
ヒト
2022.04.14 THU.
謙虚さを忘れず最強を目指す。一年生販売員から見た風景。
2021年に入社し、〈ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ〉新宿ウィメンズストアで販売員一年目を送る青田 美桜さん。幼い頃から好きな服に囲まれ、溢れる情熱と天性の人懐っこさから、同僚や顧客からも愛されている。さらに、その優秀な働きぶりが認められ、社内の「新人賞」を受賞。「人を成長させてくれるこの場所で、“最強の自分”になりたいんです」と控えめに語る彼女が見つめる、新人アパレルスタッフの現在と未来を追いかけました。
Photo:Taro Hirayama
Text:Hisamoto Chikaraishi(S/T/D/Y)
会社の経営理念を見た瞬間、
「わたしと同じ!」と思った。
―青田さんがアパレル業界を志したきっかけを教えてください。
物心ついたときからお洋服が好きで、家族で百貨店に買い物に行くのが好きな子どもでした。アパレル業界で働いていた母と、ファッション好きの父の影響をとても受けていたと思います。幼い頃から自分でその日のコーディネートを考えたり、母が買ってきた服が気に入らないと全く着なかったり、いま思えば自分の見せ方に強いこだわりがあったのかもしれません。それから、高校生、大学生になってもお洋服が変わらず好きで、いざ将来のことを考えたときに、好きなものに携われる仕事を目指そうと思いました。
―アパレルの会社に入ろうと決めたときに、なにか準備はされましたか?
お洋服に対する“好き”という気持ちを確かめるためにも、まずアルバイトで販売員を経験しようと、あるファストファッションのお店で働きました。学生のわたしにしてみたら、想像以上の業務量と時間に追われて大変だったのですが、接客をする中で、やっぱりお洋服の仕事に携わりたいと想いが固まりました。
―では、数ある企業の中からユナイテッドアローズ社に入りたいと思った理由を教えてください。
アルバイト時代は充実していたのですが、業務において回転率を上げることが重要とされていました。もちろん業務スピードは重要ですが、ただわたしはもっとお客さまと話す時間や要望にお応えしてコーディネートを提案させていただく機会を大切にしたかったんです。「この方がなにを求めて、いまこのお店にいらっしゃっているのか」を考えて接客をしたかった。そう考えたときに、いろいろな商品を取り扱い、幅広い層の方が利用するセレクトショップがわたしには向いていると思いました。
中でも、ユナイテッドアローズ社の経営理念と、特に「すべてはお客さまのためにある」という社是を聞いて、アパレル業界で働くわたしが求めていた想いとぴったりはまって「ここに入りたい!」と思いました。
店頭での業務を通じて
“人としてどうあるべきか”を学べる。
―自分が大事にしていた想いと会社の経営理念が合致したら、もう入るしかないですね! 入社して一年が経ちますが、働いてみていかがですか?
はい、無事入社できて嬉しかったです。いまはまだできないことばかりですし、まわりの先輩たちが凄すぎて必死に勉強をしているところです。入社の前に2カ月間だけ、いま働いている〈ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ〉新宿ウィメンズストアで先行アルバイトをさせていただいていたのですが、社員として働いてみて表と裏でギャップがなかったことに驚きました。
「裏と表がない」とはどういうことでしょうか?
これまで、高校や大学など、オープンキャンパスなど一時的に中に入ってみると在学生も校舎もキラキラして見えていたけど、実際生徒になってみるとイメージとちょっと違った…ということも結構あったんです。ですが、このお店ではずっと変わらず、皆さんがお客さまにも同僚にも感謝の気持ちを忘れずに働いていて、プロとして高い志を持たれています。
わたしがアルバイトとして働いているときは、バックルームでストックの整理くらいしかお手伝いができなかったのですが、裏に入るたびに先輩の皆さんが「ありがとう」と声を掛けてくれるんです。それにすごく感動しました。これから長い間仕事をしていく中で、“どういう人間になっていくか”を考えていくべきだなと気付かされました。
―素敵なコミュニケーションですね。
はい。昔から人に尽くせる人や感謝を言葉にできる人になりたいと思っているので、そういう素敵な先輩方の下で働くことで、人として成長できると思います。
―販売員同士の良い関係は、お店の雰囲気となって、きっとお客さまにも伝わっていると思います。青田さんが販売員として大切にしていることはなんですか?
お客さまより先に自分が心を開くことです。新宿という土地柄もあってか、さまざまなお客さまがいらっしゃいます。例えば、話し掛けられることが苦手な方、パートナーへの贈り物を買いに来た男性など。わたしは話を聞くことが好きなので、相手の気持ちを汲み取ろうと聞くことに意識が向いていたのですが、あるとき先輩から「自分のことを話さないと、お客さまも心を開いてくださらないよ」とアドバイスをいただいたんです。
それから、声を掛けるときに「わたしもこうなんです」とプライベートの話をすると、お客さまも一気に心を開いて、探しているお洋服のイメージなどを話してくださるようになりました。
―青田さんの接客を見ていて、お客さまとの距離がぐっと縮まるのを感じました。そんな青田さんが、いまお店を盛り上げるために考えていることはありますか?
お店に貢献する方法はいくつかあると思います。接客やスタイリングの提案やSNSの発信などさまざまな道がある中で、いまの自分がいちばんお店に貢献できる近道は、“バックルームの回転率”と“売上“かなと思っています。わたしがストックの整理に裏に入ることが多いので、自分が中心となって効率よく作業しながらお客さまとの信頼関係を築いて、より多くの方にお買い物を楽しんでいただけたらいいなと考えています。
休日は理想の餃子を求めて、お店巡り。
―お話は変わってプライベートについてお聞きしたいのですが、青田さんの趣味や息抜きの方法があれば教えてください。
わたしは家でじっとしていられないタイプで、常に誰かと会って話しています。友人からは「一日中元気だね」とよく言われます。あと、食べることが好きで、いまは餃子にハマっています。可能なら毎日食べたいくらいです。京都から上京して6年経つのですが、まだまだ東京を開拓できていないので、最近はお休みの日にはインスタで見つけた気になる餃子屋さん巡りをしています。まわりに餃子好きの子がいないので、嫌がられない程度に説得しつつ(笑)。そして、行ったお店は必ず写真を撮って記録しています。
―すごい量ですね。最近気に入ったお店を教えてください。
代々木上原にある中華屋さんの「白龍」。モチモチ系よりカリッジュワ系が好きなので、かなり好みな味でした。すでに有名店のようなのですが、とても美味しいのでぜひ行ってみてください。
―お洋服への情熱に負けず劣らずの熱量を感じました。また、ONとOFFを切り替える方法はありますか?
もともとお洋服を見たり買ったりすることが気分転換だったのですが、いまは仕事にもなっているので、特に意識することはないですね。ただ、その分仕事でメリハリをつけるようになったと思います。「店頭に立つときは集中する」「バックルームで同僚とコミュニケーション取るときはしっかり話す」「休憩のときはちゃんと体を休める」など。
先輩一人ひとりから吸収して
“最強の販売員”になりたい。
―特に目標としている先輩はいますか?
新宿ウィメンズストアの先輩方は本当にすごすぎて、皆さんを尊敬しています。なので、それぞれの「真似したい!」と思うところを目にしたら盗んでいって“最強の自分”になりたいと思っています。
―カッコいいですね。では、最近真似したいと思ったことを教えてください。
わたしは人と話すことは好きなのですが、人見知りの部分もあって、お客さまに声を掛けるときに少し緊張してしまうんです。ある先輩は、お客さまの“情の空間”(お客さまの左右斜め前の空間)にスッと自然に入ってお話をはじめていて、遠くから見ていてもすぐに打ち解けている様子がわかりました。お客さまもすごく良い笑顔で買い物をされていました。そういった部分を特に見習いたいと思っています。
―お客さまに安心して買い物をしていただくのはとても大切ですよね。次来店されたときはもっとお話が盛り上がりそうです。
そうですね。それと、店舗スタッフが全員自主的に持っている“販売員ノート”をわたしもつけています。
―このノートにはなにを書いているんですか?
書き方は人それぞれだと思うのですが、わたしはお客さまの購買ジャーナルとして、よく来てくださるお客さまやお顔を見たことがある方のお名前や過去のお買い物の履歴を記録しています。以前接客している際にお名前をお呼びしたら喜んでくださって、和やかな雰囲気でお買い物をしていただけたんです。
―青田さんは、優秀な新人の販売員に贈られる「新人賞」を受賞したとお聞きしました。いま目指したい販売員像はありますか?
新人賞をいただけたと知ったときは本当に嬉しかったです。まだなにもできないわたしに…。選ばれた理由は、おそらくわたしに伸び代を感じて決めてくださったと思うので、成長して仕事に慣れていってもおごらず謙虚でいたいと思います。それと、目の前のお客さまを大事にする。この二つは何年経っても販売員として大切にしたい想いです。
INFORMATION
PROFILE

青田 美桜
2021年4月に入社し、ルミネエスト新宿の地下2階にある ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ 新宿ウィメンズストアに配属。2022年2月に社内の優れた新入社員に贈られる新人賞を受賞。