスタイルでご提案。光沢を吸い込むような落ち着いた表地に、裏地のマイクロフリースは起毛を抑えて品よくまとめた。デザインは、スタンドカラーに、背中には傘のような形をしたアンブレラヨーク。ヨーク内は手の込んだ貫通デザインだが、裏返してフリース面を表に着るとヨークは隠されフラットになる。裾のコードをギュッと絞って着てみると、腰周りが立体的になるので、新しいトラックジャケットの形が見える。
こんなにもインテリジェンスたっぷりのダウンジャケットは他にはないと信じている。表地にはF/CE.が作り出した軽量、透湿防水、ストレッチの高機能素材F/LIGHT、中綿にはNANGAの上質なリサイクルダウンをたっぷりと。昨年も作った別注ダウンの今季の違いは、そうフード。取り外し可能で、かぶってよし、寝かせてもその立ち姿は凛々しく、フードの動きは申し分なし。見えないところでいうと、右袖下にはシークレットポケット、インナーにはショルダーテープを。ちょっとしたストレスをなくすために、テープの触り心地を柔らかくし、2本あったものを1本に。ジャケットを脱いだ際に、2本を両肩から掛けるバックパックスタイルではなく、1本肩掛けのショルダースタイルで持ち運びできるようにアップデート。アメリカンクラシックな雰囲気は、アメリカンホックのスナップボタンにも現れるが、忘れちゃならないのは、今や貴重なNANGAのジャパンメイドだってこと。
バルマカーンコートといえばロング丈と相場が決まっているが、こちらはバルマカーンスタイルをハーフブルゾンにし、さらにウエストが絞れるデザインに。そんな天邪鬼なデザインに使った素材は、これまた希少な、今や作り手が少なくなったウール混のコーデュロイ。毛が入ることで、コットンコーデュロイにはない、しっとりとした艶のある上品さ、柔らかな落ち感が加わり、よりふくよかな質感となった。ウエストのドローコードを絞り、カフに付いたボタンもひとつキツく留めて、少し太めのコーデュロイパンツやモールスキンパンツと合わせてみるのが、この冬のスタイルである。
ウエストのスピンドルを絞るか絞らないかで、まるで別の着方ができるフリースハーフブルゾン。ウエスト位置が高めのスピンドルによるフィット&フレアは、クラシックアウトドアのディテールかつ、上品なマダムのスタイルにもインスピレーションを受けたもので、昨今のメンズウェアには見かけることのないスティーブン アランらしい前衛的なブルゾンとなった。素材には、ポルトガルのMORGADO社が作るフランネルのベロアフィニッシュを。つまり、手触りのとてもよいフリース仕上げで、重厚な見た目を裏切るような、軽い着心地となっている。高密度のフリースを総裏仕様にしているので、インナーに何を着るかによってはちゃんと真冬まで使える一着となる。
打ち上げ花火は、下から見るか? 横から見るか? このM-65型のコートは、作りは基本に忠実ながらも、横から見たときの袖と身頃のボリュームが遠慮のないほど大ぶりで迫力あり。生地に使われているSuper110sの強圧縮メルトン素材は、高密度で織られているにもかかわらず、とてもしなやかでコシがあって、よい着心地。張りがちな肩の設計も、両肩裏にダーツを入れることで、なだらかに、馴染みやすく、動きやすく。こういうミリタリー由来のものをひとつ持っていると、コーディネートには困らない。スーツの上からだって大丈夫。
もしも、オーセンティックなコートをまだ一着も持っていないとしたら、こちらのベーシックなバルマカーンコートをおすすめしたい。ミリタリーウェアにも使われるバックサテン生地を、ここではスーツ地に使う細番手のウール糸を超高密度に織り込み、表面を加工しソリッドにすることでコートに使った。日本で130年続く機屋で作られた織物は、あえてウール感をなくすことで、アノニマスな表情になり、まるでヨーロッパのいいインポート生地のように仕上がった。スタンダードなシンプルさはもちろん、ヴィンテージ仕様のチンタブに、貫通ポケット、トレンチコートにあるようなアンブレラヨークなど、本格も遊びもきっちり楽しめる一着は、カジュアルにデニムパンツと合わせるくらいで十分。
スティーブン アランのスタンダードナンバー、「DARUMAジャケット」。デザインはU.S.NAVYのデッキジャケットをベースに、“ダルマ”の名のとおり、丸みのあるシルエットがどんな服にも合ってしまう不思議な一着。裾のドローコードをギュッと絞れば、さらに丸くなって洒落る寸法。表地には糸と糸の間に隙間のない高密度ポリエステルウェザーを使い、撥水性はもちろん、機能素材では珍しく、艶や光沢をなくしたマットな質感に。車でたとえるなら、見た目はイケてる旧車だけど、中身はEVって感じで。以前、ニール・ヤングがそんな愛車に乗っていたと思う。襟にはストームガード(チンタブ)、袖口にはサムフィンガーホールド、そして、シンサレート™の中綿も入っているのでしっかり暖かく。今季はより着やすく、いいものにしたくて、ポケットの形状を両玉縁に変え、ボタン位置を微調整し、前ボタンの一番下を隠しドットボタンにアップデート。神は細部に宿る。
ダウンにこだわるNANGAとの別注ダウンベストは、今どきっぽさとは遠く離れたアメリカンクラシックで。’90年代のNYのダウンタウンではこういうダウンベストを着ている人が多かったが、今はもうどこにもいない。東京にもいない。表地はアクリルコーティングのやや厚めのナイロンオックスフォード生地にすることで、あえて資材のような素材感を押し出し、道具のような佇まいを目指した。ショルダーも格好よすぎないラインで、肩から少しはみ出るくらいに。NANGA独自のリサイクルダウンをパンパンに詰め込み、裾のドローコードをギュッと絞れば、まったく新しい表情のアメリカンクラシックが着こなせる。ヒップホップは今年の8月11日で生誕50周年を迎えたが、NYのアーティストたちはダウンベストの着方がとても上手だったと記憶している。
値の張る極上の素材を使えば、もちろんいいものが作るが、よき価格と、よき素材のバランスが、よきものを生み出すのだとするならば、これは最上級のハリントジャケットといえるかもしれない。ウール繊維の細さを表すSuperは数字が大きいほど繊維が細く、細いほどにシルクのように滑らかになるのだが、そんなSuper130’sウルトラファインのウール原料を使い圧縮したメルトン素材を生地に選んだ。品のよき光沢とプルッとした反発感を持ちながらも、しっとりとした生地感もあわせもつ。襟は知性を感じるバルカラーに、着丈はショートではなくハーフ丈。とても上等な生地を、ひなびた感じになりがちなハリントンジャケットにハイブリッドしたギャップに乾杯。
一見すると、M-65型をベースにしたジャケットだが、触ってみると、うっすら中綿が入っている。それは、クラシックなスキーウェアのようでもある。中綿には、高機能なシンサレート™ エックス・ソフトを使い、より軽く、よりソフトに、暖かく。表地には、軍もので使われるような生地は使わずに、織り上げた生機を水に長時間付け込み、揉みほぐし、生地をリラックスさせ、最後の仕上げでも感じられる生地の芯をさらに揉みほぐし、ふっくらとした洗いざらし感が出るように、丁寧に手をかけたコットン100%の馬布素材を。裾を絞れば、ことさら洒落たスタイルに。普通のものを普通に見せない。それが、スティーブン アランのこだわり。
Schottとの別注レザーダウンベストは、’80年代のディテールと面影を残しつつも、アウターの上からも羽織れるようなサイズ、シルエットにしたアウトサイダーな一着。フロントジッパーとフロントポケットは当時のままに、袖を外してベストとしたのは、そろそろワードローブにダウンベストを入れてみたくなったから。左襟にあったSchottのロゴの刺繍は襟の後ろに。軽くて滑らかな質のいいシープスキンレザーを使い、熟練の職人さんがダウンとフェザーをたっぷり入れてくれた極上の逸品。ダウンベストの中でも、レザーダウンベストを着ている人は久しくいない。
もはやコートの丈の長さに流行りなどはないといえるので、その日の気分で使い分けるといいのかもしれない。ロングとショートのわかりやすい使い分けではなく、ロングの長さの使い分けである。この2重織りメルトンのバルマカーンコートは、今季の他のコートと比べても長すぎず、短すぎずのベーシックな丈の長さ。素材にはSuper140sファインウールとジーロンラムウールをブレンドした上質なメルトンを使っているので、まるでカシミヤのような軽やかさと柔らかさになっている。贅沢な素材をたっぷり着ると気分もいい。これくらいのふくよかさがあるなら、スーツの上に羽織っても普段着感覚で着られるので、仕事に行くのも楽しくなる。