忘れられたグレーのカムバック。

長らく服の定番色から遠ざかっていたグレー。時が巡った今こそフレッシュな気持ちで袖を通せるはずだということで、ロンドンのKATHARINE HAMNETTにグレーのネルシャツを別注。ダブルポケットのノーカラー、オーバーサイズのユニセックス仕様で、ウォッシュ加工によるクタクタなユーズド感で仕上げた。ミニスカートとニーハイを合わせてみたりと、コーディネートも新時代へ。

服になったブランケット。

古くから伝わる伝統的な“織り”技術を生かしてニットを作る、1970年設立のアイルランドの老舗ニットメーカーjohn branigan。アイルランド人がもともとブランケットとして使っていたような布地を服に仕立てていて、家ならパジャマの上にガウンやストールを羽織る感覚で着られ、移動の際は膝掛けにも使えたり。ポケットは裏地つきで物も入れやすく、ボタンがなく重ね着もしやすいので、全然外出もしてください。

ないものねだりのクリエイティブ。

ミラノのporselliからは、ピカピカきらめくシルバーのジャズシューズと、極めて珍しい豹柄のヒール付きバレーシューズ。シルバーは昭和が妄想した未来のクールな輝きを、豹柄は逆に現代から見たバブルの空気感を目指して大胆に色別注。こう見えてシルバーはハズしでも活躍するので、できるスタイリングは底知らず。豹柄はデニムに合わせるだけでも正解だが、より個性的にしたいときはカラータイツやワンピースと一緒に。

ランチパンツのすすめ。

1950年代頃にアメリカで生産、販売されていたワークブランドBARTEL PERFECTION。アーカイブにあった女性向けランチパンツ(牧場で働く女性がはいていたパンツ)を、ヒップに丸みを持たせたハイウェストにアップデートし、シティな容姿で復刻別注。今だったら、タイトなニットや背中がざっくり見えるカットソーなど、フェミニンなトップスに。リジッドは色落ちも楽しんで。

モダンなギャルへの道。

フェイクファーを用いたクッションやラグを手がけるイギリスのブランドhelen mooreによるドームハットとボンボン。より一層ボリューム感を増して別注したハットは、真面目な服のときこそ抜け感となり輝く。平成ギャルの必需品だったボンボンは、再び携帯につけてみたり、ウエストベルトから下げてみたり。ミンク風のブラウンと薄グレー、山猫風の模様をあしらった3種展開。

ハイブリッドなキルトスカート。

民族衣装のキルト製品を1850年代から作り続けているアイルランドのO’NEIL of DUBLIN。今やキルトスカートの形も多様化の時代だが、サイドにウエスト調整可能なベルトがつき、バックのみプリーツ加工された、キルトの原型スタイルを別注。ただしカラーは、ミリタリーなカーキと、アメリカンエレガンスな風が吹くブルーチェックで。ショートスカートの下には、スウェットパンツを合わせてもいいかも。

漏れ出る色気の正体

天然由来のベジタブルタンニンレザーを使い、装飾はシンプルに、金具はオーソドックスで控えめ。芯のある美しさをもつ、イギリスのMIMI BERRYのバッグは、世代を超えても重宝したい。手荷物がきちんと収まるイージーポシェット「FRANK」と、ひとまわり小さい「FRANSIS」を、今季はモカブラウンのシボ加工レザーで別注。センス抜群なおばあちゃんのクローゼットに眠っていたヴィンテージバッグのような色気を感じない?

ドレッシーに着てみましょ。

アメリカ・ワシントン州で、ハイスクールのニットウェアやアワードジャケットなどを中心に作ってきた名門ファクトリーブランドSKOOKUM。90年代には日本でも広く浸透していた質実剛健なアワードジャケットを、このたびオリジナル配色で色別注。サイズは、ゆとりあるMとジャストフィットのS。ニットドレスやトラウザーパンツなどの落ち着いた服装とあえて合わせてみれば、新しい道がひらける。

レディーの正装。

普段はカジュアルな人でも、特別な日に合わせた自分の魅せ方を知っている女性は魅力的。このミニドレスとワイドストレートのトラウザーズは、そんな日のとっておきのスタイル。スカーフを首にさっと巻くだけでも、ちょっとしたパーティームードに。赤、青、黄、オレンジなどのカラフルなネップが散りばめられた生地に、年代物のような素朴さとこなれ感をあわせ持つ。普段着として着る人がいるなら、それはそれで当然かわいい。

憧れの時代のニットを。

上質な素材でとことん贅沢にものづくりをしていた活気ある時代に憧れて、カシミヤ(ウール混)をふんだんに使ったセーターとニットカーディガンを製作。しかも、とっても思い切ったお手頃プライスで。ほどよく通気性があるのでタンクトップの上から羽織っても気持ちよく、アンサンブルで着ればクラシックな装いに。白がミックスされたベージュとネイビーブラウンの2色で。

足にやさしい造形美。

男性のビスポークシューズの礼儀正しさと、女性らしい端正な印象を兼ね備えるフットウェアブランドKATIM。歪んだ足の骨格を治すためのドイツ式整形外科靴の作り方を習得したデザイナーが、足への負担を最小限にする機能的工夫も施したケアシューズでもある。外見も内面も完璧なこのブーツを、今季はやわらかみのあるブラウンスエードで別注。見てよし、履いてもっとよし。

着る芸術ニット。

フィンランドのアアルト大学大学院でニットを学んだ日本人女性が手がけるニットウェアブランドONICA。今季はコットンアクリルを使ったネイビーのポロニットとタートルニットを別注。バイアスのリブ編みは、作る形に合わせて偶然生まれたというデザインで、色の探求者、ジョセフ・アルバースが作り出す配色のようなボタンは、デザイナー本人の手作り。コーディネートの主役になるので、ボトムスは飾らず控えめなもので十分。

見比べてみるほどに。

世の中の流行に関わらず、Steven Alanにはいつもあるワンストラップシューズ。今回の3足は、90年代にアメリカブランドでよく目にしたエナメルのべっ甲カラーと、メタリックなシルバーと、スタンダードなブラック。どれもパイピングはヌバックで、見る目にしなやか。同じ木型から作られてはいるのだが、よく見ると、ベルトの位置や幅、爪先のカッティングが異なり印象もさまざま。ただの色違いではない。

ムートンの様式美。

もこもこであたたかい反面、どちらかというと重々しく見えがちなムートンを、Steven Alanの様式でスマートにアレンジ。まずは、合わせを斜めにカットし、それから、着丈を短くすることで活動的な雰囲気にしつつ、最後は、表の革面をメンズさながらのハードな印象に仕立てた。とはいえ、そんな見た目とは裏腹に、触るとやわらかくて、着心地もかろやか。シンプルなようでも、さりげなく個性を出せる一着に。

欲張りさんはご注意あそばせ。

やっぱり、LAのSOPHIE BUHAIがたまらない。まずはシルバーを選べば間違いなしだが、オニキスのリングや、赤いカーネリアンのイヤリング、チョーカーなどのストーンジュエリーも妖艶。ぷらんとシルバーがぶら下がったシルクポーチは、現代美術のオブジェさながらの表現力。シルバーとゴールドという対照的なふたつの存在が合わさることで、こんなにも柔らかくミステリアスな雰囲気になるなんて。

上品なレイヤードについての
覚え書。

リボンジャケット、ミニスカート、ロングパンツをコットンウールで製作。黒と茶がミックスされることで生まれた、ざらっとした独特の色合いが持ち味。丈長のボクシーなジャケットは、Tシャツでもハイゲージニットでも相性よく、ボトムスはショートパンツでも馴染む。タック入りのスカートとセミフレアなパンツは、それぞれに着てもよいが、レイヤードすると不思議と洗練された女性に。すべて合わせるとこのとおり。

英国鞄を持つ淑女。

イギリスのBradyには、ふたつのショルダーバッグを別注。ひとつはお出かけにも仕事にも適応できるサイズ感の「ARIEL TROUT」(元来の用途はフィッシングバッグ)。もうひとつは、日本での扱いが希少なコンパクトショルダー「KENT」を。銃弾を入れるバッグが原型で最低限のものがすべて入る(カメラを入れてもいいかも)。カーキのキャンバス生地にこげ茶のブライドルレザーのコンビネーションが今回のオーダー。

モヘアニットによる一撃。

WANDERUNGにはロンT感覚で着られるかろやかなニットを、レッグウェアブランドのMARCOMONDEには足袋型のクルーソックスを色別注。ともに、同じデザイナーが手がけるブランドで、気ままな旅気分を日常でも楽しめるようなデザインをコンセプトに、どちらも揃いのモヘアを使い4色ずつで展開。親しみあるペールトーンと、どこか懐かしくも新鮮に感じる渋いバーガンディーカラーで。渋い色に包まれてもいい頃合いです。

なぜ、デニムが美しいのか。

元気っ子がカジュアルに着るデニムとは違った、体のラインに程よく沿った大人の女性のためのエレガントデニム。ハイウエストでヒップが上がった細からず太からずのちょうどいいデニムパンツと、80〜90年代のジャケットスタイルを模倣したウエストがキュッと締まったデニムドレス。ブルーの濃さを変えたワンウォッシュとハードウォッシュの2種類で、セットアップで着るとそれぞれの素敵さも増す。

きっとあなたにもフレンドリー。

ハットは似合わないと思っているあなたにも、MASAKAZU FURUSAWAは試していただきたい。帽子界の巨匠のもとで学んだ古澤正和さんのつくるハットは、不思議なほど万人の頭にフィットし、「この人はもう何年もこの姿で過ごしているのだろう」といった具合で人の目に映る。やわらかなラビットウールとシャープなフォルムで、キャメル、ネイビー、グレーの3色を別注した今作は、ニットやシャツと合わせたくなる気取らない雰囲気。

Photographer
Toru Oshima

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