連載コラム【音楽のある風景】 Vol.166

MEN

2026.02.28 

グリーンレーベル リラクシングの店舗BGMを選曲されている、選曲家の橋本徹さんより、コラム【音楽のある風景】が届きました。
どうぞお楽しみください!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2月の選曲は、近づく春の足音にささやかな喜びを感じながら。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
三寒四温の日々の中で、少しずつ寒さも和らぎ、今年は桜の開花も例年より早そう
で、春の訪れが待ち遠しい今日この頃。
UNITED ARROWS green label relaxingのショップBGMも、3月半ばにはスプリ
ング・セレクションに衣替えする予定で、近づく春の足音にささやかな喜びを感じ
ながら、毎日の選曲に励んでいます。

先月のこのコラムで少しお伝えしました、早稲田大学・原知章教授による“編集によ
る文化の創造”をテーマにした単行本『渋谷カルチャー考現学──稀代の編集家・橋
本徹(SUBURBIA)ライフ・ヒストリー』
も、今日まさに、すべての本文原稿をい
ただいたところで、僕が決定的に音楽に夢中になり、カルチャーや編集にめざめ、
人生の転機となった大学時代(1986年~1989年)を扱った第3章
が、期間限定で
公開されましたので、 よかったらぜひ読んでみてください。

その章でも詳しく描かれていますが、僕が大学時代に最も影響を受けたのは、ピチ
カート・ファイヴの小西康陽さんでした。
1992年春にTOKYO FMで僕の選曲番組「Suburbia's Party」が始まったときに
は、パーソナリティーもお願いしましたが、番組ディレクターの二見裕志さんも含
め、僕らの間でその頃ヒットしていた言葉が、後に僕の人気コンピ・シリーズのタ
イトルともなる“Free Soul”です。
そのきっかけは、1991年にイギリスで編まれた『Free Soul - Essential Argo/
Cadet Grooves Vol.3』というコンピに収録されていた、テリー・キャリアーの名
曲「Ordinary Joe」に3人とも心打たれ、深く感銘を受けて、“Free Soul”という
言葉の響きにも強く惹かれたことでした。

胸を震わせる慈愛に満ちた歌声で、シカゴ出身の偉大なソウルマンとしてカーティ
ス・メイフィールドと並び称されるテリー・キャリアーは、その後1994年春に始ま
るFree Soulムーヴメントを象徴するアーティストのひとりとして、絶大な再評価を
受けていき、2014年にはFree Soul 20周年を記念して、僕のセレクトで『Free
Soul. the classic of Terry Callier』というCDも制作されます。
それは名プロデューサーのチャールズ・ステップニーと組んでいた1970年代前半の
名門Cadet期から、1990年代後半にジャイルス・ピーターソンの尽力でTalkin'
Loudから再起を果たして以降まで、レーベルの枠をこえた究極のオールタイム・ベ
スト・コレクションとなっていますので、ぜひともお聴きいただけたら嬉しいで
す。
ゲスト・シンガーとして彼がフィーチャーされた、ポール・ウェラー/ベス・オー
トン/Nujabesとの至高の共演も含む、愛と涙の半世紀におよぶ伝説のキャリアの
集大成になっていますので。

そう、僕は先週末開かれた「A TRIBUTE TO NUJABES」という追悼イヴェント
でも、テリー・キャリアー自身をヴォーカルに迎えたNujabesによる「Ordinary
Joe」の名カヴァーをスピンしました。
思わずDJブースで涙腺が緩んでしまったのですが、MCでフロアが超満員のたくさ
んのオーディエンスに、Nujabesが本当にテリー・キャリアーを心の底から大好き
で、来日公演の楽屋まで彼を訪ねて直談判して、このコラボを実現させたという音
楽愛あふれるエピソードを伝えることができて、とてもよかったなと思っていま
す。

追記:
3月半ばからUNITED ARROWS green label relaxingのショップBGMに、以下の
日本語詞の7曲が追加されますので、ぜひお楽しみください。
①ピチカート・ファイヴ「ベイビィ・ポータブル・ロック」
②EPO「う、ふ、ふ、ふ、」
③土岐麻子 sings with EPO「Gift ~あなたはマドンナ~」
④Michael Kaneko feat. ハナレグミ「RECIPE」
⑤大橋トリオ「そんなことがすてきです。」
⑥藤井風「真っ白」
⑦藤原さくら「My summer」
Free Soulムーヴメントを象徴するアーティストのひとりであり、胸を震わせる慈愛
に満ちた歌声で、カーティス・メイフィールドと並び称されるシカゴ出身のソウル
マン、テリー・キャリアーの名作群をレーベルの枠をこえて集めた究極のオールタ
イム・ベスト・コレクションとして、橋本徹さんが2014年に選曲した絶品コンピレ
イション『Free Soul. the classic of Terry Callier』
テリー・キャリアー自身をヴォーカルに迎えた名曲「Ordinary Joe」の素晴らしい
カヴァーも収録された、今なお世界的に熱い支持とリスペクトを受け、温かい讃辞
の声がやまない日本を代表する名サウンド・クリエイター、故Nujabesが主宰した
Hydeout Productionsのすべての音源から選び抜かれた、橋本徹さんが2014年に
セレクトした決定版コンピレイション『Free Soul Nujabes ~ First Collection』

─────────────────────────
橋本徹(SUBURBIA)

編集者/選曲家/DJ/プロデューサー。サバービア・ファクトリー主宰。渋谷の「カフェ・アプレミディ」「アプレミディ・セレソン」店主。『Free Soul』『Mellow Beats』『Cafe Apres-midi』『Jazz Supreme』『音楽のある風景』シリーズなど、選曲を手がけたコンピCDは350枚を越え世界一。USENでは音楽放送チャンネル「usen for Cafe Apres-midi」「usen for Free Soul」を監修・制作、1990年代から日本の都市型音楽シーンに多大なる影響力を持つ。最近はメロウ・チルアウトをテーマにした『Good Mellows』シリーズや、香りと音楽のマリアージュをテーマにした『Incense Music』シリーズが国内・海外で大好評を博している。

http://apres-midi.biz
http://music.usen.com/channel/d03/
8 件