ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること

全国の優れたスタッフの一人に。 店舗を盛り上げる販売員と教育係を両立するキャリアの作り方。

ヒト

2024.04.05

全国の優れたスタッフの一人に。 店舗を盛り上げる販売員と教育係を両立するキャリアの作り方。

販売員を対象としたロールプレイング大会の中で歴史の長い「SC(※)接客ロールプレイングコンテスト」(一般社団法人 日本ショッピングセンター協会が運営)が今年も開催されました。その名の通り、全国のショッピングセンターで働く、優れた接客スキルを持つスタッフを選出する大会。今回、全国大会には、〈ビューティー&ユース ユナイテッドアローズ〉なんば店(現:大阪店)から春田 圭一郎さんが出場しました。優秀賞を獲得した春田さんに、これまでのキャリアや接客で大事にしていること、全国大会までの軌跡をインタビューしました。
(※)SC:ショッピングセンターの略

Photo:Yuco Nakamura
Text:Hisamoto Chikaraishi[S/T/D/Y]

お客さまの今の気分や着たいシーンを、楽しい会話から一緒に見つけたい。

─入社してからこれまでのキャリアを教えてください。

2014年に入社して最初の3年は、大阪のグランフロント大阪にある〈ビューティー&ユース ユナイテッドアローズ〉(以下、BY)大阪店で販売スタッフをし、その後、なんばシティにある〈BY〉なんば店に異動して7年間在籍していました。その中で、店舗スタッフの人材育成を担う教育リーダーの役割を担当していました。そして先日、〈BY〉大阪店に戻り、現在に至ります。接客の仕事が好きなので、ずっと店舗のスタッフとして働いています。今回の「SC接客ロールプレイングコンテスト」(以下、SCコンテスト)は、なんばシティのなんば店スタッフとしてエントリーしていました。

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─お店でのお仕事の内容を教えてください。

接客に携わりながら、スタッフのOJT(オンザジョブトレーニング)として後輩スタッフに「もっとこうした方がいいね」「あの接客、よかったね」とアドバイスをしたり、弊社は先輩と後輩がペアになって仕事について相談できるエデュケーター制度というのがあるのですが、その様子をヒアリングして、コミュニケーションを円滑にできるよう相談に乗ったりしています。また、先輩や上司と「これからあの人の育成をどうしていきましょうか」「お店の販促のためにどんなことを取り組みましょうか」と、店舗運営にまつわる専門的な話し合いにも参加しています。私個人としては、接客を極めたくて、社内制度にあるセールスマスター認定(ユナイテッドアローズ社(以下、UA社)の優れた販売のスペシャリストに授与する称号)を目指して、日々奮闘しております。

─普段の接客で心がけていること、大事にしていることはありますか?

これまで経験してきたことから言えるのは、お客さまと一緒に、今欲しいものはどんな服なのか、またはシーンや気分を踏まえてどう着たいかを考えることが大切だと考えています。今までは接客をうまくやろうと意気込んだり、商品の良さを伝えるだけになってしまったりしていました。

一方的におすすめするのではなく、今日対応してもらった春田という店員がいたから、この服が買えたということを思ってもらえるように、頭をフル回転させながら真剣に接客について考えています。と言いつつ、なによりお客さまと服選びを一緒に楽しむスタンスでやっております。

全国大会という広い世界に出て、自分の改善点と強みがわかった。

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─今回のコンテストに参加するきっかけは何だったのでしょうか?

接客を極めるために他の店舗も見たいという経緯でなんば店に異動したのもありまして、約7年前のそのタイミングでコンテストにも興味を持ちました。当時はキャリアも浅かったので、「まずは何でもやってみる」というスタンスで、出てみました。その時は館内予選までしか進めなかったのですが、それまで諸先輩方に教わってきたことを実践したら、「やっぱり〈UA〉さんってすごいですね」と言われたのがうれしかったんです。

接客が好きということと、今までやってきたことは間違っていなかったというポジティブな体験が最初にあったので、コンテストに挑戦したいと思うようになりました。また、自分のコンテストの様子の動画を見て勉強して、気になるところを改善して思考錯誤としていくうちに、やっぱりこのコンテストで大賞を獲得したいという欲が出てきたという理由もあります。

ちなみに、SCコンテストは、店舗(テナント)単位ではなく、ショッピングセンター単位で参加する大会で、ショッピングセンター内予選から始まります。その後は、ショッピングセンターの本選、地区大会、大阪ですと近畿大会そして、今回参加した全国大会というステップを進みます。

─全国のショッピングセンターのトップ販売員を決める大会なのですね。春田さんのこれまでの成績は?

私は、近畿大会に進めたのは今回を含めて4回。全国大会は今回が初めてです。入賞できたのは、サポートしてくださったデベロッパー「なんばシティ」の方々や〈BY〉 なんば店の先輩後輩、本当にみなさんのおかげです。

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─初めての全国大会で健闘されましたね。

とてもうれしかったです。でも、まだまだです。今回、自分の中で心残りもありましたが、改善点も見つかりました。お客さま役の方とお話しする時間やご紹介できるアイテムが限られている中、自分が言いたいことを言ってしまったのですが、やっぱりお客さま自身が〈BY〉の洋服を着てどうなりたいのかを、もう少し聞き出せたらよかったなと。改めて、お客さまの話を自然に引き出すのが大事だと思いました。過去2回地区大会に出て、コンテスト独特の空気感や、デベロッパーの外に出て実力のあるいろいろな方を見て、さらに今回全国大会に参加できて学びも多かったですし、自分の強みも改めて客観的に感じました。

─今回気づいた改善点と強みとは何でしょうか?

改善点としては、ブランドディレクターのこだわりが詰まった商品を勉強して、愛着や愛情を自分で感じることで出てくる言葉をうまく伝えられるようになりたいです。洋服屋として当たり前のことですが、初心に返ってもう一度接客の姿勢を見つめ直したいと思いました。全国大会で大賞を獲得した方や部門優勝された方たちはみなさん、接客が上手であることはもちろん、際立ったキャラクターや個性も大事だと感じました。披露している応対を見て、私自身「この人のお店に客として行ってみたい」と興味を持ちました。自分は読書や芸術鑑賞が好きで、接客の際に本で読んだエピソードを話したり、着こなしの雰囲気をゴッホに例えたりするんです。すると、お客さまも面白がってくれることが多いので、そういった自分の個性をもっと伸ばせればアドバンテージが生まれると思えました。

販売員の魅力は、好きなことを余すことなく生かせるところ。

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─全国大会で披露した「甲辰(きのえたつ)」のエピソードは面白かったです。お客さまの役の方も「え?」って耳を傾けていましたね。

そうですね。「甲辰」(2024年の十干十二支。)は年末にちょうど仕入れた話で、グリーンのニットを着たお客さま役の方の着こなしを辰年の龍に例えさせていただきました。洋服屋で働く人は服について話せることは当たり前なので、それとは別に注目を引くフックを意識しています。「今、何言いました?」と聞き耳を立ててもらえるような、時事ネタや話を本から取り入れています。私は大阪人なので、自分の言葉で笑ってほしいという思いもあって、大笑いでなくても面白がってくれたらいいなって。そこは接客においてけっこうこだわっています。個人的に、販売スタッフのいちばん面白いところは、本を読んだり体験したりしたことを、次の日にはお客さまとの会話に生かせること。自分の好きなモノやコトが、仕事に余すことなく生かせることが楽しくて、店頭に立ち続けているというのはありますね。

─フレーズとしてすごく印象に残りました。また、コンテストの対策として日々の勉強のほかに、本社でのトレーニングにも参加されたんですよね。

はい。全国大会の一ヶ月前くらいに1度、東京の本社に来て〈BY〉のディレクターと行いました。ひとつは、このコンテストでもユナイテッドアローズ社の魅力を発信したかったので、2024年春夏の新商品を先立って見せていただきました。今季のムードを掴んで、ロールプレイングの中で相手に伝えられたらと。もうひとつは、全国大会に持っていくアイテムの選定を話し合いました。ステージ上に陳列するアイテムは限りがあるので、今季のムードを踏まえながら、さまざまな接客の流れを想定して、セレクトしました。こういった経験も、この大会にでることでできた貴重な体験だったと思います。

「メガネが本当に似合っている人、あだ名が“メガネ”にならない説」。

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─仕事で大事にしている愛用品を教えてください。

今かけている〈金子眼鏡〉のメガネです。実は伊達メガネなんです。最初は、入社した当時に流行っていたシティボーイのスタイルが好きで真似していました。次第にメガネが自分としても板についてきて、自分がずっと思っている「メガネが本当に似合っている人、あだ名が“メガネ”にならない説」を目指そうと思って、かけ続けています(笑)。

─あだ名は“メガネ”になっていないですか?

それが、そんなに“メガネ”と言われたことないんです(笑)。店頭で唯一の“メガネ”でも、当日お戻りになるお客さまには「セットアップの方、いますか?」と言っていただいたり。

─似合っている証ですね。

あと、メガネをかける理由として、照れ隠しもありました。私は人と話すことは好きなのですが、ちょっと人見知りが出ることも。でも、メガネ一枚を隔てることで、落ち着くことができたんです。現在持っているメガネは、〈金子眼鏡〉とヴィンテージを数個。私の顔の作りが、目鼻立ちがくっきりしている方なので、情報量を減らそうと思い、ノーズパッドがない一山式にこだわっています。

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もう一つは気になったことを書き留めておくメモ帳です。ミーティングの内容やコーチングのポイント、あと本社でのトレーニングの時も使っていたのですが、商品の魅力や当てはまるシーンなどを絵で描いて記録しています。文字より絵のほうが覚えやすく、アウトプットもスムーズです。

プレーヤーとして、マネージャーとして高みを目指したい。

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─最後に、今後の展望をお聞かせください。

今までプレーヤーとして得てきたいろいろな経験を、後輩の育成に生かしていきたいと思っています。教育リーダーとして、その人が思い描くキャリアの道筋をサポートしていけたら。また、今回の全国大会で優秀賞は獲得できましたが、やっぱりまだ悔しいので、プレーヤー兼マネージャーとして、仲間たちと一緒に伴走しながら、個人の結果も追い求めていきたいと考えています。

PROFILE

春田 圭一郎

春田 圭一郎

2014年に入社し、ビューティー&ユース ユナイテッドアローズ大阪店へ配属。約3年勤務した同店から、なんば店に異動。EL(Educational Leader=教育リーダー)としてキャリアを進め、後進の育成などの店舗の教育面を担う。7年在籍したなんば店から再び大阪店へ。「SC接客ロールプレイングコンテスト」への参加歴は7年。これからも大賞の獲得を目指し、日々の研鑽に努めている。

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