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「スタッフオブザイヤー2024」ファイナリストに聞いた、接客コンテストに参加する意義

ヒト

2024.10.21

「スタッフオブザイヤー2024」ファイナリストに聞いた、接客コンテストに参加する意義

約1300のファッション・アパレルブランド、全国8.5万人が参加する、令和のカリスマ店員を決める接客コンテスト「STAFF OF THE YEAR 2024」。ユナイテッドアローズ社からファイナリストとして勝ち上がったのは、「ユナイテッドアローズ 新宿店」の仲 希望さん、「ユナイテッドアローズ グリーンレーベルリラクシング 自由が丘店」の栗本朋香さん、「ビューティー&ユース ユナイテッドアローズ 福岡店」の村尾鋼紀さんの3名。その中で見事に「ユナイテッドアローズ グリーンレーベルリラクシング 自由が丘店」の栗本朋香さんがグランプリを受賞。昨年に引き続き2年連続でユナイテッドアローズ社からグランプリ受賞者が選出されました。コンテストに参加したきっかけや今までの接客業で意識してきたこと、コンテストを経て感じたことなど、販売職に対する想いを3名に伺いました。

Photo:Masashi Ura
Edit&Text:Shoko Matsumoto

販売員の奥深さを感じながら挑んだ接客コンテスト。

—「スタッフオブザイヤー2024」に参加したきっかけを教えて下さい。

仲「周りからの強い推薦があり参加しました。昨年がすごくしんどかったので、もう同じ苦労をするのは嫌だなと思ったのですが、〝ひとりでも多く参加できる可能性があるのなら、出るべきだ〟と言われて。〝あなたには出られる可能性がある〟という言葉に、自分でもたしかにファイナルに残れる可能性があるなと思い決めました」

栗本「わたしも本音としては出場したくありませんでした。昨年もチャレンジしたのですが、ファイナルに進めなかったからです。昨年がむしゃらに取り組んだにも関わらず、出られないという現実を目の当たりにして。でも、DXセールスマスターという制度に認定していただいていて、それで断るのはしのびない。今年が絶対に最後だという思いで出場しました」

村尾「僕も、今年DXセールスマスターに認定してもらったことがきっかけです。また、これまでロープレの大会や、館の大会に出たことなかったので、いい経験になるかな、成長できるかなと思い、参加を決めました」

画像 「ユナイテッドアローズ 新宿店」仲 希望さん

—今まで接客業を続けるなかで、意識してきたことはありますか。

仲「入社してからずっと変わらないのは、〝目の前のお客様大満足〟という理念に併せて〝目の前のスタッフも大満足〟ということ。わたしも周りの人たちも楽しく働けて、それをお客様に感じていただければ、きっとお洋服を着ることも楽しくなるはず。それはずっと変わらずに思っていることです」

村尾「正直に言うと、僕はそんなに意識していることはなくて。口数が多いほうではないですし、人前に出るのも不得意。だから、自分が前に出る接客はしないようにしているのと、性格上できないというのがあります。まだ、経験が浅いので、そのくらいでしょうか」

栗本「今回、出場して改めて思ったのですが、接客業に完成はないんだなと。お客様それぞれの背景があってご来店いただいて、それを汲み取れる販売員が接客するかどうかで、お客様の人生そのものを大きく変えてしまう可能性があるんだなと。毎日店頭に立つなかで、お客様の人生の分岐に立ち合うことが非常に多く、販売員という仕事の奥深さを感じています」

データを分析しながら、お客様の要望に的確に応える努力。

画像 「ユナイテッドアローズ グリーンレーベルリラクシング 自由が丘店」栗本朋香さん

—ご自身がファイナリストに選ばれた大きな要因はどのようなところだと思いますか。

仲「一次二次審査がスタイリング投稿での実績だったので、この一年間日々意識して積み重ねてきたことの結果がそのまま表れたかなと思っています。より審査中は、今お客様が求めていることは何だろうと、一日中お客様のことを考えていたなと思います」

栗本「昨年と同じ戦い方はできないとわかっていたので、お客様のモチベーションに合わせたスタイリング投稿をするということはもちろん、予想だけではなくデータを活用して、お客様がお気に入り登録に入れているけれどスタイリングやボイスというリコメンドが投稿されていない商品の足らない情報を、わたしがスタイリングを投稿していくという形で補いました。そうやって昨年できなかったことを実践したことで、売り上げも比例して伸びたというところが、出場に繫がったと思います」

画像 「ビューティー&ユース ユナイテッドアローズ 福岡店」の村尾鋼紀さん

—すごく分析して挑まれたんですね。

栗本「分析ツールを会社で用意してくださっていたのです。今までは、その活用が浸透しきっていなかったのですが、今季わたしと仲さんはデジタルマーケティング部でダブルジョブをおこなっているので、より効率的に生産性高く販売率を上げていくという視点を持てるようになりました」

仲「昨年、二次審査で一位通過できなかった理由のひとつに、セールが落ち着いてからの立ち上がりがすごく弱かったなという反省がありました。今回は新ブランド〈conte(コンテ)〉のオープンがあり、注目されるブランドが立ち上がりにできてくれたことで、そこの実績を取れたのも大きかったと思います」

栗本「わたしと村尾さんは、今季から初めて審査に加わったミステリーショッパーの点数で満点をいただくことができました。今回のスタッフオブザイヤーの選考ポイントが、よりリアル接客にも重きを置いてくださったおかげなのかなと感じています」

村尾「おふたりと同じで、スタイリングダッシュボードというデータを活用できて得点を伸ばせたことが、二次を突破できた要因かなと思っています。セミファイナルからは、先ほど栗本さんがおっしゃったミステリーショッパーで満点を取れたことが、ファイナルまで残れた要因だと思います」

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—当日のコンテストの感想をお願いいたします。

仲「昨年は会社でひとりしか出場できず、練習期間も気持ちを共有できる人がいなくて孤独だったのですが、今回は3人で出場することができ、当日の控え室もそうですが、昨年以上に楽しかったです。今年はトーナメント方式でしたが、2回目の出場ということもあり、絶対に空気に飲まれないぞという強い意思で過ごしました」

栗本「仲さんもおっしゃったように、ひとりだけではなく、同じ会社の仲間3人で乗り込めることが心強かったです。また、ファイナリストのみなさんに会う前の7月19日に、バニッシュ様が主宰してくださったグリーディングデイがあり、二次を通過した30人が集まったんですよ。そこで他社の方とインスタを交換したりして。この一番しんどかったファイナルステージまでの期間を、いろんな企業の方の戦い方、がんばりや奮闘をSNSで見て、その方たちの人となりがわかった状態で控え室に行けたので、緊張感もそんなにありませんでした。〝やっぱりあのこかわいいな〟とか思いながら、その場を楽しめたかなと思います」

村尾「栗本さんや仲さんもそうですが、お会いしたのは前日が初めて。ファイナリストの方々も含め、初めて尽くしだったので、緊張するかなと思ったのですが、おふたりのおかげで気負わずにファイナルに参加できました。自信を持って参加できたというのもありますし、それが自分でも意外だなと思ったのが印象的でした」

—自信を持って参加できたのはなぜでしょうか。

村尾「練習していただいた方が、昨年のチャンピオンである仲さんと、結果的に今回の優勝者になった栗本さんで、すごくレベルが高かったんです。それにできることはやり切っていたので、自信に繫がったのだと思います。すごく心強かったです」

仲間の支えがあって受賞できたグランプリ

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ー今回、栗本さんが見事グランプリに輝きました。率直な感想をお聞かせください。

大会直後は、最後まで走りきれた!の気持ちが大きく、グランプリをいただいた実感があまりありませんでしたが、お店のメンバーをはじめ、お客様まで泣いて喜んでくださったり、たくさんの方々が声をかけてくださって、 皆さんが喜んでくださる姿を見て、じわじわと実感してきています。
大会期間中はとても苦しい日々でしたが、いつもお店を守ってくれている仲間の姿を思い浮かべると、
絶対にファイナルに行かなければいけない!みんなのために結果を出したい、と自分を奮い立たせることができました。  
今回このようにグランプリをいただけたのも、所属や業態を超えて多くの方々がサポートしてくださったおかげでしかありません。皆さんといただけた賞だと思っています。
ユナイテッドアローズが大切にしてきた店頭接客にオンライン接客を掛け合わせていくことで、
もっとお客様に喜んでいただくことができ、ファンになっていただける方を増やし続けられると思っています。これからも同じ想いを持つ仲間と一緒に日々取り組んでいきたいと思います。
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会場にはたくさんの応援団が見守っていました。


コツコツ続ける地道な努力は、必ず実を結ぶ。

—今回のコンテスト中、長い期間だったと思うのですが、気をつけてきたことはありますか。

仲「一日一日を大切に、後悔する日を作りたくないので一日も気を抜きませんでした。毎日全力でやってきたなとは思っています。仕事も翌日に残さないですし、その日中にやりきるというのは、明日も当たり前に生きているとは思っていないからでしょうか(笑)」 

栗本「わたしも今年が最後と決めていましたし、絶対にファイナルに行くぞという気持ちで始めたので、後悔しないよう一日も気持ちを途切れさせることなく過ごしました。朝起きられなくてスタイリングを撮れないということがあったら絶対に嫌だったので、毎朝いつもよりも早起きをして、スタイリングを撮りにいって。もちろん体も心もきつかったんですが、とにかく体調管理にはいつも以上に気をつけましたし、気持ちという面では、仲さんを近くで見ていたのが、わたしにとっては刺激でしかありませんでした」

仲「この話になると泣いちゃうんでやめてください(笑)」

栗本「5月からダブルジョブで仲さんの姿を近くで見るようになり、チャンピオンになる人、実績で一番を取り続ける人ってこういうことなのか、と。昨年、自分なりにがんばって、太刀打ちできないと思っていたけれど、努力も足らなかったんだなというのはすごく思いました。一位の人がこれだけやっているのなら、自分はさらにやらなきゃと思って。仲さんの姿を見ながら、自分のおしりを叩いて鼓舞できたかなと思います。あとは、店長なのにスタッフオブザイヤーに傾倒して店のことをスタッフに任せていたので、これでファイナルに出られなかったら、スタッフに向ける顔がないというのも、自分の固い意志でありました」

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村尾「僕は初めてだったので、どこまでいけるか、不安なところがありました。おふたりや一緒に参加している他の方々に比べてフォロワー数も少なく、いろいろなことが劣っていて。それでもファイナリストに残るにはどうすればいいかと思い、スタイリングの投稿数を高めたというのが、このコンテスト中に気をつけたことです。月で100件以上は投稿するようにしました。投稿することでひとつでも売れれば実績に繫がるし、実績に繫がれば残る可能性も高まるな、というのは意識してやっていました」
仲「他店の多く撮っているDXセールスマスターで50〜60投稿くらいですから」
栗本「その倍なので、本当にすごいことだと思います」

—「スタッフオブザイヤー2024」を終えて、改めて接客に対する意識の変化はありましたか。

栗本「歴を重ねてくると、なかなか自分自身の接客に向き合う機会を作ることができません。今回、ロープレの練習を重ねていくなかで、プロのアスリートがずっと練習をし続けるように、プロの販売員もこういう鍛錬を怠ってはいけないなと思いました。また、最後にアンミカさんの総評でもお話があったように、時代によって接客スタイルの流行があるけれど、お洋服をおきざりにしてはいけないということ。どうしても、共感性を高めたり気持ちを汲み取るための会話がここ最近は重視されているのかなと思うけれど、お客様はお洋服を買いに来ているのだから、お客様に最適なものや気分があがるもの、そして作り手の思いなどを伝えていかないといけない。そういう本質的なところを忘れてはいけないなと改めて気付くことができました」

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仲「わたしも同様で、トレーニングしている時は、お客様が心で思っていて声に出さないことは聞いて差し上げてご提案しなければと、ロープレが終わった段階では思っていました。でもアンミカさんがおっしゃった、〝触ってもえらえないお洋服がかわいそう、お洋服の声を聞いてあげてほしい〟という言葉がすごく心に響いて。どんなお洋服があるのかをきちんとお見せしたうえで、お客様におすすめする必要があるなと思いました」

村尾「僕は日々接客していて、だんだんと慣れてもきて、業務的になりがちだったんですよね。それで接客ロープレバトルで負けて、やっぱり店頭での接客が大事なんだと改めて思いましたし、この業界はそこをきちんと重視しているんだなと。仲さんや栗本さんを見ていると、日々のコミュニケーションの取り方や接客のマインドなど、すべてに繫がっているんだなと感じました。僕はそこまで人間力が高くないぞ、だから勝てなかったんだなって、本当に思ったんですよね。だからもっと接客を頑張ろうと思いました。それから、僕もアンミカさんの言葉には感銘を受けました。ステージで、僕はヒアリングばかりしていたので、会社の先輩方はじめ色々な方も、〝洋服のことも接客に取り入れたほうがいいよ〟と言われて。そこも今後意識していければと思いました」

同じ目標に向かって切磋琢磨する仲間がいるから頑張れる。

—最後に、この大会を目指す後輩たちへ、メッセージをお願いします。

栗本「DXセールスマスターと店頭の両立はすごく大変です。お店の中でも、ちょっと肩身が狭い思いでDXをやっているメンバーがいたりすると思うんですが、やっぱりどちらも大切。常にお客様と店頭で向き合うことで、DXの力もついていくと思いますので、両方コツコツ続けること、途中で辞めないことが大切だと思います。あのステージにいる人たちを見ていると、本当に誰もがそうだったので。あとは仲間を見つけるといいと思いますね」

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仲「わたしも栗本さんと一緒です。やっぱり近道はなくて、日々の積み重ねと諦めない気持ち。根性論みたいになってしまいますが、今回この大会に出場していたのは入社暦も年齢も違う人たち。日々の積み重ねと諦めない気持ちさえあれば、簡単ではないですが誰でもファイナルステージにあがれる可能性があり、自分の人生を変えるきっかけにもなるような気がします。もしかすると、わたし自身〝あの大会に出るとこんなに大変なんだ〟と思わせてしまったかもしれないけれど、やってみてよかったと思っているんです。なので、挑戦してみたいという方がいらっしゃるなら、全力でサポートしたい。ぜひトライしてもらいたいです。」

栗本「千本ノックみたいに練習を繰り返しましたよね。すごく楽しかったです」

村尾「やり続けたらこんな僕でもいい経験をさせてもらったので、続けることはすごく大事だなと思いました」

仲「わたしは昨年グランプリを受賞して、今回は獲ることができなかったので、いろんな方にご心配をおかけしているかもしれないのですが、今回栗本さんが受賞されて、納得させられるだけの努力や思いがすごく伝わってきて、心から祝福しています」 

栗本「わたしと村尾さんは、仲さんがいたからこそ乗り越えられたんですよ」

仲「アドバイスし合いながら、この4月からみんなで切磋琢磨してこられたなと思います。わたしはこれからも、変わらずこのままいきそうな気がするので、村尾さん、来年もグランプリ目指して頑張りましょう!」

村尾「頑張りましょう!」

栗本「10年後も出場し続けている姿が容易に想像できる仲さんに、一生ついていこうと思います」

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PROFILE

「ユナイテッドアローズ 新宿店」仲 希望

「ユナイテッドアローズ 新宿店」仲 希望

2003年ユナイテッドアローズ心斎橋店に入社。移動を繰り返し、新宿店で10店舗目。その間に7年ほど産休、育休を挟み、現店舗店では5年目になる。今年社内で唯一のDXセールスマスタープラチナに認定。

「ユナイテッドアローズ グリーンレーベルリラクシング 自由が丘店」栗本朋香

「ユナイテッドアローズ グリーンレーベルリラクシング 自由が丘店」栗本朋香

2010年新卒で名古屋地区入社。その後静岡に勤務。2015年自由が丘店のオープニングで店長に。都内・渋谷を経験して、再び自由が丘に。店長職に再任して2年前ほど経つ。今年DXセースルマスターゴールドに認定。

「ビューティー&ユース ユナイテッドアローズ 福岡店」村尾鋼紀

「ビューティー&ユース ユナイテッドアローズ 福岡店」村尾鋼紀

2021年に新卒でBY福岡店に入社。販売歴3年2か月。今年最年少でDXセースルマスターブロンズに認定。

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