
Photography by Kenta Sawada
Edit & Text by Yuho Nomura
2024年秋冬シーズン、特に思い入れの強いアイテムをUAのメンズファッションディレクターの内山とチーフバイヤーの豊永がそれぞれ厳選。アイテムの魅力や着こなしのポイント、さらにはどんな方に着てもらいたいのかについて語ります。

UCHIYAMA’SRecommended items 01
UAとしては初の別注となる
隠れた名作デザートカーン
「今季、私が特におすすめするアイテムが、〈Clarks Originals〉の『デザートカーン』というモデルです。ブランドのアイコニックな一足をアンクルカットで表現したローカットモデルで、スニーカー感覚でも履けるのが魅力のひとつでもあります。個人的には現行のスマートなデザインも好みですが、より英国らしいムードを感じてほしいという想いから、1956年に誕生した『デザートカーン』のファーストモデルをベースにしてます。アッパーの羽根部分のパーツがピンキングになっていて、シンプルな装いでもアクセントとなりコーディネートのバランスが取りやすい汎用性の高いシューズです。UAとしてもこれまで幾度となく〈Clarks Originals〉と別注を行ってきましたが、同モデルは今回が初の試みです。そんな記念すべきアイテムを、ぜひ店頭で手にとっていただきたいです」

TOYONAGA’SRecommended items 01
ブリティッシュ&フレンチ
を体現する渾身の別注シューズ
「ウィンターシーズンのメンズファッションでは、ブリティッシュなスタイルが一つの主軸となっていますが、最近ではフレンチな気分の人も少なくないと思います。私も含めて、そんな気分の方にぜひ届けたいのが、UAで別注をした〈CROCKETT&JONES〉のレザーシューズです。新作というわけではありませんが、ブランドを代表するモデルと比較して意外性のあるスリーアイレットと外羽のデザインに加え、ややシャープでロングノーズなフォルムの木型が非常に新鮮です。UAでもおすすめのブリティッシュスタイルのスーツに、どこかフレンチテイストなムードを漂わせたいと感じた時に、ぜひとも試してほしい一足ですね」

UCHIYAMA’SRecommended items 02
こだわり抜いたスキッパー仕様で
今季らしい上品なポロシャツスタイルを
「こちらのアイテムは近年、秋でも夏のような暑さの日々が続いていくような時期に活躍してくれる一着かと思います。ニットアイテムではどうしても暑さが気になるという場面をイメージして〈LACOSTE〉定番の鹿の子ポロシャツをロングスリーブで型から製作しました。ポイントは、襟元をスキッパー仕様にしている点です。通常の〈LACOSTE〉のポロシャツとは異なる襟元のデザインにより、リラックスしつつも上品な雰囲気を保っています。ポロシャツらしいエレガントな着こなしももちろんおすすめですが、せっかくならボタンを全て開けて着ていただき、インナーとのレイヤードを試してみたり、オープンカラー気分で開放感のある着こなしを楽しんでもらえたら嬉しいですね。個人的に何十年も気になっていた襟元のバランスを解消することができたこだわりの逸品です」

TOYONAGA’SRecommended items 02
社内でもトップクラスの人気を誇る
時代性を捉えたグラフィカルなネクタイ
「イギリスにルーツを持ちながら、シルク産業で有名なイタリアのコモが現在の生産地となっている〈HOLLIDAY & BROWN〉。UAのメンズレーベルでも多くの社員が購入しているほどの人気を誇るブランドです。それだけ絶大な支持を得ているのはもちろん、我々の考える世界観とも非常に親和性が高いと感じています。その上で老舗らしく英国らしいグラフィックを膨大なアーカイブからピックアップし、毎シーズン通も唸る柄やデザインのアイテムをリリースしていて、ついつい注目してしまう存在です。決して華美ではないものの、スーツスタイルには欠かせないアクセサリーとして、ぜひチェックしてほしいブランドのひとつですね」

UCHIYAMA’SRecommended items 03
今季らしいリラックス感を味わえる
ミリタリーテイストなトラッドウエア
「本来は現代的なトラディショナルウェアとして定評のある〈THE RERACS〉を、僕なりに解釈して昇華させたのがこちらのアイテム。CPOシャツとベイカーパンツをそれぞれインスピレーションソースにセットアップ仕様に別注したアイテムになるのですが、どちらもモダンなミリタリースタイルをエッセンスとして加えたことで、より東京らしく、UAならではの世界観やムードも感じられるのではと思っています。個人的には、普段スーツやドレスウエアを愛用している方などにもジャケットの代わりのシャツブルゾンとしてご提案したいですし、ボトムスも着回し力が高く、軽快な装いとして履けるので、シーズンレスに楽しんで欲しいアイテムですね」

TOYONAGA’SRecommended items 03
自身のパーソナルを発揮できる
ファッションとしての自由なスーツ
「こちらの〈CARUSO〉はズバリ、“ファッションとして楽しむための自由なスーツ”がテーマの一着です。ですから、個人的には固定概念に縛られないコーディネートを推奨します。例えばインナーにはバンドTシャツを忍ばせて、足元には〈VANS〉のオーセンティックを合わせるなど、カジュアルダウンさせたスタイリングで着こなしを楽しむのも良いと思います。このスーツはセットアップとしてはもちろん、セパレートで着ても主役になり得るアイテムです。ジャケットをデニムと合わせたり、ポロシャツにスラックスを合わせるなど、個別に着こなしても素敵だと思います。ぜひ皆様の自由なスタイルとパーソナルな個性を存分に発揮して楽しんでもらいたいですね」

UCHIYAMA’SRecommended items 04
新たな定番を担う
UAにとって欠かせない2型の革靴
「今回〈J.M.WESTON〉では、『シグニチャーローファー』と『ヨットダービー』の2型をグレインレザーで別注しています。まず『シグニチャーローファー』は、UAらしいスタイリングを考える際の根幹となるモデルで、ドレススタイルからカジュアルスタイルまで幅広く活躍できるアイテムです。一方『ヨットダービー』は、モカシンタイプの革靴で、カジュアルさと上品さを兼ね備えています。長年のファンはもちろん、〈J.M.WESTON〉を初めて選ぶ方にもおすすめの一足です」

TOYONAGA’SRecommended items 04
端正なルックスに見え隠れする
侠気溢れるメイドインナポリのスーツ
「ナポリには沢山のスーツメーカーがありますが、その中でも〈TITO ALLEGRETTO〉は、端正なルックスの奥にアウトサイダーなムードや侠気溢れる人物像が見え隠れしていて、個人的にとても好きなブランドです。ナポリの特徴でもある職人の手仕事ならではの、完璧を求めすぎない温かみも感じられます。今回はオーセンティックなダークグレーのフランネル素材を採用したこともあり、今の気分にぴったりな一着に仕上がっています。もしかしたら普段から実直に洋服に向き合う人よりも、洋服に対して何かしらの刺激を求めているような人に響くアイテムなのかもしれません。手にとっていただく人たちの顔や想いを勝手に想像しています(笑)」

UCHIYAMA’SRecommended items 05
エレガンスとアクティブが兼備した
記念すべきショップコート
「私自身、秋冬シーズンになると毎年〈HYKE〉のショップコートを愛用しており、ブランドの代表的なアイテムだと思っています。今回UAの生誕35周年という特別なタイミングにショップコートを別注したいという想いから、満を持して製作いただきました。ポイントは一目瞭然で、従来の丈感に比べて都会的なアクティブさをテーマにダブルフェイス仕様のショート丈を採用しています。上品さと軽快さを兼ね備え、エレガントでありながら、気軽に羽織れるスマートな一品に仕上げました」

TOYONAGA’SRecommended items 05
起き抜けにさらっと羽織りたい
洒脱なタイロッケンコート
「こちらの<MACKINTOSH>のタイロッケンコートは、カシミヤにも匹敵するほどのハイマイクロンと呼ばれる上質な糸を採用したラグジュアリーな素材を一から開発した意欲作。色味は一見シンプルなネイビーカラーに見えますが、ネイビーとブラックの交織で仕上げていることで、より深みを持たせているのもポイントです。個人的にはドレスライクで品のあるコートをデイリーユースにガシガシ着るのも好きなんですが、朝起きてスウェットやルームウエアの上から起き抜けにさらっと羽織って、そのまま散歩にも行けてしまうくらい洒脱な一着をテーマに企画しました。もちろん、普段の街着としても活躍するので、その違いを気分によって楽しんでもらいたいですね」

UCHIYAMA’SRecommended items 06
内なる満足感を楽しめる
遊び心溢れる“ファン”アイテム
「〈BROOKS BROTHERS〉からは、通称“ファンシャツ”と呼ばれるポロカラータイプのシャツと、6パネルのベースボールキャップを別注しました。別注のポイントとしては、一般的にファンシャツは異なる色や柄で表現されたものが多いですが、今回は6種類の白い素材でボディの各パーツを切り替えていることが大きな特徴です。白シャツとして着用しながらも、自分だけのこだわりを密かに楽しめる、そんな遊び心を備えた一品で個人的にも気に入っています。キャップも同様に、一見シンプルなネイビーカラーですが、それぞれのパネルごとに素材が切り替えられており、〈BROOKS BROTHERS〉の代表作でもあるブレザージャケットから着想を得て製作しました。このコレクションは、ファッションを楽しむという本来の魅力を再確認できるものになってくれたら嬉しいです」

TOYONAGA’SRecommended items 06
クラシックなニットベストを
モダンクラシックにアップデート
「こちらの〈ERIBE〉は、ニットファクトリーが多く集うスコットランドを拠点に、厳選された卸先や展示会を通じて展開しているブランドです。今回我々も縁あって一緒に取り組みを行うことになりました。特に注目すべきは、女性のファウンダーらしいクラシックなパターンを独特なアレンジや配色でデザインしたフェアアイル模様のニットベストです。これまでのUAにありそうでなかったエッセンスを加えてくれていて、まさに我々が提唱する“モダンクラシック”に相応しい逸品が揃っています。クラシックなスタイルを好む人から若い世代の方々まで、幅広い世代に愛されるブランドだと思いますね」

UCHIYAMA’SRecommended items 07
対極な二面性を備えた
ニューブランド渾身の力作
「今季から取り扱いを開始した〈SETCHU〉。個人的に最も欲しい一品です。それほど思い入れのあるアイテムで、UAとしても通年で掲げているテーマでもあるトラッドを表現するブラックウォッチの柄が特徴です。さらにクラシックなスタイルをモダンへ昇華する手法に長けたブランドらしく洗練されたムードが随所に漂っています。この一着を見た瞬間、一目惚れしてしまいました。カジュアルとエレガントの両面がある、一見すると気付かない二面性にもとても惹かれています。自信を持っておすすめしたい、渾身の一着ですので、ぜひ注目してみてください」