連載コラム【音楽のある風景】 Vol.155

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2025.03.31 

グリーンレーベル リラクシングのBGMを選曲されている、選曲家の橋本徹さんより、コラム【音楽のある風景】が届きました。
どうぞお楽しみください!

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3月の選曲は、新たな“香りと音楽のマリアージュ”との素敵な出会いを求めて。
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桜も満開になり、春がやってきました。
とはいえ、まだ三寒四温という感じもあり、フレッシュな気分に心躍らせスプリング・ファッションを思いきり楽しむには、あと少し時間がかかりそうですが、皆さんいかがおすごしでしょうか?

最近の僕は、2025年ファースト・コンピとなる、“香りと音楽のマリアージュ”をテーマに心安らげる名作を集めた人気シリーズの第3弾『Incense Music for Dining Room』の制作が、佳境を迎えていました。
収録希望曲のアプルーヴァルをもう何曲か待っていることもあり、リリース予定を5/7に延期しましたが、完成まであとわずか。
先月ご紹介した、4/9に先行リリースされる中島ノブユキによるマイルス・デイヴィス「Flamenco Sketches」カヴァーのDJ Mitsu the Beatsによるリミックスに続き、5/16リリースの新録7インチ2枚もすでに入稿を完了して、最高に素晴らしい仕上がりになっていますので、今月はその2曲を推薦させていただこうと思います。

まずは、生前のNujabesがデモを聴いて、「自分が作っていると思うくらい、同じ感覚を持っている」と共感し、自身のレーベルでアルバム制作を持ちかけていたことでも知られる、アメリカ西海岸カリフォルニア拠点のプロデューサー/トラック・メイカーNitsua。
彼に新録カヴァーしてもらったのは、Nujabesのサンプリングや様々なカヴァーでも名高いモーダル&スピリチュアルなワルツ・ジャズ金字塔(もとはアレックス・ノース作の映画音楽の名曲です)、ユセフ・ラティーフの「Love Theme From Spartacus」。
僕の40年間のジャズ体験において極めて重要な一曲でもありますが、Nitsua本人にとってもきっと思い入れ深い曲だったのでしょう、彼らしい繊細でメランコリック・メロウな侘び寂びを感じさせる、心のこもった唯一無二の珠玉のトラックを作ってくれて、本当に感謝しかありません。

そして、昨秋コンパイルした『Sunset Chillout Breeze』のエンディングにも選んだ不世出の名ジャズ・ピアニスト、ビル・エヴァンスの永遠不朽の名曲「Peace Piece」を新録カヴァーしてくれたのはYAKENOHARA。
DJ/プロデューサー/ラッパーとして様々なフィールドで活躍し(独自の視点が冴える文筆業も)、近年はアンビエント〜チルアウト〜バレアリック系の作品も高く評価されている彼とは、去年の夏の終わりにCalmが主宰するサンセット・パーティー「Sunset The MARINA」で、UNKNOWN MEというアンビエント・ユニットでライヴをしているのを観て気に入って、急速に親しくなりました。
彼がその後、横浜の老舗ジャズ喫茶「ダウンビート」で開いているイヴェントに、僕のジャズ・リスナーとしての半生をたどる企画で、2回もトークショウに呼んでくれたので、こちらからも早く音源制作などをお願いしたいなと思っていたのですが、今回実現して、本当に嬉しい限りです。
しかも掛け値なしに素敵な、穏やかなアンビエント・フィールにほのかなダブ・フィールも心地よい素晴らしいヴァージョンが生まれていますので、ぜひ心待ちにしていてください。

この2枚の7インチ・シングルは、FJDのアートワークによるジャケットも素敵すぎるほど美しくて、僕はリリースに先駆けて(GWに間に合うように)、そのデザインをモティーフにしたポスターとポストカードの制作もお願いしてしまったほど。
ちなみにカップリング曲が、Nitsuaはブッダ・ブランド「ブッダの休日」のサンプリング・ソースとしても人気のジャジー&メロウでチルアウト・フィール気持ちよいジョー・トーマス「Coco」、YAKENOHARAはスチャダラパー「サマージャム '95」のサンプリング・ソースとしても人気のボビー・ハッチャーソン「Montara」への好オマージュとなるNOA NOA「Toucan」というのも最高ですので、楽しみにお待ちいただければと思います。

追記:
4月上旬からUNITED ARROWS green label relaxingのショップBGMに、以下の日本語詞の4作が加わります。
実はいずれも、僕のネクスト・コンピ『Summer-drive Chillout Breeze』(仮題)の新録カヴァー制作の顔ぶれを考えているときに、店内音楽としてもかけたいなと思い浮かんだ曲です。
春のショッピングの優しい友として、おすすめさせていただきたいと思います。
①lo-key design「熱帯夜」
②優河「Sunset」
③オレンジ・ペコー「やわらかな夜」
④サニーデイ・サービス「コーヒーと恋愛」
今春リリースされる“香りと音楽のマリアージュ”をテーマにした橋本徹さん選曲の新作コンピ『Incense Music for Dining Room』からのセカンド・シングル・カットとなる7インチ・レコード、Nitsuaによるユセフ・ラティーフの名作カヴァー「Love Theme From Spartacus」
今春リリースされる“香りと音楽のマリアージュ”をテーマにした橋本徹さん選曲の新作コンピ『Incense Music for Dining Room』からのサード・シングル・カットとなる7インチ・レコード、YAKENOHARAによるビル・エヴァンスの名作カヴァー「Peace Piece」
今春リリースされる“香りと音楽のマリアージュ”をテーマにした橋本徹さん選曲の新作コンピ『Incense Music for Dining Room』からのファースト・シングル・カットとなる7インチ・レコード、中島ノブユキによるマイルス・デイヴィスの名作カヴァーのナイス・リミックス「Flamenco Sketches (DJ Mitsu the Beats Remix)」
“香りと音楽のマリアージュ”をテーマに、心安らげるアンビエント〜ジャズ〜チルアウト〜バレアリカ〜ポスト・クラシカル〜ジャジー&メロウ・ビーツの珠玉の名作群が80分間にわたって紡がれ、美しいアートワークと素晴らしいマスタリングにより、生活の中で心地よくリラックスできる“音のアロマセラピー”のように繰り返し聴きたくなる至福のコンピ・シリーズ、その第3弾となる橋本徹さん選曲の素敵なコンピレイション『Incense Music for Dining Room』

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橋本徹(SUBURBIA)

編集者/選曲家/DJ/プロデューサー。サバービア・ファクトリー主宰。渋谷の「カフェ・アプレミディ」「アプレミディ・セレソン」店主。『Free Soul』『Mellow Beats』『Cafe Apres-midi』『Jazz Supreme』『音楽のある風景』シリーズなど、選曲を手がけたコンピCDは350枚を越え世界一。USENでは音楽放送チャンネル「usen for Cafe Apres-midi」「usen for Free Soul」を監修・制作、1990年代から日本の都市型音楽シーンに多大なる影響力を持つ。最近はメロウ・チルアウトをテーマにした『Good Mellows』シリーズや、香りと音楽のマリアージュをテーマにした『Incense Music』シリーズが国内・海外で大好評を博している。

http://apres-midi.biz
http://music.usen.com/channel/d03/
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