連載コラム【音楽のある風景】 Vol.152

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2024.12.31 

グリーンレーベル リラクシングのBGMを選曲されている、選曲家の橋本徹さんより、コラム【音楽のある風景】が届きました。
どうぞお楽しみください!

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12月の選曲は、一年の終わりに心のやわらかい場所をしめつけられて。
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2024年が暮れていきます。
個人的には、自分の代表的なコンピ・シリーズ『Free Soul』が30周年、そして渋谷の公園通りにカフェ・アプレミディを開いてから25周年を迎えた節目の年となり、新たに7タイトルのコンピレイションを監修・選曲させていただき、それに伴って取材を受けたインタヴュー記事もたくさん公開され、ポジティヴな気持ちですごせた一年でした。
本当にありがとうございました。

さて今月は、現在UNITED ARROWS green label relaxingのショップBGMとして流れている日本語詞の曲が収録された、僕のコンピ3タイトルをご紹介します。
まずはOriginal Love & Ovall名義の「接吻(M.D.L. Version)」の原曲が収められた『Free Soul Original Love 90s』。
掛け値なしに愛してやまない傑作揃いの2枚組ですが、31年前の冬、TVドラマの主題歌に起用されたこともあり「接吻」が大ヒットし、『Free Soul』がスタートした1994年にリリースされた名盤『風の歌を聴け』がオリコン初登場1位を記録したことを、感慨深く思いださずにはいられません。

美しいイルミネイションに彩られた12月の東京の街並みにとてもよく似合うと感じていた「今日も誰かの誕生日」と、冬晴れの日につい聴きたくなってしまう「冬来たりなば」が収められているのは、こちらの想像をはるかにこえるほどのご好評をいただいている『フリー・ソウル・キリンジ』。
「今日も誰かの誕生日」もSMAPに歌ってほしかったようなとびきりの名曲ですが、はっぴいえんどオマージュとしても素晴らしい堀込高樹のソロ名義曲「冬来たりなば」を聴くと、このコンピの選曲を完成させた2013年の大晦日に、冬晴れの東京を歩きながら口ずさんで、その前日に亡くなった大瀧詠一さんのことを思った記憶がよみがえります。

そしてSMAPの名唱でお馴染み「夜空ノムコウ」の、作詞者自身によるライヴ・ヴァージョンを収めているのが、僕の密かな自信作『フリー・ソウル・スガ シカオ』。
“ぼくの心のやわらかい場所を今でもまだしめつけられて”、20世紀の終わりの心象風景を、一年の終わりに重ねてしまいます。

来月は今回ご紹介したマイ・コンピ3作から、やはり冬に聴きたい以下の3曲も店内音楽としてセレクトしていますので、ぜひUNITED ARROWS green label relaxingでのショッピングに、足を運んでいただけたら嬉しいです。
①Original Love「二つの手のように」
②キリンジ「まぶしがりや」
③スガ シカオ「ココニイルコト」
また、クリスマス・イヴに出たばかりのYo-Seaの新曲「Wonderland」が、冬の特別なひとときに相応しい、メロウでロマンティックな、ヴァレンタイン・シーズンに向けたラヴ・ソングとしてとてもよかったので、セレクションに加えたいと思います。
④Yo-Sea「Wonderland」

それでは、2025年も素敵な「音楽のある風景」が訪れることを祈って、よいお年をお迎えください。
夜空のむこうには、もう明日が待っています。


橋本徹(SUBURBIA)が2024年に監修・選曲したコンピレイション
V.A.『Incense Music for Bed Room』
V.A.『Incense Music for Living Room』
V.A.『Legendary Free Soul ~ Supreme』
V.A.『Legendary Free Soul ~ Premium』
V.A.『Seaside Chillout Breeze』
V.A.『Sunset Chillout Breeze』
V.A.『Interior Music ~ Cafe Apres-midi meets ACME Furniture』

橋本徹(SUBURBIA)が2024年に取材を受けたインタヴュー記事
『Incense Music for Bed Room』特別対談 with 山本勇樹
『Seaside Chillout Breeze』特別対談 with 山本勇樹
『Legendary Free Soul』ライナー対談 with 山下洋
Free Soul 30周年記念インタヴュー with 柴崎祐二
【フリー・ソウル秘話】Free Soul 30周年記念対談 with 高橋晋一郎
「90年代のFree SoulとCity Popの関係」対談 with 栗本斉
「Free Soul 7inch Collection」リリース記念インタヴュー with 柳樂光隆
「シブヤ文化漂流記」インタヴュー
※マガジンハウス刊の女性誌『&Premium』の「カフェと音楽。」特集号に掲載された、カフェ・アプレミディの25年を店でかけていた音楽と共に振り返ったインタヴュー記事も、ぜひお読みください。
橋本徹さんの監修・選曲で2014年にリリースされた、90年代のOriginal Loveのグルーヴィー&メロウな名作群が大集合した人気コンピレイション『Free Soul Original Love 90s』
橋本徹さんの監修・選曲で2014年にリリースされた、キリンジのグルーヴィー&メロウな名作群が大集合した人気コンピレイション『フリー・ソウル・キリンジ』
橋本徹さんの監修・選曲で2018年にリリースされた、スガ シカオのグルーヴィー&メロウな名作群が大集合した人気コンピレイション『フリー・ソウル・スガ シカオ』

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橋本徹(SUBURBIA)

編集者/選曲家/DJ/プロデューサー。サバービア・ファクトリー主宰。渋谷の「カフェ・アプレミディ」「アプレミディ・セレソン」店主。『Free Soul』『Mellow Beats』『Cafe Apres-midi』『Jazz Supreme』『音楽のある風景』シリーズなど、選曲を手がけたコンピCDは350枚を越え世界一。USENでは音楽放送チャンネル「usen for Cafe Apres-midi」「usen for Free Soul」を監修・制作、1990年代から日本の都市型音楽シーンに多大なる影響力を持つ。最近はメロウ・チルアウトをテーマにした『Good Mellows』シリーズや、香りと音楽のマリアージュをテーマにした『Incense Music』シリーズが国内・海外で大好評を博している。

http://apres-midi.biz
http://music.usen.com/channel/d03/
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