太陽に晒された日本人。
ここ数年、日本の夏はインドのように暑い。なので、開放的な一着を求めて、インド生まれのコットンシルクドレスを新調。世界の民族服や文化をひらめきの手がかりに洋服をつくる<quitan>らしく、着物のようなシンプルな平面パターンを、ギャザーでキュッと腰まで引き寄せたドレッシーなスタイルで仕立てた。<Steven Alan>では、子どものときに絵の具で描いた太陽と海のような赤と青にカラーチェンジ。ほてった肌のおともに。
レザーで織り成す用の美。
魚釣りのバケツに似たボンサックを、大阪のハンドメイドバッグブランド<AMIACALVA>にカスタムメイドしてもらった。持ち手の紐や開口部の絞り、肩当てにいたるまで金具は一切使わず、細部はすべてレザーで製作。すぐにものを取り出せる外側ポッケもつけ、クラフティックで実用的なバッグのできあがり。黒、白、オリーブの3色で、爽やかなキャンバス地はミニスカートのようなヘルシーな服装に。これ持って、水着着て、海に行く夏。
夢見るシャツ。
古きよきアメリカの、クラシックなシャツに想いを馳せてつくったドルマンシャツ。丸みを帯びたシルエットとコンパクトな襟にはこなれ感を、陶器さながらのマットな塗装を施したボタンにはカントリー感を。コットン地にもアメリカらしさを求めて、あえてナイロンを混入。ハリのある質感となり、シワにもなりにくくなった。くすみのある白とベージュの2色で、首や頭にスカーフを巻いてみると、シンプルなシャツも嬉々と様変わる。
甘くない女の足元。
メンズのドレスシューズのスタイリッシュさにエレガンスを兼ね備えたワンストラップシューズを生み出す<KATIM>。歪んだ足を矯正するドイツ整形外科靴のつくり方を習得したデザイナーによるシューズは、タイトなトウデザインの印象とは裏腹に足への負担は驚くほど軽く、コバやレザーソールの丁寧な処理にも職人の技巧が光る。夏でもブラックコーディネートというシックな方々、足元には網タイツとこの靴をどうぞ。
熟れゆく天然石。
誕生して数年のフランス製ジュエリーブランド<mosquito>。まだ日本で知る人は少ないが、手仕事のダイナミックさに、お母さんのタンスで見たことがあるような懐かしさを覚えるものづくり。飴玉サイズの天然石を連ねた首飾りを、赤みを帯びたカーネリアン、スモーキーなクォーツ、ミルキーなアベンチュリンの繊細絶妙な3石で別注。持ち主の体温や相性で天然石の七彩が変化することもあるが、人生とともに成熟する様子は凛々しいの一言。
お手本は子ども服にあり。
古着でかわいい子ども服を見つけたときに、大人サイズがあったらと思うことが多々ある。これは、まさにそんなイメージでつくったコットンショーツ。子ども服あるあるのアンバランスなディテールをもとに、つぶらなボタンと太めのベルトループを施し、大人の女性でも自然体ではけるように裾幅は広くとった。これほどまでにスタンダードで、バスクシャツやブラウスとも当たり前に合わせられるパンツって、昨今意外と見つからない。
ありし日のデッキシューズ。
昔ながらのデッキシューズを、いまも現地の靴職人がこつこつ手づくりしているスペインの<ARTESANOS>にオーダー。靴紐までレザーを用い、クラフト感あるオーセンティックな姿を再現しつつ、絶対必要なブラックレザーと、レディが履くと新鮮なスエードをご用意。別注したソールは軽くて歩きやすく、値段もお手頃。白いリブソックスとロールアップしたサックスブルーのデニムといったスタイルにどうですか?
家柄のよいボーダーT。
戦後から続く山形のニット工場が手がけるニットウェアブランド<BATONER>につくってもらった気楽なニットTシャツ。形は完全にTシャツだが、ブラウジングされたニット特有の裾の編み出しに、老舗の気品が現れる。気が合うのはフレアパンツやデニムとか。暑い国に想いを馳せて、赤はニューメキシコ州サンタフェのレンガ色に。モノトーンは独特な焼けた白色を表現。たとえるなら、長いことクローゼットに眠っていたような風合い。
デニムラバーに告ぐ。
お待たせしました、オリジナルで人気のバルーン型デニムパンツから、同じくバルーン型ロングスカートが満を持して登場! テーパードした裾とハイウエスト、象徴的なセンターラインはそのまま落とし込み、ベルトなしでもピタリと止まる細めのウエストに。トップスはタイトに、モダンでモードな合わせ方がおすすめ。色はホワイト、ブラック、ワンウォッシュ。それぞれ雰囲気は別物なので、お好みで。
フラワーマーケットへようこそ。
ロンドンのリバティ社といえばの花柄と、シルクのようにたおやかなタナローン素材を用いて、ミニキャミ、クロスオーバーパンツ、シュシュ、ハンカチ、トートバッグをつくった。それぞれ、赤色、青色のベリーと水色のチェリーブロッサム、紫色のデイジーの3柄からよりどりみどり。直感で目に留まったものを選びましょう。トートは無地とのリバーシブル。あえて花柄を内側にすれば、贅沢なスペシャルメイド感も味わえるって寸法。
今からなれるバレリーナ。
いくつになっても<Porselli>のバレエシューズが好き。今回の別注はお決まりのブラックに加えて、トウシューズと同じサテンピンクに夢が叶う。原型と同じく、深めのアッパーや靴紐でキュッと足回りを締められる仕様を踏襲し、活動的に歩けるようゴムベルトを添えた。この純粋さはメンズライクな革ジャンにも、ガーリーなミニスカートにもふさわしい。しなやかな屈曲性が持ち味なので、靴底の補強はせずにスリッパ感覚でのびのび履くべし。
シルバーの手練れ。
LAの<SOPHIE BUHAI>からは、いつもどおりの素敵なシルバージュエリーを。ベーグルがモチーフのつるんとしたフープピアスに、葉っぱのバレッタ、シャープに尖った槍型のピアスとネックレス。芸術的かつ構築的だが、身近な題材のせいか、気持ちは少しノスタルジック。ボコボコのフープピアスはバロック様式をインスピレーションにしたアーカイブピースで、<Steven Alan>だけで限定復刻。このあだっぽいオーラに、理屈はいらない。
お洒落のトリガー。
全面グリッターにメイクアップした、スキッパーニットとニットスカート。靴下ブランドの<MARCOMONDE>のデザイナーが手がけるアパレルライン<WANDERUNG>にお願いして、昭和が描いた21世紀への夢ある展望像を落とし込んだ。シルバーとゴールドの2色展開で、一見離れ業に思えても、ニット素材が功を奏し、案外きちんとした感じが出る。セットアップで着るのはもちろん、ふつうの服を組み合わせるほどに化学反応も起こる。
スカーフは一日にしてならず。
こんなにもいまめかしいのに、つくっているのは、北イタリア・コモ湖のほとりで100年以上続く老舗スカーフブランド<MANTERO 1902>。山小屋で売られているペナントのような三角形に、フリンジ付きの鮮やかなカラーコーディネーション。それはまるで、人生経験豊かなセンス抜群のおばあちゃまがこしらえてくれたような、愛らしいおあつらえ感。アクセサリー気分で、パサっと髪に巻くだけでもよいのです。
魂の吹き込み方にルールなし。
用途は不明確なガラス瓶。瓶の口に合わせた木の蓋らしきものもそれぞれにつく。こちらは、東京・台東区の職人と靴や生活雑貨をつくる<_Fot>による、置いてあるだけで間違いなく美しいオブジェクト。ガラスの儚さとは正反対のタフなレザーを巻きつけたバランス感で、花器やカラフェとしてはもちろん、ポプリを入れてディフューザーにしてもいいわけで。小型の魚や苔を育てて、生きものの住処にしてもいいのです。
いつもありがとう、インド。
インドという国はおもしろいもので、人々は驚くほどおおらかなのに、洋服づくりにおいては群を抜いてきめが細かい。欧州のヴィンテージドレスを模したロングシャツと、中国の民族衣装のようなカシュクールブラウスをインドでつくれば、規則正しいステッチとギャザーが施され、狙ってもできない丁寧なゆるさが宿った。色は白と黒で、ロングシャツはマスタードもあり。肌寒いときなどは、ハイネックを忍ばせて着てもよい。
根は真面目な変わり者。
<Steven Alan>では常につくっているワンストラップシューズを、今年の夏はストラップをなくし、透けさせてみました。気分は妙なデザインが効いていた90年代のアメリカンブランド。メッシュ素材で抜け感はあれど、コンサバな木型で真面目につくられているので、インテリジェンスな空気もまとう。素足と見まごう肌色とタトゥーにも見えるレオパード柄の2色展開。真っ赤なネイルを塗って、サックスブルーのデニムと合わせてみたり。
夏がぐずぐずしてるから。
日本の夏は長くなった。おおよそ11月頃までは暑く、半袖で過ごす日々が年々増えているので、カジュアルに着られて、肌に優しいリンガーTシャツをつくった。無染色で自然な色合いのオーガニックコットンは、伸縮性もあり、一枚で着ても透け知らず。タンクトップは、背中中心のはぎでフラットシーマの処理をほどこし、肌への刺激が少なめ。どちらも小ぶりなサイズ感で、パツンと着るのが理想の着こなし。海外にいればノーブラでも。
人、服、自然、くまなくフレンドリー。
ポシェットならイギリスの<MIMI BERRY>。こう見えて想像以上の収納力でスマホ、財布、手帳に化粧品まですっぽりの奥行き。持ち手を短くできるので、詰め込みすぎて重くなっても気になさらず。ニューモデルの「EVE」は真鍮製ターンロックが添えられ、背面のハードレザーのおかげで自立し、洋服側への色移りにも気配り。今季はシボ加工のブラックレザーと金茶スエードで別注。どちらも自然に優しいベジタブルタンニングレザー。
高級感のあるシワシワ。
灰汁をかけ、日光のもとで漂白する近江晒しの洗礼を受けた、ドカンとワイドパンツと紐ベルト付きコンパクトベスト。凹凸のあるやわらかな素材は肌触りも肌離れもよく、夏に着るととっても快適。新品ピカピカのホワイトスニーカーやクラッチバッグと合わせれば都会的な装いに。上質なシボのようなシワ感も見る目に上品さが宿り、各種オケージョンや仕事の際にセット使いもできる。シックなネイビーとグレーイッシュなモカの2色で。
Photographer
Toru Oshima